事例紹介ビレッジハウス・マネジメントの社内報
離れていても社員の顔が見える、社内報は重要なコミュニケーションツール
2022.09.26
ブランディング > 事例紹介/ホワイトペーパー
文=牛島美笛
写真=吉澤咲子
構成=原沢節子
急成長を遂げた全社の「一体感」を醸成する社内報
社内報を発行することになった経緯を教えてください。
ビレッジハウス・マネジメント
コミュニケーション本部
コミュニケーション本部長
平田 陽一 氏
平田 社内報発行の経緯には、当社の成り立ちが大きく影響しています。ビレッジハウス・マネジメントは、親会社であるフォートレス・インベストメント・グループが取得した全国にある雇用促進住宅と呼ばれる国保有の公営住宅を「ビレッジハウス」にリブランドし、管理運営する会社として設立されました。当初の社員は私を含め数人程度で、取得した物件の入居者募集といった営業活動や、人事総務などのバックオフィス機能だけがある会社でした。実際の物件管理や入居者対応、現地管理人業務は従前の管理体制を引き継ぎ、別の会社へ委託する形で、当社を含む数社がビレッジハウスの運営に当たっていたのです。
その後、物件管理を委託していた会社の社員を引き受けて管理業務を内製化し、さらに2020年4月には全国550人の管理人さんを外部委託ではなく直接雇用に切り替えました。これにより全ての業務をビレッジハウス・マネジメントとして行えるようになるとともに、社員数が1000人以上に急拡大したのです。
急速に社員数が増えたので、全社で「一体感」を醸成するようなツールの必要性を感じるようになったのが社内報発行のきっかけです。社内報を通じて社員に対して理念を発信し、社員の顔を見えるようにしてコミュニケーションを活性化することが狙いでした。そして、2020年9月に創刊号を発行しました。
社内のコミュニケーション促進のために、どのような点を意識していますか。
平田 組織拡大に伴って、経営陣と顔を合わせた経験がない社員も出てきます。特に従前から業務に携わっていた社員にとっては業務内容はこれまでと同様だとしても、運営会社が変わったことでやり方が変わる部分もあります。そこで、経営トップの考えや運営方針を伝えることを意識していました。
また、当社は東京の本社以外に北海道から福岡まで全国7拠点の支社があります。お互いに顔を見たことがない社員も多いので、社員の顔が見えるような誌面になるようにしています。
ビレッジハウス・マネジメント
コミュニケーション本部
若林 裕子 氏
若林 社内報に掲載された写真から名前と顔が一致し、さらに趣味や人となりも分かるので、「今までメールのやりとりしかしていなかった人にも親近感が湧く」という意見をもらいました。他にも、「コミュニケーションが取りやすくなった」「仕事の依頼をしやすくなった」という声も聞かれます。社内報は重要なコミュニケーションツールだなと思っています。
平田 社員が自宅で家族と一緒に読める内容で、かつリビングになじむような冊子にしたいというCEOの想いに沿って、写真やデザイン、紙質といったクオリティも重視しています。
若林 じっくり読み込むというより、ぱっと見て楽しめる記事を心掛けています。写真を多めにして、気軽にページをめくってほしいと思っています。
社員の素顔が見えて、楽しさを感じる誌面づくり
社内報制作はどのような体制で行っていますか。
平田 社内で担当しているのは、コミュニケーション本部の私と若林の2人です。日経BPコンサルティングのことは、当社の広報をサポートしているエイレックスから紹介されて知りました。豊富な実績があるとのことでしたし、デザインや編集など総合的に信頼できると聞いており、実際に担当の方とお話しして支援をお願いしたいと思いました。即決したと記憶しています。
日経BPコンサルティングには、各号の企画から編集、制作まで関わってもらっていて、提案内容やデザインなど全体的に満足しています。私たちが提供する文字情報や画像など、どのようなレベルの素材でもすごく魅力的に仕上げてくれるので、毎回感心しているんです。
若林 支社紹介のページでは、各地に私がカメラを持っていって撮影することが多いのですが、そういうときでも事前に撮影ポーズを提案してくれるので助かっています。中には「ちょっと弾け過ぎでは」と思うようなポーズ案もありますが、支社の社員はノリノリでやってくれて、結果すごく楽しくて明るい誌面になっています。
