これまでのマーケティングのやり方では、うまくいかない。そんな中で注目を浴びているマーケティング手法の一つが「コンテンツマーケティング」です。
コンテンツマーケティングは、2011年頃から米国で注目を浴び始めたマーケティング手法で、日本でもこの手法を取り入れる企業が増えてきています。しかし関わる人によって様々な定義がされているため「これが正解」というものはまだありません。
デジタルマーケティング、Webマーケティング、インバウンドマーケティングといった言葉もあり、「どう違うのか」と戸惑っている人もいるでしょう。
コンテンツマーケティングとはどんなものか、これまでのマーケティングとどう違うのか、そして自分の会社ではどういったコンテンツマーケティングの実施が可能なのか……。
ここでは様々な専門用語の解説も交えながら、コンテンツマーケティングを実施するうえでの基礎知識を紹介していきましょう。
「無理やり売らないマーケティング手法」
従来のマーケティングとコンテンツマーケティングを比べるため、まずは身近な例を挙げましょう。テレビCMや雑誌広告などで商品名やサービス名を繰り返し伝え、お客に買ってもらう。これが従来のマーケティング方法で、いわば「売り手が買い手に押しつける」やり方です。
テレビや雑誌などのマスメディアが大きな影響力を持っていた時代はこれが当たり前でした。企業はよい製品・サービスを作り、広告費をかければモノやサービスが売れた時代でした。
しかしインターネットが普及し、検索エンジンやSNS(ソーシャルメディア)などを通じて、誰もが容易に情報を得られるようになると、買い手は本当に有益な情報を自ら探すようになりました。売り手の一方的なアプローチが効かなくなってきたのです。
そんな中で出てきたコンテンツマーケティングは、「お客に見つけてもらい、選んでもらうマーケティング」とも言えます。
コンテンツマーケティングでは、企業が売りたい商品やサービスと直接関係なくても、お客の好みに合うコンテンツ(後で述べますが、記事でも音楽でも白書でもかまいません)を提供して興味を持ってもらうことが第一。次に興味を持ったお客がその企業のWebサイトを訪問したり、問い合わせをし、最終的には商品やサービスを買ってくれるように持っていくことです。
コンテンツマーケティングでは、お客が何に興味を持つかという行動パターンを調べ、それに合ったコンテンツを作って、最適なタイミングで提供する必要があります。膨大な広告費を投じることよりも、コンテンツの選び方、作り方、提供の仕方に知恵と工夫が問われるのです。
それでは、お客にとって有益で魅力的なコンテンツとは、どんなものなのでしょうか?
よいコンテンツとは、どんなもの?
コンテンツマーケティングにおけるコンテンツとはどんなもので、よいコンテンツを作るにはどうしたらいいのでしょうか?
コンテンツ(contents)はそのまま訳すと「内容」ですが、主にネットなどを通じて見られるデジタルデータを指します。その中身は、文章でも動画でも白書でもかまいません。TwitterやFacebookなどのSNSに書かれたコメントやメッセージもコンテンツです。さらにいえば、デジタルではなくニュースレターや会報誌、広報誌などの紙のデータもコンテンツになりえます。
ただし、売り手が一方的に情報を出すだけで買い手にとって魅力がないものは、よいコンテンツとは言えません。
コンテンツマーケティングにおけるコンテンツのポイントは、「お客にとって魅力的な情報であること」「お客とのコミュニケーションを促進する情報であること」。つまり、「単なる情報」ではなく「戦略的に編集された情報」であることが必要です。
次回以降ではコンテンツマーケティングの歴史をひもときながら、BtoBのコンテンツマーケティングについても触れていきます。