広報メディア制作のお悩み解決!~リニューアル編~
媒体リニューアルは、1号にして成らず
広報メディアリニューアル成功のカギは?
日経BPコンサルティングが国内主要企業・団体を対象に行った「広報部門の活動と広報誌(デジタル媒体含む)に関する調査」によると広報誌の発行に際して困っている事柄・改善したいと思う事柄で、「内容がマンネリ化している」が53%、「実際にどのような人が読んでいるか分からない」が32.8%など、現状の実態が把握できていないと悩む広報担当者が多くいました。
今回は、日々さまざまな業種・業態の広報メディアに携わり、広報部の方からの悩みを受け止めてきた日経BPコンサルティングの編集者3人が、広報メディアのリニューアルで押さえておきたいポイントを紹介します。
Y(企業の広報誌やWebコンテンツを担当) 企業の広報メディア担当者の皆さんが、自社の会員やファン、自社製品を購入してくださる読者をつねに増やしたいと考えるのは共通事項でしょう。広報メディアは企業と顧客を結ぶ大切なツールです。私たちは企業の皆さまとともにステークホルダーに沿った記事づくりを企画提案しています。
S(企業の広報誌やWebコンテンツを担当) 会員誌や広報誌は、発行からある程度期間が過ぎると、読者からの反応が薄くなり、なかなか手応えを感じにくくなりますよね。いわゆる「マンネリ化」です。ただ、これはどの媒体でも起こりえることです。
U(企業の広報誌や動画コンテンツ、周年メディアを担当) そうなるとリニューアルという選択肢が出てきます。「表紙を変えてみよう」「読者層が好きな有名人のインタビューをのせよう」「話題のスポット情報を入れよう」など安易なコンテンツを盛り込みがちです。
Y はい、でも流行や話題になっているトピックスだけを見てリニューアルをすると、肝心の読者を見ていない広報メディアになってしまうリスクがあります。「そもそもなぜ、変える必要があるのか」「なぜ、今の広報メディアではいけないのか」といった分析なしに、リニューアルを進めるのは危ういと感じます。自分たちが考えている読者層と実際の読者層が合っているのか、どのようなことが好みなのか、もしくは好みでないのかなど、リサーチが必要です。
S 慌てて進めるのは危険ですね。①リニューアルの目的や目標を設定する、②読者層の再設定をするなど順序立てて進めていきましょう。
U フルリニューアルを実施するならば、新しいコンセプトをしっかりと決定したいです。読者は学生なのか社会人かなど、細かく読者像(ペルソナ)を設定し、そこに届ける施策を行っていかなければいけません。一方、段階的なリニューアルであれば、マンネリ企画を変更し、読者の反応を見ながら施策を決めることもできます。
Y 読者のネガティブな意見を受け止めるのも大切です。これまで積み重ねてきたものを全否定するのではなく、何に読者は不満を持っているのか、改善策はすぐにできるものか、分析を重ねチームで共有する必要があります。
リニューアル後の反応はすぐに増えるもの?
Y 読者層を変えるためのリニューアルの場合、掲載する内容が変わりますから、これまでの読者が離れてしまうことは十分ありえます。反応が減って心配になるかもしれませんが、ゆっくりとでも期待した属性の読者層が増えていけば、リニューアルは成功といえるのではないでしょうか。
S リニューアルは「初回の1号分、最初の配信で終わり」ではないことにも注意が必要です。リニューアル前と比べて反応が減ったからといって、ここでさらに読者層を変えたり、大きな変更を加えたり、方向転換したりといったテコ入れを性急に進めるのはあまりお勧めできません。「費用をかけてリニューアルをしたのだから、次の会議で社内に報告する必要がある。成果が明確に出ていなければ、改善策を提出するのは当然でしょう?」との反論はもっともです。ただ、効果測定を行う時間軸について、リニューアルの計画時に、担当者だけでなく、社内でコンセンサスを作っておけば、性急なテコ入れは回避できるはずです。読者から次回を期待する声がくる最低でも3回は反応を待ちたいものです。リニューアル後の反響データが集まったら次の手を考えるのか、KPIの判断方法もあらかじめ、広報部と上層部の間で決めておきたいところです。
U 「ぐっとこらえて待つ」ですね。その間にリニューアルについての読者のご意見や、取り上げてほしい内容など、アンケートを実施して細やかに追いかける必要があります。反応が戻ってきたら、読者座談会などで、生のご意見を聞くのも一案です。読者と密にコミュニケーションをとるのは自社ファンを増やすのにも役立ちますね。日経BPコンサルティングには、調査の専門部署があるので、客観的なデータをもとに効果的なリニューアルをご提案できます。
S 紙媒体とWebサイトを組み合わせている企業もありますよね。年齢層の高い読者が多い会員誌や広報誌は、デジタル移行が難しい場合もあります。しかし、シンプルな構成にする、文字を読みやすくする、高齢者の心をつかむプレゼントや読者同士の交流の場を展開するのも一考ではないでしょうか。
Y Webによるメディア展開にハードルの高さを感じている場合は、メールマガジンから始めるのも一案です。どちらにしても双方向で読者とのコミュニケーションを持つことは大切になると考えています。