経営戦略を一変。5G活用勉強会レポート 第2回
5Gの技術と動向
編集:デジタル本部コンサルティング部 豊田康裕 / ライター:菊地原博
近くて遠い存在「5G」
2020年の実用化が迫る5G。5Gの技術は超高速・大容量、低遅延、多数同時接続など高いスペックを持っていることはほとんどの人が知っている一方で、それがどこまで必要なのかという点は意見がわかれています。5Gの用途について、自動運転や遠隔医療の話題は知っていても、自社の事業に置き換えて、考えている人はまだ多くないようです。
また5Gの普及、未来予想についても、国の方針や通信キャリアの動きなどの情報は得ているものの、しばらく様子を見て、いろいろ決まってくれば考えたいという企業が多いようです。
伊達 「今、5Gに対して静観していると、普及が進んだ時点で、遅れを取ることになってしまう企業が続出する可能性が高いと思われます。用途は与えられるものではなく、創り出すものです。勉強会を通じて、共創・異業種連携型のPoC(概念実証)を実施していきたいと考えています」
5Gの視点はバラバラ。一度俯瞰してみよう。
ここで、5Gの報道のされ方をいくつかの視点から見てみます。
技術的な視点で見ると、日経BP社の「日経XTECH(クロステック)」の2019年3月1日時点での記事件数は4274件、デバイスや基地局(設備)、速度などのスペック中心です。実際の使いみちや使い勝手の視点では語られていません。
一方、消費者的な視点で見ると、同じく「日経XTREND(クロストレンド)」では記事件数は46件。コンテンツ(動画)や新サービス、動画2.0などの新潮流が中心ですが、具体的なアイデアはまだまだ多くはありません。
また経済的な視点で見ると、「日経ビジネス」では記事件数74件で、組織、政治、事業、市場、投資などが中心でした。5Gの捉え方は様々で、三者三様、結局、経営者の考え方次第になっています。
5Gの捉え方は様々です。
- 技術視点では「超高速大容量、低遅延、多数同時接続」
- 経済視点では「46兆8,000億円の経済効果」
- 消費者視点では「2時間の動画を3秒でダウンロード」
など、バラバラの視点で語られています。
多様な視点を有機的につなげ、次のステップに進めていくためには、共通の目的意識が必要です。私たちは「社会課題」という概念が、その「共通の目的意識」として、最適なのではないかと考えています。
社会課題と5Gについては、総務省の検討会で議論がなされています。 日本社会において特に重要度の高いと思われる、地方過疎、超高齢社会、労働人口減少、インフラ脆弱化などの問題に対して、どう対処するかという視点でイメージが共有されています。
今後5G活用はどのように進んでいくのでしょうか。
日経BPコンサルティングでは下記のような予測をしています。
2019年、20年の5G実用化段階では、わかりやすく5Gの特性が活かされる、遠隔医療、自動運転、エンタメなど特定分野での活用が進みます。
本格的な普及が予想される2025年には日本企業の多くが持つ、人手不足解消、製品価値向上、販売効率化、といった課題を5Gで解決するようになります。
2030年には、3人に1人が65歳以上など、日本社会の課題が深刻化するなか、個別の企業課題ではなく、社会全体の課題をクロスインダストリー的に解決する世界になります。
これらの流れを踏まえ日経BPコンサルティングでは、
- SDGsという、包括的な”共通認識”の活用
- 5Gが可能にする”クロスインダストリー”的解決策
の2点を中心に据えることが重要と考えています。
SDGsという、官民、世界共通の目標を中心に据えることで、現在一部でなされている議論を共通化し、より強力に推進することができます。
また課題先進国である日本では、その解決を目に見えて実行しやすく、成功事例として、世界展開も視野に入ります。その際世界共通言語である”SDGs”をもとにしていることは大きな意味を持ちます。
また、5Gが実現する「様々な場所、シーンで取得した、様々なデータを一瞬で統合/処理、高度な出力が可能」という世界では、異業種が持つデータ、知見、設備、顧客接点などのアセットが今までつながらなかった形でつながり、あらゆるサービスがクロスインダストリー化します。
日経BPコンサルティングでは
- 「SDGsを中心に据え、クロスインダストリーで社会課題を解決する」
というコンセプトのもと
企業が5Gを活用する上で必要な情報の提供、マッチングによる共創支援、アイデア提供やPoCの企画などを行っていきます。
歴史から学ぶ、5G
歴史から学ぶと5Gの可能性が見えてきます。約10年スパンで、デバイス、通信スペックなどが大きく進化、あわせて、人のコミュニケーションや提供されるサービスは大きく変わってきました。
ネットの普及、スマホの普及など大きな変化があるたびに、適応できた企業とそうではない企業の差が大きく開いてきました。
5Gという分岐点を、飛躍のきっかけにしていただくため、日経BPコンサルティングの5G活用用途創出プロジェクトをぜひご活用いただければと思います。
マーケティング本部コンサルティング部
豊田康裕(とよだ・やすひろ)
コンビニエンスストア大手オペレーション部門を経て現職。
飲料/食品メーカー、機器メーカー、インフラ、大学などのビジネス支援を行う。