周年事業研究員が語る周年事業ソリューション(5)
「周年史」は何のため?
- 2018年11月26日
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周年事業プロジェクトは「しらべる」「きめる」「つくる」「つたえる」の4つのフローで進めると、ブランディングやリクルーティングなどの目的を果たしやすくなります。第4回まで「しらべる」「きめる」フローのソリューションを紹介してきました。今回は「つくる」フローの定番である周年史を取り上げます。周年史制作のポイントを周年事業ラボの研究員に聞きました。
お答えする研究員
周年事業ラボ・コンサルタント
内野侑美
- 突然、周年史制作の担当になりました。何をどうすればよいか、まったく分かりません。
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「何のため」に周年史をつくるのか、周年事業プロジェクトのメンバーでまず話し合ってみてください。次に経営層にヒアリングを行い、自社の課題を聞き出します。本格的に課題を見いだすのであれば、従業員意識調査を行って自社の課題を定量的に抽出する方法もあります。つまり、自社の課題を解決する手段として周年史を位置づけるのです。
具体的な課題としては「対外的なブランディング」「事業承継」「新人教育」などが挙げられます。ブランディング強化のための周年史であれば、自社の理念・強みなどを前面に押し出した内容がよいでしょう。事業承継の下地づくりが目的なら、創業者の経営理論をまとめた内容も考えられます。経営手腕の理論化により企業DNAを次世代に残します。また、新人教育強化が目的であれば、現役社員のインタビューは必須でしょう。
目的が明確になれば、周年史の企画は自然と導き出せます。
- 周年を機に過去をまとめたいのですが、資料も写真も残っていません。
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組織として保存していなくても、従業員やOBが何かしらの資料・写真を持っているものです。従業員はもちろん、できるだけ多くのOBに聞いてみてください。特に創業メンバーが存命の場合は、そこからお宝となる資料・写真がたくさん出てくる場合があります。
創業メンバーに資料・写真の探索をお願いすると同時に、ヒアリングの機会を設けると、創業時の貴重な話が聞けます。著名な方との交流のエピソードが出てくる場合もあり、コンテンツの素材にもなります。ヒアリングはぜひ行ってください。
- スケジュールも予算もぎりぎりです。どうすればよいでしょうか。
- これだけは制作したいという核となるコンテンツを決めてください。確実に制作できる範囲を明確にしておきます。そのうえで、できればつくりたいコンテンツの制作は条件次第となります。制作に入る前に制作スタッフと正直に話し合い、文書化しておきましょう。取りかかったものの間に合わなかったり、追加費用が発生したりすると、プロジェクト全体が頓挫する場合もあります。
- 紙媒体ではなくWebサイトにしたいと考えています。
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周年コンテンツをWebサイトで掲載するケースが増えてきました。紙媒体にするか、Web媒体にするか。ポイントは「誰にどのように見てほしいか」です。例えば、紙媒体は営業が顧客にその場で渡せます。分量が多くてもぱらぱらとめくれば、顧客が興味のあるコンテンツにたどり着きやすいメリットもあります。一方、Web媒体は動画を埋め込むなど表現に幅があります。コンテンツに力があれば、従業員の感情を動かせるかもしれません。年表のように情報が追加されるコンテンツを更新しやすいのもメリットです。
媒体選択も目的から導き出すとよいでしょう。例えば、紙媒体はこれまでの感謝を伝えるためOBや従業員の家族に配布し、Web媒体はブランディングのため広く告知するなど、目的に応じて媒体を組み合わせる方法もあります。
周年事業ラボでは、診断貴社の周年事業プロジェクトについて診断ソリューションを用意しています。「体制面」「リソース面」「戦略面」の観点から貴社のプロジェクトの課題を分析します。
診断を希望される方は、「お問い合わせフォーム―お問い合わせ内容」に「周年事業診断申し込み」と記載してご連絡ください。
- 2018年11月26日
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