7指標のうち「接続料金」などの5指標でASAHIネットが首位 ~ ITリテラシー高水準者3000人が評価 ~
―「プロバイダー満足度調査2010」―

2010年07月06日

日経BPコンサルティング(東京都港区、高橋銀次郎社長 http://consult.nikkeibp.co.jp/)はこのほど、ITリテラシー高水準者におけるインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)の満足度を明らかにする「プロバイダー満足度調査2010」を実施した(末尾の「調査概要」を参照)。

この調査で個別満足度指標として設定した7指標のうち、「接続料金」、「回線の安定性」、「回線の速度」、「サポート」、「提供機能全般」という5つの指標で、ASAHIネットが首位を獲得した。(図1表1)。残りの2指標については、「セキュリティ関連サービス」ではぷららが首位、「コンテンツ・サービス」ではBIGLOBEが首位を獲得した。

プロバイダーの重視ポイントは、7項目(複数回答可)の中で、全回答者3000件をベースとして、「接続料金」(86.2%)、「回線の安定性」(74.5%)、「回線の速度」(71.2%)の3つが7~8割台と特に高く、2割台以下の他の4つを大きく引き離した。

個別満足度の平均スコアは、7指標の中で「回線の安定性」(64.8点)が最も高く、唯一60点台を記録した。残りの6指標はすべて50点台である。最も重視度が高い「接続料金」の平均満足度スコアは54点台で、7指標の中で最も低い水準にとどまった。

図1 プロバイダーの重視ポイント、およびプロバイダー別の満足度スコア

満足度スコアは、利用者全体および利用者数100件以上の11社をグラフ化した。

図1:プロバイダーの重視ポイント、およびプロバイダー別の満足度スコアクリックで拡大
表1 プロバイダーの重視ポイント、およびプロバイダー別の満足度スコア

利用者数100件以上の11社のスコアと順位を、全体満足度の高い順に並べた。
利用者数100件以下の3社のスコアは参考値として示した(数表の下部3行の網掛け部分)。

表1:プロバイダーの重視ポイント、およびプロバイダー別の満足度スコアクリックで拡大

ASAHIネットは全体満足度でも首位を獲得

「全体満足度」スコアは、個別満足度指標のスコアに、その指標の重視度を加重して算出した。全回答者3000件の平均は58.0点である。ASAHIネットは、この全体満足度でも首位(69.4点)を獲得した。同じく60点台で、eo(ケイ・オプティコム)(67.3点)とぷらら(60.9点)の2社が続く。 4~10位の7社は、55点~59点台と、わずか4.3点差の中に集中した。特に4~6位は小数点第一位では同点(小数点第二位での僅差)である。ただし、最下位(11位)のYahoo! BB(51.3点)は、10位からも3.7点と大きく引き離された。

ASAHIネットが全体満足度で首位に立った大きな要因は、特に重視度が高い「接続料金」、「回線の安定性」、「回線の速度」の3指標で首位であったこと。さらに、重視度が最も高い「接続料金」で2位に4.2点の大きな差をつけて1位となったことも効いた。

逆に、「コンテンツ・サービス」では、ASAHIネットは8位と下位にとどまったが、その重視度が低いために、「全体満足度」に与える影響は小さかった。同様に、BIGLOBEは「コンテンツ・サービス」で1位を獲得したものの、その重視度が低いために、「全体満足度」を押し上げる効果は限定的であった。

(村中 敏彦=ビジネスコンサルティング部 シニアコンサルタント)

調査概要

  • 調査名称
    プロバイダーの利用に関する調査
  • 調査目的
    ITリテラシー高水準者の、プロバイダー評価時の重視ポイントや、利用プロバイダーに対する満足度などを明らかにする。
  • 調査対象
    日経BPコンサルティングの調査モニター
  • 調査方法
    Web調査 … Webサイト上にアンケート・ページを提示し、電子メールで告知して回答を募集。
  • 調査期間
    2010年5月20日(木) ~ 6月2日(水)
  • 有効回答数
    3000件(本調査)
  • 調査機関
    日経BPコンサルティング
  • 回答者プロフィール
    平均年齢は46.7歳。性別は男性86.4%、女性13.1%。接続回線の種類は、光ファイバー(FTTH)が59.4%、ADSLが30.0%、その他が10.1%。
  • 満足度スコアの算出方法
    満足度スコアは「大変満足」=100点、「やや満足」=75点、「どちらとも言えない」=50点、「やや不満」=25点、「大変不満」=0点として、各満足度水準の回答者数を掛けて足し上げ、そのプロバイダーの利用者数で割って算出した。理論上、最高点は100点、最低点は0点となる。全体満足度は、個別満足度の7指標のスコアについて、プロバイダーの重視度ポイントの回答比率(N=3000)を、各プロバイダーの個別満足度指標に掛けて足し上げ、重視度ポイントの回答比率合計で割って算出した。

  • ランキング対象基準
    利用者数が100件以上のプロバイダー11社をランキング(順位づけ)の対象とした。この11社とは、OCN(利用者数は426件、全有効回答に占める比率は14.2%。以下同様に記載)、@nifty(407件、13.6%)、Yahoo!BB(380件、12.7%)、So-net(272件、9.1%)、ぷらら(255件、8.5%)、BIGLOBE(242件、8.1%)、au one net(213件、7.1%)、J:COM NET(179件、6.0%)、eo(149件、5.0%)、ASAHIネット(122件、4.1%)、Gyao 光(116件、3.9%)である。
  • 調査の手順
    (1)日経BPコンサルティングの調査モニター10万件に対して、2010年5月下旬に予備調査を実施し、9456件を回収した。このうち、有効票として、5816件を抽出して本調査での告知対象とし、本調査では3000件を回収した。
    (2)予備調査での有効票の基準は、「回答者のITリテラシーの高さ」と「プロバイダーとしての利用者数の多さ」の2つとした。
    (3)「回答者のITリテラシーの高さ」は、「IT(パソコンやインターネットなど)の利用上のアドバイス」において、「頻繁に、かつ的確にアドバイスをして頼りにされている」かどうかで、「完全に当てはまる」(レベル1)~「どちらとも言えない」(レベル5)~「全く当てはまらない」(レベル9)の9段階で自己評価してもらった結果で識別した。具体的には、レベル1~5と回答した人を、ITリテラシー高水準者とみなし、予備調査での有効票とした。
    (4)「プロバイダーとしての利用者数の多さ」は、日経BPグループのこれまでの調査で利用者数が相対的に多い20社(「その他」を含め21件)の選択肢を用意し、総回収数の1%(つまり95件)以上の利用者数のあった14社のプロバイダーの利用者を予備調査での有効票とした。
    ※この基準で無効票となったプロバイダーは7つある。BB.excite、BBIQ(九州通信ネットワーク)、hi-ho、iTSCOM.net、WAKWAK、コミュファ光(中部テレコミュニケーション)の6社、そして「その他」である。なお、「その他」の自由記入欄に記入されたプロバイダーの名称はすべて、総回収数の1%を下回った。