2011年度IT予算は、当初予算計画と比較して「増加」との回答が17.1% 6割が変動なし。減少との回答は2割強にとどまる
―東日本大震災によるユーザー企業IT投資動向への影響度調査―
2011年04月14日
日経BPコンサルティング(東京都港区)は、日経コンピュータと共同で東日本大震災 によるIT投資動向への影響を緊急調査した(有効回答 ユーザー企業217社)。
「今回の震災を受け、2011年度のIT予算(開発・保守投資、人件費含む)は当初予算 計画(2011年度)と比べて、どの程度増減しそうか」の問いでは、59.4%が「変わらない」、17.1%が「増加」、22.6%が「減少する」と回答した。
東日本大震災の影響でIT市場は一時的には若干の冷え込みがありそうだが、リーマン・ショック直後ほどのネガティブ要因にはならないと日経BPコンサルティングは予想する。
今後の災害発生時対策や電力不足対策の必要性を考慮して、BCP体制強化、データセンターの移行や見直し、自家発電機能の強化、柔軟なワークスタイル導入など検討したいという自由意見も見られた。
これらの目的のもと、ITをより積極的に活用しようとする企業が増えそうだ。ITベンダーはこれらの様々なニーズに応えていくことが急務となる。
トラブル発生企業の2割弱がIT投資予算増加の意向
今回調査の回答企業全217社のうち85社が東北大震災の影響で情報システムに何らかのトラブルが発生したと回答 (図1)。
東日本大震災を受けて、2011年度のIT投資予算(開発・保守投資、人件費含む)はどうなるかを尋ねたところ、トラブル発生企業の3割弱が当初計画よりも減らすと回答した。一方で、17.6%が増やすと回答。大震災によって被害を受けたにも関わらず、消極的な姿勢に転ずる企業ばかりではなく、積極的にIT投資を進める企業が存在することが明らかになった。震災や計画停電などの非常時対策や、ポスト3・11における新しい枠組みの企業活動実現のためにIT投資の勢いを加速する姿が、そこにはあるようだ。
売上高別に2011年IT投資予算を見ると、売上規模が大きい企業の方が「減少」率が高い傾向にある。その中で「増加」率が高いのは「200億円以上500億円未満」企業。2割強が当初予算計画よりも増加すると回答した。
トラブル発生企業の18.8%がプロジェクトを延期または凍結
トラブル発生有無別に、システム導入プロジェクトの状況を尋ねたところ、トラブル発生企業の18.8%が「システム導入プロジェクトを延期・凍結した」ことが明らかになった。さらに、「延期・凍結を検討中」を17.6%と、システム導入プロジェクトに対する影響は今後も広がる可能性は否定できない(図2)。しかし、62.4%が「特に影響は出ていない」と回答していると共に、前述のように、IT投資意向が大きく低下している訳ではなく、一時的な凍結にとどまるものも多いと推測される。
調査概要: システム・ユーザー企業がIT資産を有効活用する上で抱える課題やIT投資動向を定点観測するプロジェクトを2年前に開始。以来、システムの利用企業(ユーザー企業)のCIO(最高情報責任者)やシステム部長などを対象として定点観測調査を実施してきた。 今回、東日本大震災のIT投資意向に対する影響度を把握した(3月30日~4月5日実施)。
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