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周年事業周年小ネタ書評(6)

『現代用語の基礎知識 昭和編』のアーカイブ力が熱い

  • 文=平野優介
  • 2018年12月17日
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『現代用語の基礎知識 昭和編』のアーカイブ力が熱い

毎年この季節になると書店で広く目にする『現代用語の基礎知識』(自由国民社)。時代を彩る“現代”用語を収録し続けてきた本書が、創刊70周年を迎えた。その記念として、創刊となる1948年から89年までを網羅した「昭和編」が2018年11月に発刊された。本書のページをめくると、昭和初期の激動期はもちろん、歌手・美空ひばりの若き日やモータリゼーション、東大紛争、大阪万博などの写真、各年の特集紙面の再録を通じ、多くの企業が発展を遂げた高度成長時代の熱気が伝わってくる。

時代の姿を丁寧に記録し続けた「写し鏡」

「昭和編」は、創刊以前の昭和元年(1926年)からの時局語や用語の紹介から始まる。例えば、昭和5年(1930年)は「OK」、昭和9年(1934年)は「忠犬ハチ公」と、現在も耳なじみのある言葉が並び、新鮮だ。

創刊年の項目には、「鉄のカーテン」や「三十八度線」「経済民主化」など、東西対立や戦後の混乱といった当時の世相を想起させるワードが並ぶ。一方で、「アロハ・シャツ」は、こう解説されている。

「ハワイ、マニラあたりの流行で、型は半袖長袖。ポケットは両ポケと三ポケの二種、衿は大きくやわらかい絹ででき、ケバケバしい絵模様と格子が多くズボンの上に垂らす。街のアンチャン連中の愛好するものである」

当時はまだ珍しかったのだろう。新しい時代の息吹を柔軟に紹介しようとする編集姿勢がうかがえる。編集後記もウィットに富む。昭和34年(1959年)の編集後記の一節を引用する。

「今年版から本書の大きさが、A5判に拡大されたことをお知らせしたい。従来のB6判時代から本書の収載語数の豊富さは類書を圧倒していたが、その結果、千ページ以上の枕みたいな厚みになり、使用に不便を訴える投書が多くなった。A5判に拡大した以上、われわれはしばらく「枕」の心配をせずに表紙の標語通り、“時代の鼓動をそのまま反射”して毎年成長する新語年鑑を作っていけると思う」

ちなみに、「東京タワー」が定着し、本書に登場するのもこの昭和34年。前年においては、「総合電波塔」として紹介されている。また、昭和44年(1969年)には、現在でもよく耳にする「超高層」が紹介される。ただこの頃の超高層は、約20階建てのビルを指している。

以降も『現代用語の基礎知識』は時代の姿を映し続けてきた。昭和期に掲載された記事に沿って戦後と経済成長を振り返る本書は、昭和という時代のアーカイブともいえる。

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大都市・東京の発展を見守り続けてきた東京タワーも2018年で創業60周年を迎えた。『現代用語の基礎知識』に初めて掲載されたときには、「総合電波塔」として紹介されていた

 

アーカイブが支える自社の「らしさ」

翻って、社史制作を始めとする周年事業プロジェクトに視点を移してみたい。周年事業プロジェクトにおいても、ステークホルダーへのヒアリングや過去資料の洗い出しを進める中で、創業の理念や社員一人ひとりの価値観を示す言葉が数多く見つかる。これらを整理・分類すれば、自社の「らしさ」を象徴する言葉へとつながっていく。

また周年事業プロジェクトで整理・分類された資料は、その後も更新し続ければ、「自社のアーカイブ」として機能していく。ベテラン社員の若いころの写真を見て得られるのは、なにも髪型の変化だけにとどまらない。その時代の背景や課題が同時に語られるはずだ。

閲覧時に目的の写真や文書資料に素早くたどりつける導線づくりも重要だ。アーカイブが機能的・内容的に充実すれば、過去の取り組みを学び、新たな商品開発やプロモーション活動実施のヒントを得る“キーワード辞典”となり得るだろう。

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  • 2018年12月17日
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