2017年 ITの最重点投資分野は「クラウドサービス」
「IoT/M2Mソリューション」、「人工知能(AI)」への投資が拡大
企業の約4割が「IoT」、約3割が「人工知能(AI)」の事業活用に関心
~「携帯電話・スマートフォン“法人利用”実態調査2017」より~

2017年1月27日

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株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)はこのほど、「携帯電話・スマートフォン“法人利用”実態調査2017」の結果をまとめた(2017年1月27日報告書発行)。携帯電話の法人における利用実態と利用意向を探る本調査は、2005年に開始してから今回で12回目である。

2017年のモバイル・ソリューションへの投資に関する重点投資分野の1位は「クラウドサービス」、次いで「IoT/M2Mソリューション」、「モバイルの業務アプリケーション連携」、「ビッグデータ活用」という結果になった(図1)。

今回、ICT分野で注目の「IoT」、「ロボット/ドローン」、「人工知能(AI)」の事業への活用の関心度、また活用状況や各関心/活用における具体的な項目についても調査した。調査の結果、それぞれに対する事業活用への企業の関心度は、「IoT」が37.8%、「ロボット/ドローン」が18.4%、「人工知能(AI)」が31.1%という結果であった(図2)。

通信事業者に対する満足度については、音声端末部門、データ端末部門いずれも昨年に続きNTTドコモが1位となった(図3)。

また、企業が負担する1人当たりの音声端末の月額負担料金は5115円で、昨年から957円の減少となり、通話定額への移行の影響が見られる結果だった。格安SIM、格安スマホの企業での利用については、格安SIMによる通話サービス利用企業は1.6%、データ通信サービス利用企業は3.3%、企業における格安スマホの利用率は1.4%という結果で、昨年から微増している。

2017年の投資注力度が最も高いのは「クラウドサービス」
投資拡大幅が最も大きいのは「ビッグデータ活用」
「IoT/M2Mソリューション」、「人工知能(AI)」への投資も拡大

モバイル・ソリューションへの投資は、「クラウドサービス」が最も高く、「クラウドサービス」への投資熱がさらに高まる結果となった。次いで「IoT/M2Mソリューション」、「モバイルの業務アプリケーション連携」、「ビッグデータ活用」が続く。昨年2~4番目であった「スマートフォン」、「タブレット端末」、「モバイル・セキュリティ」をこの3項目が抜いた形となった。

2016年の投資注力度は対2015年で17項目が拡大し、2017年は対2016年で19項目が拡大する。2016年から2017年への投資拡大幅が最も大きいのは、昨年に続き「ビッグデータ活用」である。2017年は、企業のICTに対する投資が「ビッグデータ活用」に、より多く注ぎ込まれる。次いで、「人工知能(AI)活用」、「業務アプリケーション連携」、「モバイル・セキュリティ」、「IoT/M2Mソリューション」といった分野への投資意欲が高くなる傾向で、更に今後の投資拡大が期待できる。

「IoT」の事業活用へ企業の約4割が関心
「ロボット/ドローン」に対しては約2割、「人工知能(AI)」に対しては約3割
「IoT」、「人工知能(AI)」の活用がさらに高まる

今回、ICT分野で注目の「IoT」、「ロボット/ドローン」、「人工知能(AI)」の事業への活用の関心度、また活用状況や各関心/活用における具体的な項目についても調査した。調査の結果、それぞれに対する事業活用への企業の関心度は、「IoT」が37.8%、「ロボット/ドローン」が18.4%、「人工知能(AI)」が31.1%という結果であった。また活用中と回答した企業の活用率は、「IoT」が5.4%、「ロボット/ドローン」が4.7%、「人工知能(AI)」が1.3%とまだ活用率は低いものの、検討を進めている企業も多い。特に「人工知能(AI)」は活用率が、1%台であるが、活用を考えている企業は3割を占め、投資意欲も高いことから、2017年以降、活用企業が拡大してくると想定される。

業種によって、関心度、活用率は異なり、「IoT」の関心度、活用率が高いのは「電気・機械系の製造業」、「ロボット/ドローン」は「建設・土木業」、「人工知能(AI)」は、関心度が高いのが「金融・不動産」、活用率が高いのは「サービス業・その他」であった。

音声端末主契約、データ通信主契約の満足度は、いずれもNTTドコモが総合満足度で1位

音声端末主契約、データ端末主契約の総合満足度1位は、いずれも昨年に続きNTTドコモであった。音声端末主契約の2位には、KDDI(au)を抜いてソフトバンクとなった。総合満足度のスコアをアップしたのは、ソフトバンクのみで、特に音声端末主契約の総合満足度では、12.6ポイントスコアアップした。

音声端末主契約において、総合満足度以外の各項目では、NTTドコモが11項目中、6項目で1位を獲得しており、1位の数が最も多い。その1位の項目は、昨年と全く同じく、「通話エリア(屋内外の2項目)」、「通話品質」、「法人営業担当者の対応」、「販売店・ショップ店員の対応」、「アフターサービス・サポート体制」である。エリア/品質と法人営業担当を中心とした対応面での満足度は非常に高く、NTTドコモの強みは変わっていない。一方で、価格、料金面での満足度が他の通信事業者よりも低い点は、昨年と変わらない傾向となっている。また、データ端末主契約においては、音声端末と同じ6項目に加え、「データ通信速度」を含めた7項目で1位となった。

