女性採用の最適解
共感を呼ぶ情報発信戦略(1)
企業が成長戦略を描くためには優秀な女性の獲得が欠かせません。
有効求人倍率1.63倍、新規求人倍率2.42倍(2019年3月、厚生労働省)と企業にとって「採用氷河期」である今、具体的に優秀な人材にどのようにアプローチを行えばよいのでしょうか。
本セミナーでは、人材開発と企業情報発信のプロフェッショナルが「女性にフォーカスを当てたダイレクトリクルーティングのポイント」を提示しました。
女性の中途採用の現状
2016年4月から施行された「女性活躍推進法」。これにより企業は、女性の活躍に関する状況把握・課題分析・情報の公表、女性の活躍に向けた行動計画の策定・届出・周知・公表を行う事となりました。女性活躍に向けての努力義務を余儀なくされた企業は、行動計画のうちの1つである「女性の採用」に関しても積極的に取り組むことに。これにより女性の採用に関して各企業の採用ニーズが高まっています。
特に即戦力となる女性を採用したい、女性管理職候補を採用したいとの声を聞く機会も増え、各企業の中途採用に対してのニーズは増加。セミナー会場でも、幹部候補の女性採用に力を入れているがなかなかうまくいかないとおっしゃる人事担当の方も見受けられました。しかし、このような女性採用を巡る「採用氷河期」にもかかわらず、優秀な人材を確保している企業は存在します。そんな採用勝ち組企業が実践する採用方法の1つとして「ダイレクトリクルーティング」があります。
ダイレクトリクルーティングに必要なこと
従来の求人サイトを利用して募集する「待ち」の採用ではなく、自ら積極的に求める人材を探し出し、アプローチする「攻め」の採用である「ダイレクトリクルーティング」。「攻め」の採用を行うためにはまずターゲットの絞り込みが重要です。そのためにはターゲットが考えていることを汲み取り、ターゲットを理解することが必要です。
女性が仕事をやめる理由
雇用動向調査結果(2018年5月、厚生労働省)によると、女性の転職入職者が前職をやめた理由として世代別の1番多い理由は、20代前半「職場の人間関係が好ましくなかった」15.6%、30代前半「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」15.7%、50代後半「仕事内容に興味を持てなかった」12.4%(「その他の理由」「定年・契約期間の満了」を除く)等、転職に伴う理由には、世代による意識の違いがあることがわかります。
世代や生活環境による意識の違い
では具体的に、ターゲット世代の女性は何を考えているのでしょうか。日経BPが運営する女性向けWebメディアも日経doors、日経DUAL、日経ARIAとターゲットの異なる三媒体があるように、世代や生活環境でターゲット像も異なってきます。
日経doors(https://doors.nikkei.com/)
主に20代~30代の働く独身女性がターゲット。
<イメージするターゲット像 A子さんの例>
- 成長意欲が高い。
- 「女性だから、」と区別してほしくない。
- なりたい自分になれるなら、制度にはこだわらず余暇を多少切り詰めてでも時間を割く。
- 今すぐのイメージはないが、結婚、出産はいずれしたい。その際の「働きやすさは重要」というイメージはあるけれど、時代の流れで「当然手当されるはず」と楽観視している。
- やりたいことは職種単位まで明確化されておらず、漠然と「世の中の役に立ちたい」「人と接してお客様を笑顔にしたい」といったイメージを持っている。
日経DUAL(https://dual.nikkei.com/)
主に30代~40代の働きながら子育てをしている女性がターゲット。
<イメージするターゲット像 B美さんの例>
- 結婚、出産を経て世の中のジェンダー格差に直面。主張すべき権利は主張しないと割を食うと感じている。
- 現職、家事、育児3足の草鞋を履いているので、4足目(転職活動)にかける時間はなかなか取れない。
- 「私このままでいいんだろうか」と考え始める世代でもある。
- スピーディーに、キャリアを模索したい。
日経ARIA(https://aria.nikkei.com/)
主に40~50代の働く大人の女性がターゲット。
<イメージするターゲット像 C代さんの例>
- 今まで築き上げてきたネットワークがあり、転職も人脈ベースで行う。
- 大きく職種を変えることはなく、数年単位で企業を変えて動く人も多い。
- 働きやすさは家事、育児との両立に加え、親の介護に対応できるかなども視野に入れる。
このように、一口に「女性」と言っても、世代や家庭環境によってそのニーズは大きく異なっていることが想定されます。それこそが「女性採用」の難しいところ。これまでの一般的なリクルーティング方法では苦戦してしまう要因とも考えられます。
第2回では、この女性採用特有の課題を解決するための方法をご紹介します。
マーケティング本部 コンサルティング部
中藤 宏平(なかとう・こうへい)
企業広報、制作ディレクターとして、数多くのPR業務を担当し、企業のコミュニケーションプランの企画・実行に従事。 2019年5月、日経BPコンサルティング入社。