BJ トレンドフォーカス Vol.1

Xのポスト分析からみる、企業ブランド力の評価

  • 福田 孝太近影。

    ブランド本部ブランドコミュニケーション部 チーフプロデューサー 福田 孝太

第1回:Xのポスト分析からみる、企業ブランド力の評価

日本国内の月間アクティブユーザー数が、6650万人(23年12月現在)と言われるX(旧Twitter)。若年層だけでなく、幅広い年代で利用されている国内最大級のSNSプラットフォームの一つですが、個人でのコミュニケーションツールとしてだけではなく、企業のブランディングツールとしても、すでに多くの企業で採用されていることはご存じの通りかと思います。特にここ数年では、企業の一方的な情報発信手段というよりは、商品・サービスの購入者を含む広く個人とのエンゲージメントツールとして、利活用の幅も広がりつつあるようです。Xは、企業にとって、もはや極めて重要なブランディングプラットフォームとなりました。

Xを利活用する企業は、日々、どの程度のブランド効果が見込めるかを検討し、また実際にあったのか把握しようと、様々なデジタルマーケティング企業が提供する多種多様なサービスを利用しています。

弊社においては、もともと、日本を代表するのべ1,500の企業・商品ブランドのブランド力を、毎年3月に発行している日本最大規模のブランド価値評価プロジェクトである 「ブランド・ジャパン」において、数値化・ランキング化しています。ですので、Xにおけるブランド・ジャパンの対象ブランドに関連するポストを収集し、分析することで、「ブランド・ジャパンにおけるブランド力」と、「ポストに上がる、企業の広報・PR活動、ブランド活動などのコミュニケーションに対する反応」の両者がそろいます。そこで、この両者を合わせてみて、「ブランドスコア変動の因果」のようなものが見られないか研究することにしました。

また同様に、Xポスト分析を通して、「日々様々な広報・PR活動をしている中で、一般の生活者の方からデイリーでどのような反応があるのか、また意味があったのかを知りたい」という企業の広報担当者のお悩みにも対応できるのではないかと考えました。

そのような背景から、Xでポストされている生活者の声を集め、企業ブランド評価の要因となり得るポストをデイリーでモニタリングでき、かつ広報の効果測定という難題を身近なところから手早くやれることを目的に、今回「Xポスト分析サービス」のリリースにいたりました。

分析を進めていると、最新版のブランド・ジャパン2024の企業ブランド力調査結果に影響を与えているような企業活動が、ポストから見られたり、個社ではなく、業種業態ごとに分析をまとめた機能を使って、「どのような広報活動が世間では受けているのか」「業種業態ごとのトレンドがどうなっているのか」が明らかになったりします。この分析結果を定期的に皆様にもご覧いただこうと思い、私たちは「企業ブランド評価/広報効果と、Xポストの関係性」に焦点を当てた、「BJ トレンドフォーカス」を連載することといたしました。

「BJ トレンドフォーカス」では、「Xポスト分析サービス」を活用し、この関係性について、両者がどのように影響し合い、相互に作用するのかをご紹介していきたいと思います。

イノベーティブ因子で、1000ブランド中の1位に

例えば、「ブランド・ジャパン2024」一般生活者編にノミネートの1000ブランド中、ブランド総合力が13位(2023年では47位)となった「ワークマン(https://www.workman.co.jp/)」。

ブランド・ジャパン2024の実査期間まで(2023年8月-12月)のポストを分析したところ、SNSアカウントを活用した顧客との直接対話や、商品の実用性とデザイン性を強調する投稿が高評価を得ていることが分かりました。これらはブランド総合力を構成する4つの因子(フレンドリー、コンビニエント、アウトスタンディング、イノベーティブ)の内、「フレンドリー」の向上に寄与したと考えられ、実際にフレンドリー順位は、前回の254位から、今回116位にランクアップしています。

また、ユーザーが実際に製品を使用している様子をシェアすることで、信頼性とブランドロイヤルティが向上したとも考えられます。

このシリーズを通じてブランド評価とX分析の新たな可能性について探求し、皆様にとって有益な情報をお届けしていきたいと考えています。 今後の更新もお楽しみにしていただければ幸いです。

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