自然とエネルギーの融合をめざす自然共生型宿泊施設「ソラテラス」をオープン
敷地内の樹木を活かした形態で、太陽光発電システムを設置
SDGsの一環として、森林と共生し、景観を保護した太陽光発電システムを提案する企業が現れた。自然エネルギーの普及に取り組む大手太陽光発電事業者で、電力小売りも手がける株式会社Looopである。
図.「ソラテラス」のイメージ図
同社は那須高原の一角、那須塩原駅から車で30分ほどの那須ハイランドパーク内の別荘地としては標高が高いエリアに、8,000㎡弱の土地を購入。今回、「自然とエネルギーの融合」を目指して、屋根に太陽光発電システムを設置したホール棟、2つの宿泊棟、温泉棟からなる建物とソーラーシェアリング型太陽光発電システムを建設した。施設は「ソラテラス」と名付けられ、太陽光発電出力203.84kW、年間発電量は222,000kWh、55世帯分を発電する自然共生型の宿泊施設である(図)。オープン後は自然と一体となった宿泊経験を通じて、アウトドアでの遊びや森の生態の観察などを行いながら、自然エネルギーについて学ぶ場にしていく。Looopでは会社の保養所としての活用だけでなく、貸別荘、貸ホールとして一般にも開放し、エネルギーの地産地消や、地域の活性化を目指そうと計画している。
写真1.竣工式での鏡開きの様子
2019年5月13日には、施設の竣工式が、元総理大臣小泉純一郎氏、衆議院議員菅直人氏、城南信金顧問吉原毅氏、那須町長平山幸宏氏などを招いて開催された(写真1)。その中で、Looop代表取締役社長 中村創一郎氏は「土地を購入したのが7年前、それから様々な試行錯誤を経て、竣工することができました。6年越しの夢が実り、感無量です」と語った。土地の購入段階で、Looopが構想していたのは太陽光パネルを並べた無機質な太陽光発電所の建設だった。しかし、ハイランドパーク管理組合では、森林の樹木を伐採する太陽光発電システムの建設は禁止されていた。そこで、Looopでは「自然との共生」をテーマにした建築デザインを行う株式会社SUEPに相談、太陽光を遮る敷地内の樹木を一切伐採することなく、太陽光発電システムを建設することにした。
「綿密な計算を行うと、木を切らなくても、年間で5%程度しか発電量が落ちない太陽光発電所にすることができることが分かったのです。建築家の先生や管理組合、地元の人たちとも話し合い、アイデアを出してもらう中で、複合的な目的を持つメガソーラーを作ることができるのではないかと考えるようになりました。ソラテラスはそのモデルになると確信しています」(中村氏)。
自然と共存・循環する電力事業+宿泊事業
写真2.棚田、ホール棟、個室棟を望む
ソラテラスでは、森の樹木は健康な状態のものはすべて保存し、樹木と共存するように、建物を分棟状に配置している。森の中央には雨水と井戸水を使った棚田を作り、それを中心として発電設備と一体となった、ホール棟、宿泊棟・浴室棟が作られている(写真2)。またソーラーシェアリング型太陽光発電システム「ソラシェア」を使った森林浴テラス、農園なども設置されている(写真3)。
写真3.「ソラシェア」の下に設置されたベンチや水場
浴室棟は予約制の家族風呂で、那須高原の温泉を楽しむことができる。宿泊棟は2階とロフトからなる塔状の建物で、様々な高さから自然を堪能しながら立体的に過ごすことができる。
ソラテラスでは、これらの施設を利用しながら、Luxryな3つの感動体験ができる。1つ目が風や匂い、星空、鳥の鳴き声、陽の光など那須高原の自然の感動体験だ。2つ目が照明や家電などに再生可能エネルギーを使い、自給自足で暮らす電気の感動体験、3つ目が日常ではできない、ゆったりとした時間を過ごす時間の感動体験である。
コンテンツ本部ソリューション3部 兼
マーケティング本部ビジネスアーキテクト部 兼
ブランド本部周年事業・デザインセンター コンサルタント
脇山 誠司(わきやま せいじ)
ビジネスアーキテクト部として各部署と連携しながら、幅広い業務のプランニング(コンテンツ制作、ブランド戦略、周年事業、デジタルマーケティングなど)に携わる。
また、マーケティング本部としてWebサイトの分析から戦略策定までのコンサルティング業務も手掛ける。