“奪い合う”のではなく“活用し合う”地方共存戦略

2020.10.19

マーケティングリサーチ

  • 20201019_1_profile.jpg

    デジタル本部コンサルティング部 中藤 宏平

“奪い合う”のではなく“活用し合う”地方共存戦略

日本にとって、「人口減少問題」は避けては通れない。
労働力の減少による経済的打撃を真っ先に受けるのは「地方」だ。一方、新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、技術力を海外に依存していた企業は見直しを迫られ、国内、特に地方への関心が高まっている。これからは、日本の中で生産労働力を“奪い合う”のではなく“活用し合う”ことが得策ではないだろうか。「人口減少問題」から見えてきたのは、労働力の活用による地方の活性化と地方に埋没する優れた技術を役立てることの重要性だ。


地方創生の本質は労働力を奪い合うことではない

人口減少は誰もが知っている社会課題。しかし、ここで重要なのは人口減少によって引き起こされる「労働力不足による地域経済の衰退」だ。地方での人口減少の原因は大きく分けて2つあり、「地域内での出生数の減少」と「若者の大都市への流出」である。これらの減少・流出した労働力を補うために、地方自治体では働き手の流入を増やして活性化を図る施策が多く実施されている。これは政府が掲げる地方創生の基本目標が「東京一極集中」を是正することに重きが置かれているからだ。よって地方自治体は補助金を使った企業誘致や移住者への支援金施策による流入を図る。しかし、他の地方自治体でも同様の施策を講じているので、日本国内の労働力を奪い合う状況になってしまっているのだ。

新型コロナウイルス感染拡大によるサプライチェーンの再構築

一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、生産体制を海外に構築することによるコスト削減以上に、防疫やブロック経済化によるリスク回避を行うべく、サプライチェーンの見直しが広がっている。経済産業省による「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」では、海外で構築した生産体制を国内へ移管する際、1件で最大150億円を補助。海外依存度が高い製品や素材を国内調達に切り替えることにより、サプライチェーンの分断リスクの低減や非常時の円滑な供給体制の構築を狙う。しかし、国内回帰の機運が高まる中、特に関心の集まる地方では、優れた技術情報を持つ企業の情報発信がうまくなされていないように思う。地方に埋没している企業情報をしっかりと伝える環境を整えることが、労働力を活用し地方の活性化を促進する鍵ではないだろうか。「地方」と「東京」、「地方」と「地方」で、労働力を“奪い合う”のではなく、特徴を“活用し合う”関係を構築することが、互いの共存と日本国内の生産性向上につながるはずだ。

「ものづくり県」静岡県の施策

具体的な施策例として、10月14日にOPENした、技術情報Webサイト「テクノロジー静岡」を紹介する。静岡県は二輪自動車や原動機付き自転車などの輸送用機器産業における一大集積地であり、ものづくりが盛んな県として知られている。

「テクノロジー静岡」は、多彩な産業を支える静岡県内企業の優れた技術情報をデータベース化した技術情報Webサイトだ。企業間の効果的な連携や異分野間の結合を促進し、新しい価値の創造を目指す。材料・技術による課題解決に向けて連携先を探している企業、サプライチェーンの多元化を図る企業に向けて、有益な情報を継続的に提供する。

静岡県内企業の優れた技術情報をデータベース化した技術情報Webサイト「テクノロジー静岡

まさに、労働力を“奪い合う”のではなく、企業間の技術や知見を“活用し合う”関係を促進させるための施策である「テクノロジー静岡」は、ニューノーマル時代の地方共存戦略の1つになるだろう。

中藤 宏平

デジタル本部 コンサルティング部
中藤 宏平(なかとう・こうへい)

企業広報、制作ディレクターとして、数多くのPR業務を担当し、企業のコミュニケーションプランの企画・実行に従事。 2019年5月、日経BPコンサルティング入社。

 

日経BPコンサルティング通信

配信リストへの登録(無料)

日経BPコンサルティングが編集・発行している月2回刊(毎月第2週、第4週)の無料メールマガジンです。企業・団体のコミュニケーション戦略に関わる方々へ向け、新規オープンしたCCL. とも連動して、当社独自の取材記事や調査データをいち早くお届けします。

メルマガ配信お申し込みフォーム

まずはご相談ください

日経BPグループの知見を備えたスペシャリストが
企業広報とマーケティングの課題を解決します。

お問い合わせはこちら