「結局動画ってどうなの?」成果に直結する動画とコンテンツ論
今なぜ「映像」が、企業コミュニケーションにおいて強く求められるのか?
「トップメッセージ」や「会社説明」も映像で訴求する時代へ
ここ数年、ビジネスシーンでの映像活用は加速しています。
映像制作、配信サービスを行う株式会社Jストリームが23年3月に実施した企業における動画コンテンツに関する施策調査※1によると、1,083人の回答者の内45.7%が「社内向けの教育・研修」動画を企画または運営していました。社外向けには31.0%が「会社説明」を動画コンテンツとして発信したといいます。
社内外での動画活用状況について
出典:株式会社Jストリーム「[2023調査]動画活用の有効性と今後の活用意向について」(2023年3月29日)
確かに、コロナ禍での行動制限は、企業活動におけるさまざまなコミュニケーションをオンラインへとシフトさせました。展示会やカンファレンス、株主総会、プレスイベントなどはライブ配信でも行われるケースが増え、商談や打ち合わせもオンラインで行われることが当たり前になりました。
ストーリーとエモーショナルな映像表現で心をつかむ
企業の製品紹介でも、映像は多用されています。例えばAppleの製品発表では、必ず映像が製品説明の中心に据えられ、製品のPRだけではなく「どんな工程で」「なぜこうしたのか?」を、エモーショナルに表現しています。
動画広告などの企画制作を行う株式会社Candeeの調査※2によると、採用目標を達成した企業の63.3%が採用活動に動画を活用しております。また、採用に動画を活用している企業のうち62.3%の企業が「内定承諾率の向上につながった」と回答していることからも、求める人材の採用には映像活用が重要になりつつあることが伺えます。
採用活動以外では、投資家向けの広報活動であるIRでも、経営者の熱意や事業の展望・ビジョンをストーリー立てて、効果的に伝えることができるツールとして映像の活用が進んでいます。
7割近くの企業が映像による社内広報を検討中
社内報などのインターナルコミュニケーションを専門とするウィズワークス株式会社による調査※3では、社内報について7割近くの企業が「近い将来、動画を取り入れることを検討している」と回答しています。会社のビジョンや経営方針などを浸透させるため、インナーコミュニケーションにおいても動画の活用が期待されていることが伺えます。
また、定着しつつあるリモートワークやフレックスタイム制といった働き方の変化を背景に、社内研修や社員向けマニュアルといった企業内のさまざまな場面で映像活用は進んでいます。企業内外を問わず、ビジネスシーンでの映像活用はもはや当たり前の時代と言っても過言ではありません。
映像は文字の約5,000倍の情報量を、効率的に伝えることができる
では、なぜビジネスシーンにおいて映像活用が加速しているのでしょうか。
ここでは私が考える、ビジネスシーンでの映像活用のメリットを3つお伝えしたいと思います。
① 情報量
アメリカの調査会社Forrester Researchのジェイムス L.マキヴェイ博士が2014年4月に発表した研究結果によると、「映像は文字の約5,000倍の情報量を伝えることができ、1分の映像の情報量は文字に換算すると180万語。ウェブページに換算すると約3600ページ分になる」と言われています。
映像が持つ情報量
例えばマニュアルや説明資料など、これまで図やテキストで構成されていたドキュメントを映像にすることで、複雑な内容でも多くの情報を短時間に伝えることができ、ビジネスにおけるコミュニケーションスピードを上げる効果が期待できます。
② 伝わりやすさ
皆さんは「メラビアンの法則」をご存知でしょうか?米国の心理学者であるアルバート・メラビアンが、1971年に提唱した心理学上の法則の一つで「人と人とがコミュニケーションを図る際、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%のウェイトで影響を与える」というものです。
「聴覚・視覚の非言語情報が93%ものウェイトを占める」というこの法則は、あくまで「言語・聴覚・視覚が示す情報が矛盾した際、受け手側はどの情報を優先するかを調べた」結果であり、「情報の重要度」を示すものではありません。しかし、相手に何かを伝える際に、聴覚情報と視覚情報が重要な要素であることは間違いありません。
言語情報のみで伝える場合は、受け手側の読解力や想像力、バックグラウンドや年齢によって伝わり方が異なるケースがあります。一方で言語・聴覚・視覚全ての情報を同時に届けることができる映像は、発信する側が伝えたいメッセージを、よりリアルに伝えられる可能性が高まります。この点は大きなメリットであると言えます。
メラビアンの法則
③ 普遍性
ビジネスシーンにおいて、商品やサービスのプレゼンをする機会があるかと思います。提案書を用いて説明する場合、担当者のプレゼンスキルや商品理解力が、商談に大きな影響を及ぼします。
もちろん、担当者のスキル向上を図ることも重要ですが、代表者や開発者の思いなども織り交ぜたプレゼン映像を活用することで、均一化されたクオリティで、製品や商品の良さを余すことなく訴求できる可能性が上がります。そのため、効率的かつ効果的に商談を進めることができます。
ビジネス上の商談では、その場で意思決定がなされることは少なく、社内稟議などしかるべきプロセスを要します。この意思決定プロセスにおいても、プレゼン映像をクライアントに活用いただくことで、意思決定をスムーズにし、齟齬を少なくすることに貢献できるのではないでしょうか。
他にも、「SNSなどでの拡散されやすさ」、「印象への残りやすさ」、視聴状況などを把握できるため「効果測定のしやすさ」など、映像活用には数多くのメリットがあります。
協業で目指す!企業のコミュニケーション課題を動画で解決
以上、企業における映像活用の概況と、映像を取り入れることのメリットを述べさせていただきました。我々Vookは、映像クリエイターを支援する事業を中心に、映像業界に変革をもたらすべくさまざまな事業を展開しています。このたび日経BPコンサルティングと協業することにより、企業のコミュニケーション課題解決につながる映像活用支援事業を加速させます。「トップインタビューを記事だけでなく映像としても発信してみたい!」「パーパスが今の手法で、ステークホルダーに浸透しているのか疑問……」「社内報だけで、社員のエンゲージメントが本当に高まっているのか不安……」など様々なコミュニケーション課題を2社のタッグにより、映像を用いて、一貫体制で支援していきます。
連載:「結局動画ってどうなの?」成果に直結する動画とコンテンツ論
- 今なぜ「映像」が、企業コミュニケーションにおいて強く求められるのか?
- テキスト記事、動画、どっちがいいの?「得意領域」と「ケーススタディ」で考える最適な使い分け
- 成果を上げる動画とは? 5つのポイント
株式会社Vook
「映像クリエイターを無敵に。」をビジョンに掲げ、映像クリエイターを支援する事業を展開するインパクトスタートアップ。映像制作に特化した日本最大級のメディアプラットフォーム『Vook』を中心に、教育事業、キャリア事業、映像活用支援事業を展開。映像クリエイターの支援を通じ、映像業界に変革をもたらし、映像クリエイターが活躍できる環境創出に取り組む。
株式会社Vook 代表取締役
岡本 俊太郎氏
1988年生まれ。上智大学経済学部卒業。大学在学中、学生団体「adoir」を立ち上げ、映像コンテストを主宰。2012年、株式会社アドワール(現株式会社Vook)創業。2016年、動画・映像制作Tipsサイト「Vook」(https://vook.vc)を立ち上げる。現在は、日本最大級となった映像クリエイター向けメディアプラットフォーム『Vook』を核に、ビジョンである「映像クリエイターを無敵に。」を叶えるべく映像クリエイターの学び・仕事・繋がりを支援するサービスを展開するとともに、企業の映像活用も支援。
※肩書きは記事公開時点のものです。