企業ブランド向上をもたらすSDGsのストーリー発信

SDGsで企業の未来とブランドをデザインする

2019.03.06

ESG/SDGs

  • 松﨑 祥悟

    サステナビリティ本部 コンサルタント 松﨑 祥悟、清水 秀起

SDGs施策の第一歩は、自社の事業や製品などがどのように社会貢献しているかを分析することです。
SDGsを、ブランド作りの要にしてもよいのでしょうか?
よいのです!
間違いなくブランドの向上につながります。
なぜなら、ブランドアップしたいターゲットへ素直に伝わり、腹落ちしてもらえるストーリーを、”世界の共通言語”の文脈で発信できるからです。
SDGsデザインセンターから、SDGsを軸としたコンテンツ作成のコツと、ブランドアップに効く語り方についてお届けします。

「SDGsって、当社の製品・サービスと関係ない気がする。かと言って、SDGsのためだけに、社会に貢献する製品・サービスを新たに立ち上げるのは大変だし、そこまでしてもマーケティング、ブランディング面では無意味なのでは?」
ご相談をいただくお客様から、このような話をよく聞きます。

しかし、ご安心ください。SDGsは、企業ブランドの向上に、関係も、意味も、大いにあります。
それに、社会貢献する製品・サービスを、新しく立ち上げる必要は必ずしもありません。それは“貴社の製品・サービスは、必ず誰かの役に立っているから”です。

その“誰かの役に立っている”点と、SDGsとを、ターゲットに響く“ストーリー”でつなぎましょう。ストーリーでつなぐことで、ブランドアップへの期待が大きく拡大する点が、SDGsの活用メリットの一つです。
まず、これまで企業として力を注いできた取り組みや、製品・サービスを、社会的な側面で棚卸しをし、SDGsの文脈に乗せてみましょう。例えば製造業であれば、バリューチェーンにSDGsをマッピングし、影響領域を見える化できます。バリューチェーンを通じて事業活動がSDGs に及ぼしている、あるいは及ぼす可能性のある、正および負の影響の全体像を、把握できるでしょう。

持続可能な開発目標として掲げられた「世界を変えるための17の目標」のロゴ

SDGsロゴは、世界を変えるための17の目標を示している

2015年の国連サミットで、加盟193か国が2030年までに解決すべき社会課題として掲げた、17の目標がSDGs。すなわち「Sustainable Development Goals」、日本語にすると「持続可能な開発目標」です。国だけではなく、企業の積極的な参加も求められているのが特徴です。

企業文化に根差す取り組みをSDGsと照らし合わせ、ブランドアップへ

たとえば、伊藤園がお茶の原材料を確保するために取り組んできた、「茶産地育成事業」がいい例です。使われなくなった耕地や土地を再利用して茶産地にするという取り組み。同時に生産農家の育成を図り、高品質な原料の安定的な調達につなげるものです。
主力製品の原材料確保のために、産地を開拓、育成することは、企業ブランド向上の観点においてごく当然の取り組みです。しかも、新しく始めたのではなく、以前から取り組んでいた事業です。

ただし、原料産地の再利用や確保、バリューチェーンという製造業として普通の取り組みを紹介しただけでは、どこが優れているのかが読者に理解されにくく、企業ブランドの向上にはつながりにくいでしょう。そこで大事になってくるのが、SDGsの文脈に乗せるということです。

伊藤園では、これまでも取り組んで来た、普通の事業にスポットを当て、茶産地育成という調達から、製造・物流、商品企画・開発、営業・販売までのバリューチェーンを、「茶畑から茶がらまで」というストーリーでつなぐことによって、SDGsの文脈に載せ、世の中に発信したわけです。

結果として、茶産地育成事業や茶殻リサイクルシステムなどの取り組みは、米フォーチュン誌の「世界を変える企業50社」にて伊藤園が18位に選定されるという評価につながりました。

(参照)「発信型三方よし」でサステナビリティを追求

今後の日本におけるSDGsの広がり

SDGsは日本においてはまだまだビジネスパーソン間のキーワード。いくら国連が掲げ、世界共通言語といわれていても、社会一般の人々には理解されにくいおそれもあります。
とはいえ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや、2025年の大阪万博で開催や運営の目的、コンセプトに掲げられていますから、今後は広く理解を得やすくなっていくでしょう。

SDGsにまつわるこれまでと今後の動向

2019年 G20大阪サミット
TICAD7
初のSDGs首脳級会合
2020年 東京オリンピック・パラリンピック大会
2025年 大阪・関西万博の開催
2030年までに 世界が合意した持続可能な開発目標を達成

今後のSDGsをめぐるタイムライン

このような取り組みは決して大企業だけに求められているものではありません。環境省では、中小規模の企業向けに「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」を作成、SDGsへ取り組むことを促進しています。現に、SDGsの達成に向けて優れた取り組みを表彰する「ジャパンSDGsアワード」には大企業のみならず、中堅、中小企業も選定されています。大前提として、こうした取り組みを行うためには、SDGsについての理解を深め、自社の事業において正しく整理する必要があります。

日経BPコンサルティングのSDGsデザインセンターでは、企業の担当者様をご支援し、「SDGs」で企業の未来とブランドをデザインする専門チームを組み、皆様のお役に立てるよう、日々活動しております。
SDGsを企業、製品・サービスのブランドアップに役立てたいとお考えの場合は、貴社の現状分析から、SDGs視点での事業の整理、コンテンツとしての発信、ストーリー作り、そして会社案内やWebサイト、統合報告書といった発信媒体の制作までもお手伝いいたします。
「SDGsって何?」という基本的な内容を理解したい、というご要望からでもかまいません。SDGsデザインセンターにぜひ、お声掛けください。

なお、伊藤園でこの取り組みの中心となった笹谷秀光氏は、提携コンサルタントとして、SDGsデザインセンターにJOINいただいています。

(清水秀起、松﨑祥悟=SDGsデザインセンター・コンサルタント)

この連載は、2019年2月に開催した、マーケティング・テクノロジーフェア2019におけるミニセッションを再構成したものです

※この連載は、2019年2月に開催した、マーケティング・テクノロジーフェア2019におけるミニセッションを再構成したものです

SDGsデザインセンター コンサルタント
松﨑 祥悟(まつさき・しょうご)

これまでCSRレポートや統合報告書だけでなく、採用ツール、会社案内などの企業が発信すべき情報をステークホルダーに対応した形でお届けするカスタムメディアの制作に従事。紙、映像、Web、リアルイベントなど媒体ごとの特性も生かし、コミュニケーションを通じた企業の価値向上を支援。SDGsデザインセンター、周年事業センターのコンサルタントを歴任。

清水 秀起

SDGsデザインセンター コンサルタント
清水 秀起(しみず・ひでき)

大学時代に某教授のゼミでジェンダー論、フェミニズムを学ぶ。卒業後は出版社の月刊誌編集、IT企業のWebサイト編集・運営等を経て、弊社で企業のブランディング、マーケティング支援に従事。既成の社会観念や価値観に捉われない視点で、企業の本業とSDGs、ESG課題を分析し、貴社の持続可能な成長戦略と価値創造に寄与します。

連載:マーケあるある解決法

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