「Webブランド調査2023-春夏」結果②
「Webブランド調査」自由意見から考える、「ごちゃごちゃしている」Webサイトとは?
サイトの使い勝手に大きな影響を与える「文字の読みやすさ」
「Webブランド調査」では、Webサイトのデザイン、コンテンツに関する評価やサイトの魅力について、回答者の「生の声」を把握するため、サイトの改善点や利用(再訪)意向に関する自由記述回答を設けている。評価指標のうち、「サイト・ユーザビリティ」に関する自由回答としては、「文字の読みやすさ、デザインの見やすさ」「内容(コンテンツ)の分かりやすさ」「情報の探しやすさ」「全体的な使い勝手」の4つの観点で「改善したほうが良いと感じられる点」を尋ねている。
調査対象となる500のサイトの「ユーザビリティの改善点」について、「Webブランド調査2023-春夏」では延べ8647件の回答が得られた。サイトのユーザビリティに対してどのような指摘が挙がっているかを把握するために、出現頻度が高い単語を抽出した(図1)。
最も多く現れた単語は「文字」。情報を伝える根幹となる「文字」の読みやすさ、分かりやすさは、当然のことながらサイトの使い勝手に大きな影響を与えていることが確認できる。
図1 「サイト・ユーザビリティ」の改善点 出現頻度が高い単語ランキング トップ20
順位 | 単語 | 品詞 | 件数 | 割合(%) |
---|---|---|---|---|
1 | 文字 | 名詞 | 689 | 8.0 |
2 | 多い | 形容詞 | 660 | 7.6 |
3 | 探す | 動詞 | 552 | 6.4 |
4 | 情報 | 名詞 | 425 | 4.9 |
5 | 使う | 動詞 | 387 | 4.5 |
6 | 大きい | 形容詞 | 361 | 4.2 |
7 | 小さい | 形容詞 | 318 | 3.7 |
8 | ごちゃごちゃ | 形容詞 | 247 | 2.9 |
8 | トップページ | 名詞 | 247 | 2.9 |
10 | 画像 | 名詞 | 204 | 2.4 |
11 | シンプルだ | 形容詞 | 190 | 2.2 |
12 | 商品 | 名詞 | 186 | 2.2 |
13 | 写真 | 名詞 | 180 | 2.1 |
14 | デザイン | 名詞 | 166 | 1.9 |
15 | 全体的だ | 形容詞 | 165 | 1.9 |
16 | 内容 | 名詞 | 164 | 1.9 |
17 | コンテンツ | 名詞 | 140 | 1.6 |
18 | ページ | 名詞 | 128 | 1.5 |
19 | 情報量 | 名詞 | 123 | 1.4 |
20 | 色 | 名詞 | 119 | 1.4 |
- ※調査対象500サイトの自由意見全体を集計した結果。延べ件数(8,647件)を分母とする出現頻度件数の割合を示す。順位は、件数で付けている。「思う」「言う」など、一部対象外とした単語もある。
サイトが「ごちゃごちゃ」した印象を与える3つの要素
本稿では、ランキング上位に入った「ごちゃごちゃ」という単語に着目したい。サイト全体の見づらさを表す表現として、この「ごちゃごちゃ」という言葉をよく耳にするが、具体的にはどのような状態を表しているのだろうか。実際に得られた自由回答の結果から、「ごちゃごちゃ」の要因となっていると思われる、3つのポイントを挙げる。
(1)文字、画像の量が多すぎる
「ごちゃごちゃと文字や写真ばかりで、どんなサイトなのか分からない」
「コンテンツが多すぎて文字も写真も小さくてごちゃごちゃしている印象」
「ごちゃごちゃしている」と指摘されているサイトでは、文字や画像(写真)の多さに対する意見が多く見られる。伝えたい内容を詰め込みすぎていないか、情報量が適切か、見直しが必要な状態といえる。また、テキスト中心になりすぎていないかといった、表現方法の工夫も重要だ。
(2)要素間の余白が少なく、詰まった印象を与えている
「少しごちゃごちゃしていて、もう少し余白などがあった方が見やすいと思った」
「ごちゃごちゃしていて画像がくっつきすぎて情報が入ってこない」
(1)とも関連するが、画像(バナー)などサイト上の各要素が隙間なく配置されており、同時に複数の情報が目に入ってくるサイトも、「ごちゃごちゃした」印象を与えている可能性がある。特にスマートフォンからの閲覧の場合には、指での操作性が重要となるため、行間や余白に余裕がある構成を心がけたい。
(3)情報整理の仕方に一貫性がない
「いろんなものがゴチャゴチャしていて、メインの軸が無い」
「情報がごちゃごちゃしていて何を一番アピールしたいか分からない」
文字や画像の量や配置といった視覚的な要素に加えて、サイトの構成の分かりやすさも重要なポイントとなっている。情報カテゴリごとにコンテンツをまとめるなど、どこにどのような情報があるのか、初めてアクセスした人でも理解できるサイトづくりが大切だ。
サイトのユーザビリティを向上させるためには、ユーザーの視点でサイトづくりをすることが不可欠だ。アンケートやインタビューといった調査を通じて、実際にサイトに訪れた人の声を聞くことは、より使い勝手の良いWebサイトに近づくための第一歩といえる。
■Webブランド調査について
(URL:https://consult.nikkeibp.co.jp/branding/solutions/web-brand/)
調査目的 | Webサイトのブランド力を測定し、企業や団体のWebにおけるブランドコミュニケーション戦略の成果を定点観測する |
---|---|
調査手法 | インターネット調査 |
調査対象 | 全国、20歳以上のインターネット・ユーザー (日経BPコンサルティングの提携調査会社の調査モニター) |
有効回答数 | 35,784件 |
調査対象ブランド | 企業や団体が運営する日本の主要500サイト |
調査実施期間 | 2023年4月11日(火)~2023年4月20日(木) ※半年ごとに年2回実施(春夏:4月、秋冬:10月) |
調査企画・実施 | 日経BPコンサルティング |
ブランド本部 ブランドコミュニケーション部 コンサルタント
池田 梨子(いけだ・りこ)
Webサイト評価調査「Webブランド調査」を担当するほか、各種ブランド調査やメッセージ制作などのブランディング支援に従事。周年事業センターのコンサルタントとして周年事業の支援も行う。2016年3月、日経BPコンサルティング入社。
※このプロフィールは、掲載時点のものです。最新のものとは異なる場合があります。