「結局動画ってどうなの?」成果に直結する動画とコンテンツ論

テキスト記事、動画、どっちがいいの?「得意領域」と「ケーススタディ」で考える最適な使い分け

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    マーケティング本部 コンサルティング部 豊田 康裕

記事vs動画
第1回『今なぜ「映像」が、企業コミュニケーションにおいて強く求められるのか?』ではビジネスにおける映像の有用性についてお伝えしました。しかし、企業コミュニケーションのすべてを映像化することは現実的ではありません。本記事では動画とテキスト(記事)の特徴を7つの軸で比較し、ESG、採用、マーケティングといったケーススタディを用いて効果的な使い分け方を考察します。

1.  動画/テキストの特徴理解

動画とテキストを7つの軸で比較しました。

テキスト/動画特徴比較表

比較軸 テキストが得意なこと 動画が得意なこと
ゴール 行動変容 態度変容
アプローチ 論理的説得 感情的説得
検討段階 ニーズを満たす ニーズを作る
内容 言語情報 イメージ(非言語)
コミュニケーション くわしく伝えたい わかりやすく伝えたい
接点 深く(1人に何度も) 広く(メディア展開)
コスト/期間 少ない 多い

ゴール:テキストは行動変容、動画は態度変容
テキストは興味を持っている人に対して行動変容を促すことが得意です。動画はこれまで興味を持っていなかった人に興味を持ってもらう態度変容を得意としています。

アプローチ:テキストは論理的説得、動画は感情的説得
テキストは言語情報を通じた論理的な価値の表現を、動画はストーリーやイメージを通じた感情的な価値の表現を、得意としています。

検討段階:テキストはニーズを満たす、動画はニーズを作る
テキストはニーズをすでに自覚している人が、検索などを通じ能動的に情報を取得する行動をとったとき、ニーズを満たす情報を用意することでコミュニケーションを図ることができます。動画はまだニーズが明らかになっていない人に、必要だと思わせる(=ニーズを作る、気づかせる)ことを得意としています。

コミュニケーション:テキストはくわしく、動画はわかりやすく
テキストは自分のペースで読むことができるため、複雑な内容をもれなく順序立てて伝えることができます。動画はもれなく情報を伝えることには適していませんが、図解やグラフィックなどを通じ、全体感を短時間で理解してもらうことができます。

内容:テキストは情報、動画はイメージ
テキストは情報を端的に伝えることができます。動画はストーリーやシーンを通じ、非言語情報(カルチャー、雰囲気)を含めた多面的なイメージを表現することができます。

接点:テキストは深く、動画は広く
テキストは比較的短期間・低コストで作成できるため高い頻度で更新し、コミュニケーションの頻度を高めることができます。動画はダイジェスト化することでSNSなど複数メディアへの展開し、幅広いシーン・人にリーチすることができます。

コスト/期間
テキストのほうが比較的低コスト、短期間で制作が可能です。

2.  結局どう使い分ける?

それぞれの特徴を理解したところで、3つのケースをもとに「テキストと動画の使い分け」を考えてみましょう。

Case1:ESG、サステナビリティ
~「誰に」「どうしてほしいか」で使い分け

投資家や評価機関に対して、投資や評価といった具体的な行動を促す情報開示においては網羅的かつくわしく情報を伝えられる「テキスト」が適しています。

取り組みを従業員や顧客などに広く理解してもらい、ブランドへの態度変容を促す情報発信においては、イメージをわかりやすく伝えられる「動画」が適しています。

Case2:採用
~「訴求したい内容」で使い分け

待遇、雇用条件といった具体的な要件をもとに論理的な説得をしたい場合は、端的に求職者が必要な情報が得られる「テキスト」が適しています。

一方で、カルチャーや雰囲気といった、非言語的な魅力をもとに感情的な説得をしたい場合は「動画」が適しています。

Case3:マーケティング
~「勝負する軸」で使い分け

機能的価値による差別化が明確な場合は論理的説得を得意とする「テキスト」が有効です。一方で機能のコモディティ化により明確な差別化が難しい場合はブランドイメージや利用シーンなどを通じた感情的説得を得意とする「動画」が有効です。

このように、「誰に、何をしてほしいのか」そのために「何を伝えるのか」「どのようなアプローチで説得したいのか」といった、総合的な観点から動画・テキストを選択しましょう。

3.  動画+テキストによる相乗効果

これまで、動画orテキストの二者択一で考えてきましたが、動画+テキストを併せて活用することで、様々な相乗効果が期待できます。

① 動画でニーズを喚起し、テキストでニーズを満たす
② 感情(動画)と論理(テキスト)両面から魅力を表現する
③ 動画で全体像を共有し、テキストでくわしく説明する
④ 一度の取材で動画とテキストを制作することでコストと期間を削減する

次回は動画とテキストを併せて活用することで相乗効果を生む方法をケーススタディとともにご共有できればと思います。

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連載:「結局動画ってどうなの?」成果に直結する動画とコンテンツ論

マーケティング本部コンサルティング部
豊田康裕(とよだ・やすひろ)

コンビニエンスストア大手オペレーション部門を経て現職。
飲料/食品メーカー、機器メーカー、インフラ、大学などのビジネス支援を行う。