「メッセージを聞いて発信企業が思い浮かぶ」トップ3は、ロッテ、ニトリ、ファミリーマート。「高評価だった新しい企業メッセージ」は、ヤマト運輸、よつ葉乳業
「企業メッセージ調査 2010」(2010年7月実施)より

2010年10月01日

日経BPコンサルティング(東京都港区)が2010年7月に実施した「企業メッセージ調査 2010」*の結果をまとめ(表1)、10月1日に調査結果報告書を発行・発売する。「企業名想起率」(メッセージを提示して企業名の記入を求めた時、正しく記入できた回答者の比率)が10%以上の対象メッセージは、全体のわずか13%となった。また、メッセージの発信企業も合わせて提示して、「この企業がこのメッセージを発信していることを知っているか」という設問に対しても、対象メッセージの75%が、認知率(報告書では、「セット認知率」と記載)10%以下という結果となった。調査対象の企業メッセージには、従業員向けのものや、露出量が極めて少ないものも含まれている。しかし、企業の認知度・イメージアップに効果的な企業メッセージの発信において、発信元の企業が伝わっていないというのは、「発信することの意味・目的」を見失っていると言わざるを得ない。情報氾濫時代のいま、消費者にメッセージが届きにくくなっていることは明らかである。ジングル(音声)を付けることで、受け手側の興味を引くように工夫したり、メッセージをむやみに変えないように心がけるなど、継続的な働きかけが必要になっている。

新しい企業メッセージでは、ヤマト運輸、よつ葉乳業のメッセージが高い好感度を獲得

「発信期間が2年以下と比較的短いメッセージ」の結果を表2にまとめた。ヤマト運輸の「場所に届けるんじゃない。人に届けるんだ。」が、セット好感度で46.6ポイント、理解度で60.1ポイントと高スコアとなった。また、北海道に拠点を持つよつ葉乳業の「北海道のおいしさを、まっすぐ。」が、セット認知率は低いものの、セット好感度、理解度とも高評価となっている他、東洋水産の「Smiles for All. すべては、笑顔のために。」もマルちゃんのキャラクターと表現されることで、接触率が着実に伸び、併せて、セット好感度も高いポイントとなった。

メッセージを受けて広がるイメージ:「映像」はローソン、「色」はファミリーマート、「ロゴ」はマクドナルドのメッセージ。「Webサイトからの認知」1位はサントリー

企業メッセージは、音声やロゴなどと組み合わせて発信されることも少なくない。調査対象となった企業メッセージを受け手側が受信した際に、同時にどのようなものを想起するのか調べた。「映像・特定の場面を思い浮かべた」と答えた率が一番高かったメッセージは、ローソンの「マチのほっとステーション」であった(表3)。また、「イメージカラー」は「あなたと、コンビに、ファミリーマート」、「ロゴ」は「i’m lovin’ it」(日本マクドナルドホールディングス)となった。また、「認知経路がWebサイト」とした率が一番高かったメッセージは、サントリーの「水と生きる SUNTORY」であった。メッセージを通じて企業が伝えたいイメージを、Webサイト上でうまく体現している好例といえる。

(吉田健一=日経BPコンサルティング ブランド・ジャパン プロジェクト・マネージャー)

*「企業メッセージ調査」とは
企業がブランド・コミュニケーションの中核として戦略的に発信しているメッセージを今回は325個ノミネートし、認知度、理解度、接触度、好感度のほか、16項目のイメージなどを一般消費者に聞いた。今年で9回目の調査となる。企業メッセージとは、企業や企業グループが、自社のコンセプトや理念、姿勢、方針などを社外(消費者や取引先など)や社内(自社及びグループ企業の従業員)に伝え、浸透させるために全社的に一貫して使用している文言と定義した。今回の調査は2010年7月に実施し、19,845件の有効回答を得た。2010年10月1日に調査報告書を発行。

表1 企業名想起率上位40(325メッセージ中)
表1●企業名想起率上位40(325メッセージ中)クリックで拡大

企業名想起率(%):メッセージのみを提示して、その発信元である企業名を自由記入でたずね、正しく記入できた率。なお、メッセージ中に企業名や、企業名を頬推できる言葉が入っている場合は、その部分を伏字にして提示した。

表2 「発信期間が2年以下と比較的短い主なメッセージ」のセット好感度上位
表2●「発信期間が2年以下と比較的短い主なメッセージ」のセット好感度上位クリックで拡大

セット好感度(ポイント):メッセージと発信企業をセットで提示して、「あなたは、この企業が伝えるこのメッセージについてどのように感じましたか」という問いに、「とても好感が持てる(100)/少し好感が持てる(50)/どちらともいえない(0)/あまり好感が持てない(-100)」のどれか1つを回答する。その得票率の加重平均値。範囲は、-100から10となる0。

表3 「企業メッセージと同時に想起されるもの」。各項目の企業メッセージ第1位
表3●「企業メッセージと同時に想起されるもの」。各項目の企業メッセージ第1位クリックで拡大

日経BPコンサルティング: 日経BP社の研究・調査部門を分社独立した、日経BP社全額出資の「技術と経営に関するコンサルティング・調査会社」。2002年3月1日設立。資本金9000万円(日経BP社100%出資)。技術と経営に関する調査、研究、コンサルティング、関連する情報・刊行物の出版と関連商品の販売を行っている。

このリリースに関するお問い合わせ/ダイジェスト版をご希望の場合

日経BPコンサルティング ブランド・コンサルティング部

佐取(サトリ) 恵子 / 吉田 健一

〒108-8646 東京都港区白金1丁目17番3号 NBFプラチナタワー

TEL: 03-6811-8308 FAX: 03-5421-9179

お問い合わせ