女性採用の最適解

共感を呼ぶ情報発信戦略(2)

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    マーケティング本部 コンサルティング部 中藤 宏平

共感を呼ぶ情報発信戦略(2)
企業が成長戦略を描くためには優秀な女性の獲得が欠かせません。
有効求人倍率1.63倍、新規求人倍率2.42倍(2019年3月、厚生労働省)と企業にとって「採用氷河期」である今、具体的に優秀な人材にどのようにアプローチを行えばよいのでしょうか。

第1回では、女性活用が難航しがちなポイント、特に一口に「女性」と言っても、世代や環境によってそのニーズは大きく異なる、という点をご紹介しました。
第2回では、この女性採用特有の課題を解決するための方法をご紹介します。

これからの女性採用戦略に求められる考え方

これからの女性採用戦略として、従来の「個人」へのアプローチから「分人」(注1)へとアプローチ転換する必要があります。

(注1)

2012年に出版された『私とは何か――「個人」から「分人」へ (著者: 平野 啓一郎 講談社)』にて提示された人間観である「分人」。
“一人の人間には、色々な顔がある。つまり、複数の分人を抱えている。そのすべてが〈本当の自分〉であり、人間の個性とは、その複数の分人の構成比率のことである。”
(出典:2012年 平野啓一郎 著 講談社現代新書 『私とは何か――「個人」から「分人」へ』)

リアルとデジタルが共存することが当たり前になっている現代において、ターゲットを単なる求職者としての「個人」と捉え、従来の施策で「採用氷河期」を戦い抜くには困難を伴います。特に女性は場所、状況、時期によって仕事に求めるものが大きく変化する「分人」としての性質が強く、それを理解したアプローチが必須です。従来の採用情報の提示だけではなく、多角度的なアプローチが求められています。

本当に必要な情報は「制度」ではなく「共感」

従来の採用ページでは、「産休・育休制度」「フレックス・短時間勤務制度」「女性離職率・勤続年数」等の記載が女性採用に効果的な施策として考えられていました。
しかしこれらの制度情報だけでは、求職者に対して「心地よく」勤務し続けられる、等の職場イメージをうまく伝えることができません。
また競合他社との差別化を図るという観点でも「制度」の提示だけでは力不足。
本当に必要な情報とは「制度」ではなく「共感」なのです。
具体的には、社内コミュニティや昼食会、メンター/メンティーのやり取りなど、「共感を生む半径5メートルの情報」が求められています。
企業に誇れる「制度」がなくても、「共感」はコンテンツで醸成することもできます。

「共感」を効果的に届けるために必要なこと

「共感を生む半径5メートルの情報」を効果的に伝えるためには、ターゲットにアプローチする適切なコンテンツ作成が必要です。
具体的には、企業サイトのトップメッセージとして「ダイバーシティ推進」の明言、「ダイバーシティや女性活躍推進」専用ページの設置、「社員インタビュー」等の職場イメージを想起させるコンテンツの設置などです。コンテンツ作成に力を入れている企業ですと、社員それぞれの「ストーリー」をまとめたオウンドメディアを展開している例も見られます。

いきなりこのように多様なコンテンツを揃えるにはそれなりの体力が必要です。そういった場合でも、「ダイバーシティ経営企業100選(経済産業省)」「なでしこ銘柄(経済産業省/東京証券以取引所)」「えるぼし(厚生労働省)」「くるみん(厚生労働省)」等の認定情報の提示により、女性が活躍する場を提供していることを説得力を持ってアピールすることができます。

コンテキストを持った情報発信の重要性

一方で、求職者にとって企業イメージは転職活動をする際の意思決定に大きな影響を与えます。
女性が働きやすい企業イメージは、転職活動時だけではなく求職者である女性の体験=CX(Customer eXperience)全体を通して培われます。
そして40代から50代に特に影響を与える「口コミ リクルーティング」を視野に入れると求職者だけではなく、従業員に対する良い体験設計=EX(Employee eXperience)も必要です。

このように、採用は採用サイトのみで行うのではなく、求職者と企業のタッチポイントすべてを考慮する必要があります。ターゲットとタッチポイントごとに情報発信戦略を立てていくことが重要なのです。

ジャーニーマップのすすめ

企業の採用ターゲットに対して、採用時期だけではなく、ベースとなる企業イメージ作り段階からアプローチするために、「ジャーニーマップ」を活用し、可視化することをおすすめしています。
かつてメディアはテレビ・新聞といった媒体に限られていたため、情報発信するチャネルを特定しやすい状況でしたが、現代ではチャネルの多様化により、ターゲットがどこで、どのような媒体を通して企業のことを知るのかを把握することが重要になってきました。

ターゲットがどのように情報取得を行うかを整理し、それぞれのタッチポイント(たとえば、採用サイト)にどう導き、またそこで何を伝えればよいのかを明確化することができる「ジャーニーマップ」はまさに現代の採用活動における「羅針盤」と言えます。

「採用WEBサイト 見直しコンサルティング」

優秀な人材を確保するために、適切なコンテンツを制作・発信することの重要性はご理解いただけたかと思います。
しかし、一般的に高品質なコンテンツ制作には高い専門性と膨大な労力・費用が必要。
一方、社内で採用Webサイトの見直しを行う場合、社内リソースが不十分なためあまり手間暇をかけられないような事例も見受けられます。
どの企業様でも女性採用に効くコンテンツの原石を持っています。その原石を掘り起こして、マイクロサイトと呼ばれるターゲット特化型のWebサイトで提示するだけでも効果的な施策になります。
日経BPコンサルティングでは、クイックに採用サイトの見直しを進めたい方に向け、リーズナブルな価格での「採用WEBサイト 見直しコンサルティング」をご用意しています。
人材戦略における企業課題を解決する第一歩としてご活用ください。

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中藤 宏平

マーケティング本部 コンサルティング部
中藤 宏平(なかとう・こうへい)

企業広報、制作ディレクターとして、数多くのPR業務を担当し、企業のコミュニケーションプランの企画・実行に従事。 2019年5月、日経BPコンサルティング入社。

 

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