製造業の情報共有に課題あり、見直しで年間70万円/人のコスト削減余地
~ 「製造業・情報共有白書」を発表 ~

2015年09月24日

株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、製造業の設計・開発・生産部門の勤務者を対象とした勤務先の情報共有の実態に関する調査を実施し、「製造業・情報共有白書:情報共有の現状と課題、改善への期待感」としてまとめた。

日本の製造業の情報共有の在り方には、少なからず改善の余地がある。外出や出張時の交通費や移動時間を削減したり、電子メールや大容量ファイルのやりとりで発生する無駄な作業を削減したりできれば、大幅なコスト削減につながる。今回の試算では、情報共有の見直しで社員一人当たり年間70万円程度のコスト削減の可能性があることが分かった。また、製造業が今後情報共有の改善を進めていくうえで、「業務やプロジェクトのライフサイクル全体への支援」と「情報共有基盤の一元化」が重要なことも浮かび上がった。

外出・出張機会は月平均2.7回、うち4割は電子的手法に置き換え可能

今回の調査は、2015年3~4月に、Webアンケートやインタビューを通じて実施した。製造業の勤務者が、他拠点や取引先・顧客と情報交換をするうえで、最も多く使われているのが「電子メール」で、共通インフラになっている。

一方で、顧客や取引先との打ち合わせで外出や出張をする機会が一人当たり月平均2.7回ある。そのうち4割程度は電子的手法に置き換えられるとの認識で、外出時の移動にかかる時間を無駄と感じる製造業勤務者が多い。

無駄な移動時間だけでなく、情報共有に関する既存の仕組みにも製造業従事者は手間や不便さを感じている。「大容量ファイルの送信やセキュリティ確保の手間」は、8割を超える回答者が感じていた()。「古いファイル利用などによる作業の手戻りや余計な確認」も8割を超えた。

図●情報共有で手間や不便さを感じる機会
図●情報共有で手間や不便さを感じる機会 クリックで拡大

共通インフラとなっている電子メールには「誤送信」というリスクも存在する。今回の調査によると、頻度はそれほど多くないものの、回答者の4割が社外に誤送信した経験を持っていた。

社員1人当たり年間70万円の削減余地がある

外出・出張機会の電子化による交通費や移動時間の削減、また情報のやりとりで発生している手間、電子メールの誤送信への対処時間など、今回洗い出した無駄をコスト換算すると、社員1人当たり年間70万円に上った。100人規模の組織として見ると、7000万円規模のコスト削減の余地があることになる。

情報のライフサイクル全体の管理と一元化に課題

今回の調査では、製造業の情報共有の望ましい在り方をいくつか提示し、その現状の実現度と今後実現されることの魅力度を尋ねた。「関係者に渡したファイルを業務終了後に閲覧停止できる仕組み」や「プロジェクトに新たに加わったメンバーが、過去のやり取りを容易に把握できる仕組み」については、現時点の実現度が特に低かった。次いで「1システムで、大容量ファイルとメッセージをセキュアに社外と共有できる仕組み」もまだできていないとの認識だ。

こうしたことをふまえると、製造業の情報共有を進化させるには「業務やプロジェクトのライフサイクル全体をサポートする機能」と「情報共有基盤の一元化」が必要になると言えるだろう。

なお、本白書はこちらから入手可能である。

(松井一郎=日経BPコンサルティング ビジネスイノベーション・ラボ チーフコンサルタント)

このリリースに関するお問い合わせ

株式会社 日経BPコンサルティング

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