通信事業者の満足度とイメージはNTTドコモが1位。モバイルソリューションに強いSIer/NIer はNECとNTTコミュニケーションズ
―「携帯電話“法人利用”実態調査2011」より―
2010年12月22日
日経BPコンサルティング(東京都港区、高橋銀次郎社長)は、携帯電話やモバイル・ソリューションの法人企業での利用実態と導入計画をまとめ、本日(2010年12月22日)、「携帯電話“法人利用”実態調査2011」報告書として発行・発売した。本調査は2005年に開始し今回で6回目である。
主契約の満足度は音声・データともに、NTTドコモがKDDIから総合1位を奪還
NTTドコモは、音声端末とデータ端末のいずれも、主契約(主として契約している事業者)の総合満足度で、KDDI(au)から1位を奪還した。音声端末では、総合満足度以外の個別の11項目中、昨年と同じ内容の7項目で1位を獲得した(図1)。1位の項目は、「通話エリア(屋内外の2項目)」、「通話品質」、「電話機(スペック/機能等)」、「法人営業対応」、「販売店・ショップ店員の対応」、「アフターサービス・サポート体制」の7つである。
KDDI(au)は、総合満足度で2位に後退した。個別満足度では「法人割引サービス」と「法人向けサービス/ソリューション」の2項目が1位を維持した。ちなみに、「データ端末」とは、ノートパソコンやPDAにPCカードを装着して使用するデータ通信カードや、データ通信機能だけを搭載したデータ通信専用の端末をさす。
NTTドコモはデータ端末の主契約の個別満足度1位が3項目から7項目に
一方、データ端末の主契約の満足度では、個別項目でのNTTドコモの1位は3項目から7項目に増えた(図2)。従来1位の「法人営業対応」、「販売店・ショップ店員の対応」、「アフターサービス・サポート体制」の3項目に加え、今回は新たに「通信エリア(屋内外の2項目)」、「通信品質」、「データ通信速度」の4項目で1位を獲得した。NTTドコモの総合満足度は37.4ポイントである。
総合満足度の2位はウィルコム(ポイントは30.2)で、個別項目での1位はない。3位のKDDI(au)は2位と僅差(ポイントは29.4)で、1位は昨年の7項目から今回は「端末の価格」および「端末(性能等)」、「法人割引サービス」、「法人サービス/ソリューション」の4項目に減った。
通信事業者イメージでも1位はNTTドコモ、2位はKDDI(au)、3位はソフトバンク
法人向けモバイルソリューションにおける通信事業者のイメージは、総合評価では、昨年と同じく、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク、イー・モバイル、ウィルコムの順である。NTTドコモは、総合評価(60.2)、および個別の5項目中4項目(技術力、人材、信頼性、将来性)で、昨年と同様に1位を獲得した。
総合2位(52.4)のKDDI(au)は総合と個別4項目(信頼性を除く)が2007年以降で最も低い数値となった。総合3位(50.9)のソフトバンクは、将来性が4.9ポイント増で2位に浮上したが、人材や信頼性で上位2社と離される構図は、昨年と同様である。
SIer/NIer 企業名想起での2強はNECとNTTコミュニケーションズ、後者がやや低下
法人向けモバイル・ソリューションの代表的なSIer/NIerを想起してもらったところ、第一想起から第三想起までの合計では、昨年と同じく、1位はNEC(相対スコアは100)、2位はNTTコミュニケーションズである。ただし、後者のスコアは、97.7から89.2に低下した(図3)。第一想起だけに限定すると、 NECが0.3ポイント増加して同率1位に浮上し、NTTコミュニケーションズは0.9ポイント減少し単独1位から同率1位となった。この2社がモバイル分野でのSIer/NIerの2強と言えよう。
第三想起までの合計でも、第一想起だけでも、3位はともに富士通である。4位以下は上位3社とは少し離れているが、4位以下では大塚商会のポジション上昇が目立つ。大塚商会は、第三想起までで8位から5位に、第一想起では3社同率の7位から6位に順位を上げた。第三想起まででは、昨年より11ポイントの増加である。
(村中 敏彦=シニアコンサルタント)
「通信事業者の満足度」の計算方法
個別指標と総合指標について、各事業者を5段階で評価してもらった。この5段階を「1.非常に満足」=100ポイント、「2.どらちかといえば満足」=50ポイント、「3.どちらともいえない」=0ポイント、「4.どちらかといえば不満」=-50ポイント、「5.不満」=-100ポイントと重みづけし、各回答数で掛け算したのち、その総和を総回答数で除した値を満足度とした。
満足度ポイント=[n1×100 + n2×50 + n3×0 + n4×(-50) + n5×(-100)]/n (n=n1+n2+n3+n4+n5)
「法人向けモバイルソリューションにおける通信事業者イメージ」の計算方法
「提案力」、「技術力」、「人材」、「信頼性」、「将来性」の5つの指標ごとに、各事業者を1~5 (優れていない~優れている)で評価してもらった。この5段階を1=0ポイント、2=25ポイント、3=50ポイント、4=75ポイント、5=100ポイントと重みづけし、各回答数で掛け算したのち、その総和を各指標ごとの総回答数で除した値をスコアとした。
スコア=[(a×0)+ (b×25)+ (c×50)+ (d×75)+ (e×100)]÷(a+b+c+d+e)
a=1の回答数、b=2の回答数、c=3の回答数、d=4の回答数、e=5の回答数
※各指標の意味(調査票で回答者に説明している内容)
「提案力」=顧客ニーズへの対応に熱心/営業・販売力が強い
「技術力」=研究開発力・商品開発力が旺盛である
「人材」 =法人向けソリューションに関して優秀な人材が多い
「信頼性」=安心して任せられる/アフターサービスに優れる
「将来性」=新分野進出に熱心で成長力がある
「法人向けモバイル・ソリューションの代表的なSIer/NIerの想起」の計算方法
【総合ポイント】
・想起順位の第1位=3点、第2位=2点、第3位=1点として重み付けし、その会社が各順位で想起された回数を掛け算して総合ポイントを算出
総合ポイント=(3×a)+ (2×b)+ (1×b)
a:1位に記載された回数 b:2位に記載された回数 c:3位に記載された回数
【総合相対スコア】
・総合ポイントで第1位となった企業の総合ポイントを母数として、各社の総合ポイントを百分率で計算したものが「総合相対スコア」である
総合相対スコア=(各社の総合ポイント)÷(第1位企業の総合ポイント)×100
*調査概要
調査方法: 郵送調査。
調査対象: 有力企業5000社の情報システム部門。
※サンプリング方法: 帝国データバンクの企業データベースCOSMOS2に登録されている企業のうち、同社による評点と従業員規模、年商上位企業を考慮し、合計5000社(上場企業3614社、非上場企業:1386社)を抽出した。
調査時期: 2010年10月26日~11月9日
回収数: 686社(回収率:13.71%)
※回答部署は,各社の情報システム部門,総務部門,経営企画部門が中心
*調査報告書