広報メディア制作のお悩み解決!~調査編1~
[700社調査の結果から]紙の広報誌は“オワコン”か?
<調査概要>
「広報部門の活動と広報誌(デジタル媒体含む)に関する調査」
実施期間:2023年6月19日~8月2日
対象:全上場企業、および、主要な非上場企業 6212社(※1.2)
回答数:有効票703社。「現在、広報誌を発行している」は134社
(※1)出版・印刷、放送、広告・調査等の一部業種は除く
(※2)協同組合、学校、福祉団体等の団体は調査対象に含む
企業と顧客・従業員・社会をつなぐ広報誌のメリット
広報誌を発行している企業・団体の広報担当者へ、 広報誌を発行する主な目的を複数回答で尋ねました。発行する目的は、「顧客に向けた情報提供(自社ブランドの認知度やイメージの向上)」(73.1%)、「顧客以外の社外に向けた情報提供(自社ブランドの認知度やイメージの向上、新たなファン作り)」(53.0%)、さらに、「社員に向けた情報提供(インナーブランディング)」(52.2%)との回答となり、企業にとっての広報誌は、社内外へと広く情報を発信でき、ブランド構築にも役立てられていることがわかります。
掲載している記事も、「自社やグループ企業の最新情報(新製品、新サービス、ニュースリリースに類するもの)」(68.7%)、「トップからのメッセージ」(65.7%)、「製品やサービスの導入・利用事例の紹介」(56.7%)といった事業紹介に加え、「サステナビリティ(SDGs、ESG)への取り組み」(55.2%)も半数を超えます。企業の事業活動が、社会にどんな価値を生み出し貢献するのかを伝える媒体としても活用されていることが見受けられます。
紙媒体が優勢。冊子を選ぶ理由は信頼感や安心感
そして広報誌の発行・公開形態は、紙媒体である「冊子」(81.3%)が最も多い結果となりました。次いで票を集めたのが「WEBサイトでの記事公開」(65.7%)です。
紙媒体の広報誌を発行するメリットとして重要だと思うものを複数回答で尋ねたところ、「対象とする読者に直接届けることができる」(77.6%)、「実際に手にとることができ、信頼感や安心感を与えやすい」(77.6%)といった紙媒体への「信頼感・安心感」が多く、続いて「一覧性・視認性が高い」(59.5%)と支持されていました。さらに「読者の記憶に残りやすく、理解度が高い」(50.0%)と、半数が紙媒体の良さを認識しているなど、紙媒体の広報誌を発行するメリットは大きいことがわかります。
広報誌の制作課題も浮き彫りに
広報誌の役割は大きく、そのメリットも理解されていますが、では制作においての課題はどうでしょうか。広報誌の制作に関与している人にとっては、「いくつかある業務内の一つである」(47.8%)場合も多く、広報誌に掲載する記事の企画は、「担当部署内で立案」(75.0%)しています。広報誌の制作体制は、「一部を社外発注」(71.6%)している割合が多いものの、発行に際して困っている事柄、改善したいと思う事柄には「担当者の業務負荷が大きい(業務範囲が広い/手間がかかる)」(60.4%)が最も多く、「費用対効果を測りにくい」(58.2%)、「広報誌発行に割ける人的リソースが少ない」(53.0%)、「内容がマンネリ化している」(53.0%)などの課題を抱えていました。
持続できる体制で、効果的な広報誌の活用を考える
このように、業務負荷や人手不足に課題を抱え、「評価の高い他社広報誌の例とその理由に大きな関心がある」(65.7%)こともわかっています。「同業他社の活動内容(発行部数や担当者の人数)」(59.0%)や「自社が発行する広報誌の認知度や評価」(48.5%)への関心も高く、より良い広報誌制作を望んでいることがうかがえます。
多様な社会に対応し、より効果的な形で発信する広報誌の制作には、人的リソースや編集・制作の専門的知見も加え、企画会議などを通じて深くコミットし、企業文化や理念をしっかりと共有することが重要となります。その上で、アイデアや企画提案のバリエーションを広げることが大切となり、さらに読者ターゲット層により、紙媒体とデジタルそれぞれの利点を生かした制作も考えていく必要があるでしょう。
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連載:広報メディア制作のお悩み解決!
- 調査編1:[700社調査の結果から]紙の広報誌は“オワコン”か?
- 調査編2:「始めてはみたけれど…」。広報版“DX迷子”、 回避の勘所
- デジタルコンテンツ編:オウンドメディア活性化のヒントを探る
- 制作進行編:スケジュールづくりのカギは、関係者とのコミュ力
- リニューアル編:媒体リニューアルは、1号にして成らず