PART-1 広報活動の現状と認識
担当者の意識は「ブランディング」へとシフト。一方で業務量の増加に悩む姿も
(1)広報の担当部署、担当者数
現状は、過半数が「2人以下」。「広報セクションなし」も多数
広報の担当部署は「広報」が45.5%と最も多いが「経営・経営企画」「総務」も2割前後存在する。広報部がない企業は決して少なくなく、管理系の部門で対応している企業も珍しくないのが現状だ。担当者数も決して多くはない。平均値は一部の大企業に引っ張られる形で3.53人となったが、現状は「1人以下」が3割。2人以下を合わせても半数だ。
- 【質問】
- 御社の広報業務は、主にどの部署が担当していますか(最も近いものを1つだけ)/
御社には広報業務の担当者が、合計で何人いますか(兼務者については適宜、「0.5人」などとして計算)
(2)広報活動に対する認識
人手不足にもかかわらず、高まる重要性と増える仕事量が悩み
限られた予算や人員の中で、より多くの役割を求められ、他部署との連携も増えている。こうした状況を、担当者は必ずしも「適切な状態」だとは感じていない。一方、広報担当者が今、最も重視しているのが「コーポレートブランド作り」。4割が「とてもそう思う」を選択。「ややそう思う」を含めると8割台中ばに達した。
- 【質問】
- 御社の広報活動に関して、A~Hの点について、どのように考えますか(それぞれ1つずつ)
(3)広報活動の目的
認知拡大からブランディングへ活動目的は明確に変わった
調査結果は、企業にとって広報活動の目的が「認知拡大」から「ブランディング」へと移りつつあることを示している。従来、最も多かったのは「自社の活動や事業内容に対する認知拡大」で8割近くに上るが、今後の目的としては「自社のブランド(コーポレートブランド)の醸成」が73.0%と、最多となっている。
- 【質問】
- 御社の「広報部門や広報担当者」は社外に情報提供を行うにあたり、どのようなことを目的とすることが多いですか。
[A]これまで目的としてきたこと、[B]今後目的としたいことをお聞かせください(それぞれいくつでも)
(4)広報活動の種類別の目的
Webサイトは多様な目的に「使える」存在に
「自社コーポレートサイトWebサイトでの情報提供」の目的は、 いずれの項目も「メディアでの記事掲載」や「メディアでの企業広告」を上回った。「認知拡大」「理解、共感」のほか「ブランドの醸成」「商品販売支援」「顧客の声の収集」にいたるまでWebサイトが最も多く、Webサイトが多様な目的で使える存在になりつつあるようだ。
- 【質問】
- 御社の広報業務は、主にどの部署が担当していますか(最も近いものを1つだけ)/
御社には広報業務の担当者が、合計で何人いますか(兼務者については適宜、「0.5人」などとして計算)
(5)広報の実施業務、強化業務
今後の強化ポイントは「ブランディング」自社サイトやSNSでの情報発信熱も高まる
広報セクションがこれまで実施してきた業務は、「メディア(報道機関)等への情報提供や取材対応」が78.7%で最多。次いで「自社のWebサイト(コーポレートサイト)を通じた情報発信」(75.0%)と、活動の場としてはWebが中心になってきている。そして、今後の強化ポイントとしては、「コーポレートブランドの醸成・浸透・管理」が39.0%から61.3%へと大きく増加している。このほか「グローバルでの広報活動」「SNSを通じた情報発信」も伸びを見せている。
- 【質問】
- 御社の広報業務は、主にどの部署が担当していますか(最も近いものを1つだけ)/
御社には広報業務の担当者が、合計で何人いますか(兼務者については適宜、「0.5人」などとして計算)
(6)今後重視したい広報活動の評価指標
「メディア登場回数」「自社サイトのPV、滞在時間」が上位に
「メディア(報道機関)での掲載記事数や内容」が62.4%で最多。次いで「自社サイトのページビューや滞在時間」(47.9%)という結果だった。
- 【質問】
- 御社では広報活動の評価指標(KGI、KPI等)として、今後どのような点を重視したいと思いますか(いくつでも)
特集:企業広報調査レポート
変わる広報、変わる企業サイト コーポレートブランディングの「今」
ブランディングの重要性が増し、広報活動の最大の目的に
- PART-1 広報活動の現状と認識
- PART-2 コーポレートWebサイト等への取り組み
- PART-3 コーポレートブランディングへの取り組み
チーフコンサルタント
松井 一郎
1992年京都大学大学院理学研究科修了。同年日経BP社に入社。日経コンピュータ編集部にてICT分野の取材・記事執筆を行う。コンサルティング局マーケット予測部を経て、同局の別会社化に伴い日経BPコンサルティングに出向。2013年より現職。ICT業界を中心に、マーケティングコミュニケーション領域のコンサルティング、調査、制作支援などを多数担当。日経コンピュータ顧客満足度調査をはじめ記事執筆なども手がける。