音声端末主契約において、2位となったソフトバンクは、「通話エリア(屋内外の2項目) 」、「通話品質」において、昨年から大きく向上した点が、総合スコアアップにつながったといえる。各項目では、「法人向けサービス/ソリューション」、「電話機」の2項目で1位となっている。データ端末主契約においても、音声端末と同様、唯一スコアがアップしたのが、3位のソフトバンクである。1位の項目は無かったものの、「法人割引サービス」、「端末」以外の全ての項目でスコアがアップした。

一方、今回、音声端末主契約において3位になったKDDI(au)は、今回料金面以外のスコアが総じて下降しており、特に、「通話エリア(屋内)」、「電話機」、「法人営業担当者の対応」でのポイントが10ポイント以上ダウンしている点が目立っている。データ端末主契約では2位で、「端末の価格」、「月々の利用料金」、「法人割引サービス」、「法人向けサービス/ソリューション」の4項目で満足度1位となった。

音声端末の月額会社負担は5115円で前回から957円の減少
通話定額の利用は全体の約6割が利用、データシェアプランは全体の5割の企業が利用

業務で必要な携帯電話・PHS音声端末の月額料金において、会社が負担している額は、一人当たり平均5115円だった。昨年平均の6072円から、今回は957円減となり、昨年に引き続き、さらなる減少となった。通話定額への移行とともに、さらなる各社の料金競争により、低料金化が進んでいると考えられる。その通話定額の利用率は全体で57.1%、音声端末主契約の通信事業者別では、最も利用率が高いのはNTTドコモの65.7%である。

また、データ定額/パケットパックの利用率は、全体で63.4%、データシェアプランは、全体で50.2%の企業が利用している。データシェアプランの利用率が高いのは、NTTドコモの音声端末主契約企業の69.1%。通話定額、データシェアプランを先行して導入したNTTドコモが最も高い利用率となっている。

格安SIMによる通話サービス利用企業は1.6%でデータ通信サービス利用企業は3.3%
企業における格安スマホの利用率は1.4%

格安SIMによる通話サービスを利用している企業は、わずか1.6%という結果であったが、昨年から0.9ポイントアップとなった。今後の利用意向を含めると、13.2%の企業が格安SIMによる音声サービスを利用する可能性がある。

一方、データ通信サービスに格安SIMを利用している企業は3.3%と昨年の3.2%とほぼ変わらない。利用意向まで含めると15.6%であったが、関心を持っている企業は約半数を占めている。

格安スマホの利用率も格安SIMによる通話サービスと同じく、わずか1.4%であるが、昨年の2倍の利用率となっている。利用意向を含めると12.9%の企業が格安スマホを利用する可能性がある。

(藤澤 一郎=日経BPコンサルティング チーフコンサルタント)

■「携帯電話・スマートフォン“法人利用”実態調査2017」について
  • 調査概要:

    「携帯電話・スマートフォン“法人利用”実態調査2017」は、今回が12回目。携帯電話/スマートフォン/PHSの法人利用の実態と、今後3年間の企業の導入計画、さらに経年での比較も含めた法人利用・ニーズの変化を分析した。今回新たにICTで注目されているIoT、ロボット/ドローン、人工知能(AI)に関する活用についても調査。

  • 調査手法:

    企業への郵送調査(調査票を郵送し、インターネットとFaxで回答)
    モバイル通信事業者3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)へのヒアリング調査

  • 調査対象:

    全上場企業約3,500社と非上場の優良企業約1,500社の合計5000社の情報システム部門、総務部門など(携帯電話、社内システム等に携わっている方)

  • 有効回答数:

    711社(回収率:14.2%)

  • 調査期間:

    調査期間はアンケート調査が2016年11月26日~12月16日
    ヒアリング調査が2016年11月30日~12月8日

  • 調査報告書:

    2017年1月27日発行
    報告書と、業種や売上規模、従業員数別の全集計結果を収録したCD-ROM付き。価格は330,000円(税込)。ローデータ版も提供している。詳しくは、下記サイトへ。
    https://consult.nikkeibp.co.jp/research/reports-and-data/keitai_hojin/

日経BPコンサルティング:日経BP社全額出資の「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(2002年3月1日設立。資本金9000万円)

図1 モバイル・ソリューションに関する投資の注力度
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<注力度(指数)>

■ 投資の注力度の回答に重み付け(「拡大」3ポイント、「横ばい」1ポイント、「縮小」マイナス3ポイント)した合計値を有効回答数(無回答を除外)で除した値。注力度指数が1の場合、前年との投資が同じということを示す。1より大きい場合、投資拡大傾向、1より小さい場合、投資縮小傾向となる。ピンクとブルーのセルにある項目は、前年よりも投資が拡大。特にピンクのセルは2年続けて前年より投資が拡大。また赤い斜線より上に位置する場合、前年よりも投資幅が拡大していることを示す。

図2 事業への活用においての関心度/取り組み
事業への活用においての関心度 事業活用への取り組み
図3 法人主契約企業の通信事業者満足度
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【算出方法】

※「満足度スコア」: 非常に満足(n1):100ポイント、どちらかといえば満足(n2):50ポイント、どちらともいえない(n3):0ポイント、どちらかといえば不満(n4):-50ポイント、不満(n5):-100ポイントとして、各満足度のn数(n1~n5)をかけ、全体のn数で割った値
「満足度スコア」=(100×n1+50×n2+(-50)×n4+(-100)×n5)/n
(n=n1+n2+n3+n4+n5)

このリリースに関するお問い合わせ

株式会社 日経BPコンサルティング コンサルティング本部 調査部

担当:藤澤 一郎

(Tel.03-6811-8308 Fax.03-5421-9176)

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