全国の都道府県の情報政策担当者が1年に2回、一堂に会して2日間にわたって、事前に定めたいくつかの政策テーマについて集中的に議論や意見交換を行う――。そうした場が「都道府県CIOフォーラム」であり、その運営事務を日経BP総研 イノベーションICTラボの電子行政分野の専門メディア「日経BPガバメントテクノロジー」が担っています。
都道府県CIOフォーラムは、都道府県および関係団体の情報化統括責任者(CIO)または情報化推進担当責任者(役職等は問わない)を委員・担当者として構成する任意団体です。メンバー相互の連携と情報共有を通して、住民本位の電子自治体の構築やICTを活用した地域活性化など、都道府県が抱える諸課題の解決に寄与することを目的に、2003年8月に設立されました。
写真1 2018年2月に開催した
都道府県CIOフォーラム 第15回春季会合の様子
8月の年次総会は会長が所属する団体で、2月の春季会合は東京で、総務省・全国知事会・地方公共団体情報システム機構(J-LIS)・全国地域情報化推進協会(APPLIC)の後援を得て開催しています。毎回テーマに応じて政府機関や市区町村、民間企業、研究者なども招いて、多様な視点から議論・意見交換を重ねています。会合参加者は総勢150人超の規模になります。
直近の会合は、2018年2月に東京都内で開催した第15回春季会合(写真1)。議会等で欠席した4団体を除く43都道府県の委員・担当者が参加しました。初日は、庁内での働き方改革にRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用する方策について、取り組みで先行する民間企業の導入責任者を招いて議論を交わしました。2日目午前はAI(人工知能)および各種データの行政分野での活用をテーマに、先行自治体の事例報告に基づいて議論。午後は内閣官房の政府CIO上席補佐官による「デジタル・ガバメント実行計画」の説明を受け、都道府県での取り組み方について意見交換を行いました。
写真2 都道府県CIOフォーラムでの
協賛社展示ブースの様子
同会合の冒頭議事では、政府機関・自治体など770団体が使用中の「電子入札システム」について、基盤ソフトウエアのベンダーサポート終了に伴い、システムの使用を継続できなくなる懸念が指摘されました。紙による手続きに戻るような混乱を避けるために関係者に働きかけるべきとの方針が採択され、会合終了後の運営委員会で具体策を検討。自らが同システムの最大ユーザーである国土交通省に対し、要請文を提出することを決定しました。会長・副会長を中心に内容を詰めていき、3月上旬には会長・副会長が国土交通省の担当官に大臣宛て要請文を手渡すとともに、内閣官房IT総合戦略室にも経緯を報告しました。
フォーラムの運営事務は、会長団体から委託を受ける形で、日経BPガバメントテクノロジーを核に日経BP社のイベント運営部門や協賛営業部門が連携して遂行しています。年次総会・春季会合の議論テーマを検討する運営委員会の企画・運営に始まり、プログラムの設計や招聘者の交渉、協賛提案、テーマに沿った事前アンケートの設計・実施・集計、配布資料集の制作、会場周りのロジスティクス、協賛展示のアレンジ(写真2)、情報交換会(立食形式)の設営など、会合の運営に関わるあらゆる事務をカバーしています。会合終了後には、メンバー限定でプレゼン資料のPDFダウンロードサービスも提供しています。
さらに会合の内容は、日経BPガバメントテクノロジー誌に10ページ程度の報告記事として掲載し、47都道府県に加えて1741市区町村や関連省庁にも無償で送付することで、フォーラムの成果を全自治体で共有できるようにしています。また、都道府県CIOフォーラムのメンバーであるCIOや情報政策担当者は、任期あるいは定期異動のために3年程度で交代するのが一般的です。つまり3年経つと、ほぼ全メンバーが入れ替わることになります。このため、会員名簿のメンテナンスも組織運営上の重要な事務となっています。
日経BP総研では、都道府県CIOフォーラムにおける電子行政の推進・地域活性化のような社会的な意義のある目標を持つ組織・団体に対し、運営事務などの活動を支援することが可能です。会合の企画・運営、Webサイトや雑誌を通した成果の発信などについて、経営と技術の多様な分野の研究員を擁する日経BP総研にぜひご相談いただければと思います。
日経BP総研 イノベーションICTラボ
井出 一仁