デザイン面も動きがあって楽しい雰囲気がとても気に入っていて、入居者募集の広告などを作るときにデザインの参考にさせてもらっています。
支社ごとの個性が出るよう、毎回ポーズを提案。ノリノリで応えてくれるのもビレッジハウスの社風ならでは
人気が高いのはどのような企画でしょうか。
若林 最後のページに掲載している、管理人さんの「東西対決」はいつも人気です。管理人さんが自分たちで撮ってきた写真をたくさん載せていて、趣味で育てている野菜やお孫さんと一緒に撮った写真など人となりが感じられると好評です。
平田 しかも、毎号各支社から管理人さんを推薦してもらうので支社も社内報づくりに参加してもらうことになり、その点でもとても良い企画だと思います。創刊から9号にわたって続いている企画なので、「そろそろ自分の番かも」と思っている管理人さんもいるかもしれません。
全国に散らばる物件を管理する管理人さんが、
ご当地自慢や自己紹介、仕事への思いを語る「東西対決」
若林 ただ、原稿の手配に思いのほか時間がかかっています。この企画に限ったことではありませんが、いつも締め切り間際まで原稿の調整をしています。
平田 特に巻頭特集は企画内容を決める段階でも時間を要しますし、地方に行く場合でも支社から本社に来てもらう場合でも日程調整ではいつも苦労しています。結局のところ、スケジュールのしわ寄せがいつも日経BPコンサルティングの皆さんにいってしまうのが申し訳ないのですが、そんな状況でも最後はしっかりまとめていただいているので本当に助かっています。
「社員参加型」「双方向性」を意識して次のステップへ
今後はどのような誌面を作っていきたいですか。
若林 2022年の春号から表紙は社内部活動のカメラ部に所属している管理人さんが撮影した写真を掲載しています。他のページも多くの社員が参加してくれる企画になればと思っています。イラストや絵、旅行やグルメなど何か社員が得意なことや趣味などを通じて社内報で発信する場ができれば理想ですね。
創刊号はコーポレートカラーの青とオレンジをイメージした青空に旗。その後は、季節をテーマに展開。7号目からはプロ級の腕前をもつ管理人さんの写真が表紙を飾っている
平田 創刊以来、毎号何かしら新しい企画を取り入れてきました。それはこれからも変わりません。支社紹介の記事もそろそろ全支社制覇してしまうので、新しい切り口も考えていきたいですね。
今困っている社内コミュニケーションについての課題は何でしょうか。
平田 コロナ禍で在宅勤務の社員が増えてからPDF化した社内報を社員に送っていたのですが、イントラ環境の整備など、社員がもっと気軽にどこでも見られるようなWEB環境を整備していければと考えています。
特に重要になるのが「双方向性」ですね。今のような紙の社内報だとしても、社員が企画に参加して一緒に作っているような感じが出るような企画を盛り込んでいきたいです。
若林 社内アンケートについても、回答や集計がしやすい仕組みやシステムがあれば、社内報でももっとアンケートの企画ができるかなと思います。
最後に、社内報制作や広報を担当されている方に向けて、メッセージをお願いします。
平田 初めて社内報というものを作ってみて、会社側の「伝えたいこと」と社員の「知りたいこと」をきちんとマッチングさせた媒体にすることが大切なのだと分かりました。企業理念やトップのメッセージを伝えるのも社内報の重要な役割ですが、そればかりでは堅苦しい印象も拭えません。どのような社内報なら読みたいか、社員のニーズをくみ取ることも重要です。その視点がないと、媒体として長続きしないのではないでしょうか。
当社の社内報は、一般の企業の社内報と比べると堅苦しくない楽しい記事の割合が多過ぎるかもしれませんが(笑)。ただそれも社内報に対する経営陣の考え方があってのことです。そんなふうに企業文化を垣間見ることもできるので、社内報は面白いメディアだと思います。
事例概要
社内報『GOOOOD LIFE』
- 発行主:ビレッジハウス・マネジメント株式会社
発行形態:A4判、16ページ、オールカラー、中綴じ
発行時期:年4回(3月、6月、9月、12月)
主な読者:全従業員とその家族
発行部数:1200部
発行方法:本社、支社ごとに手配り
創刊:2020年9月