「サントリー」がサイト・ユーザビリティ指数、態度変容指数の高評価で躍進。「mixi」「Twitter」などソーシャルメディア・サイトを評価しているのは「自己表現型ユーザー」
―「Webブランド調査2010―III」(2010年4月実施)より―
2010年06月30日
日経BPコンサルティング(東京都港区、高橋銀次郎社長)は、2010年4月に実施した「Webブランド調査2010―III」の結果をまとめた。
Webブランド調査は、企業が運営する日本の主要800サイトに対して、40,000人を超えるインターネット・ユーザーの評価をブランドの視点から定期的に調べる日本最大規模のWeb総合調査である。
Webブランド指数(以下WBI)とWebパブリシティ指数(以下WPI)の1位は「Yahoo! JAPAN」、Webマーケティング指数(以下WMI)は「楽天市場」が1位だった。
楽天、ヤフーともに業績の好調が報じられる中、「楽天市場」「Yahoo! JAPAN」のWBIスコアは双方とも前回から下降。「楽天市場」が波及効果指数で17.0ポイント、態度変容指数で9.8ポイント落とし、アクセス頻度指数、サイト・ユーザビリティ指数、サイト・ロイヤルティ指数のトップを守った「Yahoo! JAPAN」に逆転された。
上位サイトでは、「価格.com」のサイト・ユーザビリティ指数が伸び、前回WBI9位から「Yahoo!オークション」「Googleマップ」を抑えて6位に上昇、「Yahoo!ショッピング」が波及効果指数、サイト・ユーザビリティ指数を伸ばして11位から7位に上昇した。
- 2010-?調査では、WBI、WMI、WPI3指標とも平均値が下降した。WBIが47.5、WMIが49.1、WPIが47.6と3指標そろって3回連続の下降。各指数では、アクセス頻度指数が基準値(2010-?調査時の平均値を50.0とする)の50.0を維持したのみで、他の指数は全て前回よりポイントを下げ、50.0を割り込んだ。最も下降幅が大きかった態度変容指数は3.0ポイントのダウン。「この企業・組織の製品・サービスに関心を持った」のパーセンテージが下がったことが指数下落につながった。
- 図1 800サイトのWBI平均スコア(2010-I~III)
企業がWebサイトで自社のサービスや製品について分かりやすく説明することは、インターネット・ユーザーにとって今では「当たり前」とされる。情報の流通量が飛躍的に増加する中、企業の担当者は溢れる情報の中でどのようにユーザーの興味・関心を喚起し、エンゲージメント(企業と消費者の絆)を築いていくのかが今後の課題といえるだろう。
ユーザビリティの「お手本」を示し続ける「サントリー」が躍進
企業の公式サイトでは、前回WBI20位だった「UNIQLO ユニクロ」は27位に後退した。波及効果指数のダウンが響いた。軒並みスコア低下傾向のなかで23位から15位まで一気に上昇した「サントリー」は目立つ。「サントリー」は、サイト・ユーザビリティ指数の高さに定評があるが、今回調査ではさらに各項目で評価を伸ばし、800サイト中6位だった。
また、態度変容指数(Webサイトの閲覧後の企業に対する関心や購入意向、好感など)は800サイト中5位だった。自由意見にも「環境についての取り組みが積極的に行われていると感じた。当選したことは無いがキャンペーンによく応募する。会員なので応募も簡単に出来て楽」(52歳、女性、専業主婦)、「環境の取り組みがとても良いと思います」(48歳、男性、団体役員・団体職員)、「社会貢献の内容が目に付いた」(65歳、男性、無職)、「「水と生きる」というスローガンのもと各種の活動をしていることがわかって、素晴らしいと思いました」(43歳、女性、専業主婦)など、環境保護活動や社会貢献活動に対する言及も見られた。サイト・ロイヤルティ指数(Webサイトそのものの信頼性、利便性、魅力、好感)でも「このサイトは信頼できる」(+4.5)、「このサイトは役に立つ、使える」(+2.7)などポイントを上げた。
「Twitter」などソーシャルメディアのサイトは「自己表現型ユーザー」から好評価
今回、統廃合されたサイトの補完として初めて調査対象としたミニブログ・サイト「Twitter」はこのところ話題にのぼることが多い状況を反映し、WBIで234位に出てきた。ソーシャルメディアの各種サイトと比較すると、「mixi」(55位)の後塵を拝するものの、「Ameba」(315位)、「GREE」(453位)、「はてな」(655位)、「MySpace」(747位)、「Facebook」(793位)などより優位に立っている。「mixi」は、「一週間に一度以上アクセスする」ユーザーが回答者全体の24.2%に上り、前回よりもWBIスコアが4.7ポイント上昇した。
これらソーシャルメディア・サイトに対する評価を、さらに回答者の行動タイプで分類した属性に絞って比較すると、ブログを執筆したり、写真をはじめ自作の動画・イラスト・音楽などを投稿している「自己表現型ユーザー」では一律に回答者全体よりも評価が高い。「mixi」(WBIで30位)、「Twitter」(55位)、「Ameba」(79位)、「GREE」(249位)、「はてな」(401位)、「MySpace」(616位)、「Facebook」(724位)などとなった。各サイトとも、アクセス頻度指数や、波及効果指数(オンライン、オフライン双方のクチコミや店頭などリアルでの購入、資料請求など)、サイト・ロイヤルティ指数のスコアが高かった(図2)。
