連載:変革するデータ活用 第3回

パーソナルデータ活用 <第2回 勉強会>ダイジェスト

  • マーケティング本部 コンサルティング部長 石井 健介

ビジネスチェンジを加速させる「マーケティング4.1」ユーザーに選ばれるパーソナルデータ活用サービスとは?
2019年3月13日(水)、パーソナルデータ活用に関する勉強会(主催:日経BPコンサルティング主催)「ビジネスチェンジを加速させる『マーケティング4.1』」が、都内で開催されました。全3回の勉強会のうち第2回目のテーマは、「パーソナルデータとの組み合わせにより、新たな価値を創出」。GDPRなど、主にデータ活用における各国の取組みとリスクにフォーカスしながら、企業がデータ保有する際の注意点が議論されました。本レポートでは、当日の模様をダイジェストでお届けします。

パーソナルデータの価値とリスク

吉森大介吉森大介(デジタル本部コーポレートコミュニケーション・ラボ コンサルタント)

活況を呈しつつあるデータビジネス。その一方で、企業がパーソナルデータをなかば無秩序に利用しているとの報道に触れる機会も増えてきました。吉森大介(日経BPコンサルティング)は、講演冒頭でそうした報道を紹介しながら、昨今の状況に警鐘を鳴らしました。

2018年5月に欧州一般データ保護規則(GDPR)が施行されたのと時を同じくして、わが国でもデータ利活用に対するリスクとその対策に注目が高まっています。そこで本講演で吉森は、欧州、米国、日本、アジアの政策動向を概観し、日本では2020年代にデータポータビリティ権やデータ活用が本格化する見通しを示しました。

では、ポータビリティ対象のパーソナルデータとは何なのか、あるいは今後、対象となる可能性の高いデータとは? 2nd Partyデータ、3rd Partyデータの取扱いはどうなるのかなど、企業担当者が実務で直面する課題とその対策について、詳細レポート記事にて報告予定です。

  • 詳細レポート [coming soon]

データ活用の課題は?

では、パーソナルデータを実務で取り扱う担当者は今、どんな課題に直面しているのでしょうか。第2部のワークショップでは、勉強会出席者から様々な課題が挙がりました。

データ活用における課題は、大きく3つに分類。1.データ管理、2.データ活用、そして3.体制面です。「パーソナルデータを統合管理できていない」「データ活用に向けた人材が社内にいない」など、多くの企業はデータ利活用について総論合意なものの、個別課題を抱えているために、進展が思わしくない実態が浮き彫りになりました。

続いて行われたワークショップのテーマは、「保有データの利用価値検討」です。自社が保有するデータに、異業種のデータが掛け合わさると、どのような価値やサービス、ビジネスの芽が生まれるのでしょうか。「共創」をキーワードに、データを繋ぎ合わせる思考法にチャレンジいただきました。

たとえば、車の走行軌跡や旅行履歴などの行動情報、口座残高やクレジットカード利用履歴などの金融資産情報、プロファイル情報など、自社とは異なる業界が特有に保持するデータと、自社データを掛け合わせるなどを実践。アイデア創出に苦戦する場面も少なくないようでしたが、異業種データの活用に対する期待を実感する参加者が多いようでした。

ワークショップの模様。「情報銀行」に対しては、標準化されたデータ形式の実現や法規対応を期待する向きが強かった

ワークショップの模様。「情報銀行」に対しては、標準化されたデータ形式の実現や法規対応を期待する向きが強かった

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※:肩書は取材当時

マーケティング本部 コンサルティング部
石井 健介(いしい・けんすけ)

シニア通販誌で編集・商品開発を担当後、金融、住宅建築、化粧品など複数業界で編集、マーケティング支援に従事。リアルとデジタルを分断することなくコミュニケーショプランを企画・実行。2016年8月、日経BPコンサルティング入社