BJ トレンドフォーカス Vol.4

初ノミネートブランドはX上でどのような動きを見せたか?

  • ブランド本部 ブランドコミュニケーション部 新井 徹

20241226_1_TOP.png
第4回:初ノミネートブランドはX上でどのような動きを見せたか?

来年(2025年)3月にリリースとなる「ブランド・ジャパン2025」の調査対象ブランドが12月17日に発表されました(ニュースリリースはこちら)。調査対象ブランドは毎年前年の8月に実施される「ブランド想起調査」で決定します。これは「評価できる、好感が持てる」ブランドを自由記述で挙げてもらい、その得票数で調査対象ブランドを決めるというもの。今年の「ブランド・ジャパン2024」では、昨年8月のブランド想起調査の結果により、一般生活者編1,000ブランドのうち、新たに58のブランドがノミネートされました。そしてこのうち再ノミネートを除く初ノミネートブランドは22でした(※表1)。今回はこの初ノミネートブランドの「ブランド・ジャパン2024」での評価と、今年一年間それらのブランドがX(旧Twitter)上でどのような動きを示したかについて分析してみたいと思います。

表1:「ブランド・ジャパン2024」初ノミネートブランド

No. ブランド名
1 アトレ
2 Avast
3 Amazon Alexa
4 エアリズム
5 NHKラジオ
6 Knor クノール
7 コムテック
8 3COINS
9 たのめーる
10 chocoZAP ちょこざっぷ
11 Twich
12 TBSラジオ
13 duolingo デュオリンゴ
14 nippn ニップン
15 NONIO ノニオ
16 日高屋
17 povo
18 Meta メタ
19 motorola
20 ヤーマン
21 livedoor ライブドア
22 LOGOS ロゴス

(五十音順)

評価が高かった「3COINS」と「chocoZAP ちょこざっぷ」

初ノミネート22ブランドの「ブランド・ジャパン2024」ブランド総合力のトップ5は以下のような結果でした(※表2)。一般生活者編1,000ブランド中、初登場でいきなり100位にランクインした「3COINS(スリーコインズ)」は、300円を価格帯の中心とした雑貨小売で、1号店の開店は1994年と30年が経ちますが、その後、店舗数を順調に拡大し、2023年には全都道府県への出店を達成、現在、306店舗を展開しています(2024年2月期決算説明会資料より)。

表2:初ノミネートブランド「総合力」トップ5

順位 ブランド名 全体順位
1 3COINS 100
2 Knor クノール 271
3 エアリズム 312
4 chocoZAP ちょこざっぷ 353
5 TBSラジオ 499

※全体順位は一般生活者編1,000ブランド中

また4位の「chocoZAP ちょこざっぷ」はRIZAPグループが運営する初心者向けの“コンビニジム”で、ジムだけではなく、セルフエステ、セルフネイル、カラオケ、ランドリー、ワークスペースなど一般生活者のスキマ時間をうまく取り込む施設となっています。こちらは2022年7月のスタートからたった2年余りで、1,755店舗(2024年11月14日時点)と急拡大しています。

初ノミネートブランドは、ブランド総合力を構成する4つの因子(フレンドリー、コンビニエント、アウトスタンディング、イノベーティブ)のうち、注目度、時代開拓感、勢いを示す「イノベーティブ」が高評価である場合が多くなっています。初ノミネートブランドの「イノベーティブ」ランキングトップ5を見ると前述の「chocoZAP」「3COINS」が1位、2位となっており、世の中にこれまでなかったプロダクトやサービスに対する一般生活者の関心が「イノベーティブ」、さらにはブランド総合力の評価につながっていると言えそうです(※表3)。

表3:初ノミネートブランド「イノベーティブ」トップ5

順位 ブランド名 全体順位
1 chocoZAP ちょこざっぷ 16
2 3COINS 24
3 povo 119
4 Amazon Alexa 201
5 Meta メタ 226

※全体順位は一般生活者編1,000ブランド中

「商品」「テレビ番組」でXをにぎわす

「ブランド・ジャパン2024」の初ノミネートブランドで評価が高かった「3COINS」「chocoZAP」は、来年の「ブランド・ジャパン2025」でも評価を維持、上昇させることができるでしょうか。今年一年間これらのブランドがX上でも話題になっていたのか、またどのような話題をさらったのかを見てみることで、予測してみたいと思います。

「3COINS」「chocoZAP」について、今年一年間のXのポスト上の「語句(ブランド名)の出現回数」を見てみました(期間は2024年1月1日~11月30日)。

「3COINS」は1月29日、6月18日、9月20日、10月15日と、年間を通して何度も大きな「語句出現回数」のピークを作っています。いずれも「片手で米が研げる道具」「水鉄砲」「カセットプレーヤー」「ぬい活トランク」と話題商品の発売に関連して「3COINS」というブランド名がX上をにぎわせました(※グラフ1)。

グラフ1:「3COINS」のX上での語句出現回数(2024年1月1日~11月30日)

グラフ1:「3COINS」のX上での語句出現回数(2024年1月1日~11月30日)

一方の「chocoZAP」は1月28日に非常に大きなピークを作っています。これはテレビ番組「がっちりマンデー‼︎」の『スゴイ社長大集合SP』にRIZAPグループの瀬戸社長が登場し、「chocoZAP無料利用(3ヶ月)&プロテイン3種&シェイカー1つ」のセットを100名にプレゼントするという企画でした。この「がっちりマンデー‼︎」」を始め「ジョブチューン」「カンブリア宮殿」「ガイアの夜明け」といった企業を取り上げる情報番組、バラエティー番組、ドキュメンタリー番組などで紹介されるとSNS上でも話題となり、一般生活者の認知、好感、関心のアップにもつながっていきます(※グラフ2)。

グラフ2:「chocoZAP ちょこざっぷ」のX上での語句出現回数(2024年1月1日~11月30日)

グラフ1:「3COINS」のX上での語句出現回数(2024年1月1日~11月30日)

このように「3COINS」は商品で、「chocoZAP」はテレビ番組で、X上でポジティブな話題を形成していました。こうした話題喚起は「イノベーティブ」評価の維持、上昇につながり、また、店舗拡大により、「認知」「興味」「最近使っている」「役に⽴つ、使える」といったブランドイメージを束ねた因子である「コンビニエント」評価が上昇することも予想されます。

「ブランド・ジャパン2025」の初ノミネートブランドのブランド評価やX上での動きも気になるところです。

■関連リンク

日本最大規模のブランド価値評価調査「ブランド・ジャパン2025」のノミネートリストを発表

https://consult.nikkeibp.co.jp/info/news/2024/1217bj/

BJ トレンドフォーカス