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周年事業1人ひとりの笑顔が語る“自社らしさ”

つくる過程を重視した未来志向。「トヨタ部品大阪共販50年史」

  • 文=平野優介
  • 2018年09月18日
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つくる過程を重視した未来志向。「トヨタ部品大阪共販50年史」

自動車業界が100年に一度の大転換を迎える中、トヨタ部品大阪共販は2018年、創立から50周年を迎えた。その一環として制作された周年史は、力強い赤を基調とする洗練されたデザインで全編が整えられ、50年の歴史を創ってきた社員一人ひとりのプロフェッショナルとしての想いと笑顔が、余すところなく詰めこまれている。

50年を節目に、社員一人ひとりの想いに寄り添うプロジェクト

1965年初頭から始まった日本のモータリゼーションの伸展や1971年の「資本の自由化」の中で、各自動車メーカーや車両販売店は量産・増販体制を強化し、激しい競争を繰り広げていた。この流れの中で、自動車の部品点数は大幅に増加。大阪府下のトヨタ純正部品の安定かつ適正な供給を目的として、1966年の東京共販に続き、1968年に全国2番目の共販会社として大阪共販は産声を上げた。

現在は、純正部品をディーラーや整備工場などに供給するだけでなく、トヨタ系列の共販会社の中では全国唯一のプライベートブランド「Tz(ティーズ)」を立ち上げるまでになった。しかし、電気自動車の登場以降、自動車業界が大きく変わっていく中で、今までにない新たな一歩を踏み出す「しかけ」が求められていた。

そこで、社内では、さらなる効率化や高齢化や将来的な人材不足という課題解決に向け、「Re BORN(リボーン)」と銘打ち、中期経営計画を策定。全社的なIT化や自動化技術のトライアル、人材育成研修などを意欲的に進めていた。

こうした背景もあり、50年史の制作においては、大阪共販を形づくる、物流部門、お客様対応部門、営業部門、通信部門、経営企画部門などへの座談会形式のヒアリングを通じて、全社的な議論を巻き起こすことを重視した。

さらに大阪共販らしさを表現しつつ一体感のある内容とすべく、プライベートブランドの今後の展開なども織り込みながら、過去の歴史にとどまらず、現状の課題と未来への思いを掘り起こしていった。

 

プロフェッショナルとしての想いと、笑顔の光る周年史

2018年6月、ついに「トヨタ部品大阪共販50年史」が出来上がる。サブタイトルは、「未来へ」。プロフェッショナルの顔が光る巻頭グラビアページに始まり、設立から現在までを振り返る「変革の軌跡」、Re BORNや人材育成といった未来へのトライアルを納めた「ミライ・チャレンジ」、そして全従業員が明るい笑顔と力強い一言で綴る「未来メッセージ」などで構成された。

巻頭グラビア。真摯な表情とともに、仕事を「楽しむ」という大阪共販の気風を垣間見られる

巻頭グラビア。真摯な表情とともに、仕事を「楽しむ」という大阪共販の気風を垣間見られる

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トヨタ部品大阪共販の過去の事実記載はもちろん、関係者へのヒアリング、社内報などを活用して丁寧に記述した「HISTORY OF 大阪共販“変革の軌跡”」。会社にとってのターニングポイントとなったメモリアルな写真も併せて掲載

トヨタ部品大阪共販の過去の事実記載はもちろん、関係者へのヒアリング、社内報などを活用して丁寧に記述した「HISTORY OF 大阪共販“変革の軌跡”」。会社にとってのターニングポイントとなったメモリアルな写真も併せて掲載

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未来への想いを詰め込んだ「FUTURE OF 大阪共販“ミライ・チャレンジ”」。「自ら動かす、自ら考える。アイデアはその後からついてくる」など、社員が実際にお客様とのやり取りや日々の中で学び取った想いが鮮やかに描き出される。“できるために考え、まずやってみる!”という大阪共販らしさを伝える

未来への想いを詰め込んだ「FUTURE OF 大阪共販“ミライ・チャレンジ”」。「自ら動かす、自ら考える。アイデアはその後からついてくる」など、社員が実際にお客様とのやり取りや日々の中で学び取った想いが鮮やかに描き出される。“できるために考え、まずやってみる!”という大阪共販らしさを伝える

 

周年担当者への全社的なバックアップが成功のカギ

プロジェクトを進めるに当たっては、未来視点を表現する難しさや、B to B業態としての特殊性を踏まえた文章表現、社内的なヒストリー検証が制作上の課題だった。

この課題解決のために、創業当時をよく知るベテランスタッフを編集協力者に加えた。さらに、担当者に情報を一元的に集約。直属の上司や、経営層による強力な協力体制も整えた。

「周年史の制作を見越して、写真や画像の保管はしていなかった。年代や出来事の整理に苦労したが、アーカイブ化への良い機会となった。自分にとっても、未来に自分たちの足跡が残せる機会に恵まれ大きな財産となった」と周年プロジェクトを担当した経営企画課の伊藤秀美氏は当時を振り返る。また、効果についても次のように語る。

「読みやすい形にレイアウトでき、会社の成り立ちをテーマごとにコンパクトにまとめられたので、今後は人事研修への活用やオフサイトミーティングや議論の題材として活用できる」

 

大阪共販の周年プロジェクトでは、座談会などを通し、過去の担当者と現在の担当者が言葉を交わし、心の距離を縮めていった。社史や周年史で大切なのは、出来上がりのその先にある目的達成、つまりは効果だ。アウトプットそのものと同等、それ以上にプロセスを重視したい。だからこそ、自分たちらしいやり方でやる。そうすれば周年事業は、自分たちの未来を紡ぐ契機となり得るだろう。

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「トヨタ部品大阪共販50年史」の裏表紙。プライベートブランド「Tz」のマークが鮮やかに描き出されている。Tは「Try、Together、Trust」、Zは「未知あるいは無限の可能性」を示す

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  • 2018年09月18日
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