これからのウェルビーイング①

ウェルビーイングとは? ~ヘルスケアとの違いと実現のヒント~

2021.10.29

マーケティングリサーチ

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    デジタル本部コンサルティング部 豊田 康裕

COVID-19により、働き方、生き方が大きく変わるなか、「どう変わればよいか」の基準として注目されている「ウェルビーイング」―
SDGsやアメリカで義務化が発表された人的資本情報開示、生産性・創造性への寄与が報告され、働き方改革の観点からも重要度が高まっています。
「ウェルビーイング」とは何か、「ヘルスケア」との違いや実現するための考え方を紹介します。

ウェルビーイングとは?

ウェルビーイング(Well-being)とは何でしょうか。

直訳すると、「良い状態」。抽象的な概念のため、具体的にしていく必要があります。ウェルビーイングの定義は一つに定まっていませんが、WHOが健康を定義した下記が基準になります。(※1

健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態(well-being)にあることをいいます。(日本WHO協会仮訳)

ポイントは多面性と積極性です。

①「多面性」
身体だけではなく、精神、社会などを総合した多面的な概念であること
②「積極性」
マイナスがない(病気ではない)のではなく、プラスの状態(満たされた状態)を目指すこと

(図1)図マイナスプラス、身体、精神&社会マトリクス

ウェルビーイングと近い概念に、「ヘルスケア」があります。

ヘルスケアもウェルビーイング同様身体、精神両面を考慮したが概念ですが、ヘルスケアがマイナスをなくすことを目指すのに対し、ウェルビーイングはプラスを増やすことを目指します。(※2

ヘルスケア領域(マイナスを減らす領域)は組織、制度などでカバーされていますが、プラスを増やすウェルビーイング領域は個人に委ねられており、取り組みが必要です。

(図2)図マイナスプラス、身体、精神&社会マトリクスに制度などを重ねた図

ウェルビーイングはなにでできているか。

ウェルビーイング実現には、PERMA理論が有効とされています。(※3

  • 1. Positive emotion(ポジティブ感情)
  • 2. Engagement(没頭)
  • 3. Relationship(関係性)
  • 4. Meaning(意義)
  • 5. Achievement(達成)

やや抽象的な基準のため、「自分」、「他者」、「課題」に対してどう向き合うかという整理をすると、取り組みやすくなります。

対自分「自らの価値観を把握し、沿った行動ができてるか。」

  • 1. Positive emotion(ポジティブな感情):嬉しい、面白い、楽しい、感動など
  • 4. Meaning(意義):自分は何のために生きているのか

価値観を把握し、沿った行動ができていれば、自分はなんのために生きているのかを日々感じることができます。

また目的(価値観)に対して日々の仕事を結びつけることで、ポジティブな感情が生まれやすくなります。

(図3)価値観との紐付けイメージ

対他者「良好な関係性とは何かを把握し、実践できているか。」

  • 3. Relationship(関係性)

一人ひとり良好な人間関係が異なるため、互いを理解し、違いを認める事が重要です。多様性を受け入れる概念として、心理的安全性(※4)が鍵です。

(図4,5)心理的安全性

対課題「価値観合致と、適切な難易度、自由度を設定できているか。」

  • 2. Engagement(没頭)
  • 5. Achievement(達成)

価値観に沿っていることで自然とエンゲージメントは高まります。

達成は、困難を乗り越えた先に訪れる感覚のため、適切な難易度、自由度が鍵になります。

(図6)ストレス×リラックスが集中(没頭)

これらの整理は一例ですが、ウェルビーイングは抽象的な概念のため、検証可能な基準、取り組みにすることが重要です。

ウェルビーイングに取り組むメリット

ウェルビーイングは、個人にとってはもちろん、企業にとっても大きなメリットがあります。

離職防止をはじめとする人材確保をはじめ、売上、生産性、創造性といった利益に直結する領域と大きな相関が報告されており(※5)SDGs、アメリカで義務化がされた人的資本情報開示の観点からも重要度が高まっています。

テクノロジーがウェルビーイング推進の鍵に

ウェルビーイングはこれまで、重要性が認識されながらも、十分に取り組まれてきませんでした。

ヘルスケアなどと違い、計測が難しいこと、一人ひとりの価値観によって取り組みが変わってくること、成果への影響などがわかりづらいことがネックになっていたからです。

センシング技術とその低価格化、データ分析とAI活用による個人単位の最適化といったテクノロジーの進歩がそれらのネックを解消しつつあります。

ウェルビーイングスタートセット

働く1119名に聞いた、ウェルビーイングに関する意識調査、ウェルビーイングに取り組むための手順とヒントをまとめました。ぜひご活用ください。

ウェルビーイング調査レポート/スタートガイド

  • ウェルビーイング実現にあたって、仕事をする上で「あったらよいもの」と「排除したいもの」
  • 職場環境とビジネスパーソンの幸福度の関係
  • ウェルビーイングの取り組みを始めるための手順とヒント
  • 重要概念(心理的安全性、デジタルウェルビーイング)
  • ウェルビーイング×テクノロジーのユースケース

(※1)初めてウェルビーイングという言葉が言及されたのは、1946年の世界保健機関(WHO)設立の際に考案された憲章。WHO設立者の1人である施思明(スーミン・スー)が、予防医学(病気の予防・治療)だけでなく、健康の促進の重要性を提唱し、“健康”を機関名や憲章に取り入れるよう提案した。

(※2)ウェルビーイングは医学的ウェルビーイング、快楽的ウェルビーイング、持続的ウェルビーイングの3つアプローチが存在。厳密には、医学的ウェルビーイングはマイナスを減らす領域に位置するが、快楽的ウェルビーイングと持続的ウェルビーイングを統合した、ポジティブ心理学をベースとした取り組みが加速している。
ヘルスケアについても定義が複数存在し、予防医学的観点(マイナスを減らす領域)で語られる場合と、より良い状態を目指す観点(プラスを増やす領域)を含め語られる場合がある。

(※3)ポジティブ心理学を提唱した米国のセリングマンが考案。

(※4)チームの中で対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だ、というチームメンバーに共有される信念のこと。

(※5)Salovey, P., & Mayer, J. D. (1990). Emotional intelligence. Imagination, Cognition, and Personality, 9 (3), 185-211. Goleman, D. (2005). Emotional intelligence: Why it can matter more than IQ. 10th anniversary ed. New York: Bantam Books. (『EQ~こころの知能指数』ダニエル・ゴールマン著、土屋京子訳、講談社、1996年)

これからのウェルビーイング

デジタル本部コンサルティング部
豊田康裕(とよだ・やすひろ)

コンビニエンスストア大手オペレーション部門を経て現職。
飲料/食品メーカー、機器メーカー、インフラ、大学などのビジネス支援を行う。

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