「mixi」「Ameba」は、性年代別に比較した場合のスコア差も大きかった。「mixi」は20歳代男性のWBIスコアが97.1(6位)だったのに対し、50歳以上男性のWBIスコアは42.3(494位)。「Ameba」は20歳代女性のWBIスコア77.1(29位)に対して、50歳以上女性のWBIスコアは34.0(714位)にすぎない。
それぞれのサイトによって利用し、評価している属性は異なる。企業のマーケティングにソーシャルメディアを活用する際には、こうした特徴を事前に把握し、踏まえる必要がありそうだ。
(原田 千佳=日経BPコンサルティング シニアコンサルタント)
Webブランド調査
企業が運営する日本の主要800サイトに対して、4万人を超えるインターネット・ユーザーの評価をブランドの視点から調べる日本最大規模のWeb総合調査。3ヶ月ごとに実施している。
Webサイトの総合力をはかるための指標である「Webブランド指数(WBI)」は、6つの指標を合算し標準化することによって算出するものとした。
・アクセス頻度指数: アクセスの頻度を指数化
・コンバージョン指数: 資料請求やキャンペーンへの参加など、サイト内でのアクションについて指数化
・波及効果指数: クチコミや店頭での購入、資料請求など、サイト外でのアクションについて指数化
・サイト・ユーザビリティ指数: サイトの使いやすさについて指数化
・サイト・ロイヤルティ指数: サイトの利便性や信頼性、好感について指数化
・態度変容指数: サイト閲覧によって企業に対する関心や購入意向、好意の変容を指数化
という6つの指標を合算し標準化することによって算出するものとした。
Webサイトのマーケティング活用的側面をはかる指標としての「Webマーケティング指数(WMI)」は、WBIを構成する6つ指標のうち、アクセス頻度指数、コンバージョン指数、波及効果指数の3指標のみを合算し算出している。
また、Webサイトの広報的側面をはかる指標としての「Webパブリシティ指数(WPI)」は、アクセス経験指数、サイト・ロイヤルティ指数、サイト・ユーザビリティ指数、態度変容指数の4指標のみを合算している。
Webサイト単体のパフォーマンスを測定するだけではなく、Webサイトによってもたらされる顧客体験の価値、つまり顧客への“インパクト”を統合して評価することを意図している。
Webブランド調査 2010-III 調査概要
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- 調査方法
- インターネット調査。AIDA(日経BP社・日経BPコンサルティングのインターネット調査システム)を使用。
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- 調査期間
- 2010年4月6日(調査開始)~4月25日(調査終了)
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- 調査対象サイト
- 800サイト。インターネット・ユーザー約1万6,000人を対象とした事前調査(「ふだんお使いのWebサイトをお答えいただく調査)」で回答の多かったサイト、ならびに過去のWebブランド調査で上位だったサイトから選択した。
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- 調査対象者
- 日経BPコンサルティングの調査協力者にメールで告知。また、他社メール広告、懸賞サイト等でも告知し、オープン方式(インターネット・ユーザーの誰でもが回答可能)で実施した。
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- 有効回答数
- 4万1,309人
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- 調査の実施方法
- Webブランド調査では、800サイトを調査対象としているが、1人の回答者が800サイトについて回答することは困難である。そのため、1人あたり10サイトについて回答する調査票を80パターン用意し、ランダムに個々の調査票に誘導し、答えてもらうシステムを採用している。80パターンの各調査票に対して10サイトの並び順を逆にしたものも用意し、実際には160パターンの調査票に対して回答してもらった。
過去の調査協力者や一般のインターネット・ユーザーなど幅広い回答者から回答を募っているが、それぞれのプロセスで回答データをチェックすることによって組織票などの不正な回答を排除する対策を講じている。
本件に関するお問い合わせ
株式会社日経BPコンサルティング Webコンサルティング部
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