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企業ブランディングのための社史・周年史の教科書  第4回「常識をくつがえす社史・周年史とは?(後編)」

前回では、「社史・周年史に未来年表を入れる」「企業の負の歴史も掲載する」など、新しい発想による社史・周年史のコンテンツ例を5つ紹介しました。今回は、さらに5つを見ていきましょう。

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社史・周年史を企業のブランディング、リクルーティング、マーケティングに役立つ戦略的なツールにするためには、常識をくつがえすようなコンテンツが必要です。

常識をくつがえす!(6) キリのいい周年にこだわらない

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単なる記念に終わらない戦略的な社史・周年史とは?
日経BPコンサルティングの制作する社史・周年史は単なる企業の歴史紹介ではありません。貴社の未来を描くための戦略的なご提案をします。

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 皆さんは「50年、100年」というキリのいい周年にこだわっていませんか? ここでも、発想を変えてみましょう。例えば人間の長寿を祝う言葉に「喜寿」、「米寿」、「白寿」などがあります。喜寿は「喜」の字を草書体で書くと「七十七」、米寿は「米」の字を分解して「八十八」、白寿は「白」が「百」から「一」を引いて「九十九」を表す、というのはご存じでしょう。

 京都にある計量システム機器メーカーの大手イシダは2003年、会長の石田隆一氏(当時は社長)の著書『皇寿の想い』を制作しました。1967年に同社社長に就任して以来、イシダグループの成長と業界への貢献に努めてきた石田氏の経営哲学や人生哲学を後進に伝承すべく、書籍にまとめたのです。「皇」は「白」と「王」に分けられ、 白は「九十九」、 王は「十」と「二」なので、合計すると皇寿は「111歳」になるわけです。

 2003年は、イシダが創業した1893年から数え年で111年目にあたります。同書は、中興の祖である石田氏の思いやイシダの経営理念を伝えるものとして社員研修などに活用しました。人間の「祝い歳」を企業にあてはめるのも、しゃれた試みです。

 このように、周年でなくても合併や統合、社長交代、株式公開など、企業にとって記念の年は様々です。こうした年に社史を制作するのも一つの方法です。ときには、「創業53年史」といった社史を制作してもよいかもしれません。読者から「なぜ53年なのか?」と聞かれたときに、「実は弊社が新商品を出した年なのです」と話題にすることが、ブランディング戦略になるのです。

常識をくつがえす!(7) まるで雑誌のような周年史

 「えっ、これは御社の周年史だったのですか?」最近では、こういう声が聞かれることも多くなりました。「○○100年史」「●●100年のあゆみ」といった、これまでのパターンからは想像もできないような周年発行物が増えてきています。

 企業のインナーブランディング、アウターブランディング、リクルーティングという目的を達成するには、実はいろいろな形の周年史が考えられます。ケース入り、中は文字ばかりといった体裁ではなく、最近よく提案しているのが、写真やイラストを豊富に使った雑誌スタイルの社史・周年史です。見栄えよく、読みやすい構成にするのがポイントです。文章も、専門記者やライターが関係者に取材して執筆。単に商品やプロジェクトの紹介ではなく、感動のエピソードを「物語」に仕立てることで、「読ませる社史・周年史」にするのです。

 リクルーティングに効果があるのが、書籍やムックです。ネット書店も含め全国の書店に流通され、社員や取引先のほかに学生や一般のビジネスパーソンなどの目に触れるので、企業の認知度アップにも役立ちます。書籍の場合、コンテンツも様々なものが検討できます。経営者の語録や経営理念をまとめたビジネス書や、商品を美しく撮影したビジュアルブック、アートブックなどの形で、アウターブランディングを狙うこともできます。

常識をくつがえす!(8) 子どもが読者の周年史!?

 社史・周年史をリクルーティングに利用する企業が増えている、とお話ししました。企業の採用活動の場合、読者対象は学生やビジネスパーソンになりますが、もっと若い世代に向けてつくることもできるのです。

 例えば、小学生や中学生を読者ターゲットにすることも可能です。日経BPコンサルティングが企画・制作し発行している「会社図鑑」シリーズは、様々な企業の仕事内容や業界について、全ページにわたってイラストで解説する絵本です。「未来をつくる仕事がここにある」をキャッチフレーズに、これまでに『総合商社図鑑』『コンサルティング会社図鑑』『証券会社図鑑』など6冊を発行しています。イラストを満載しているだけでなく、すべてのページの漢字にふりがなを振っており、小学生から読めるのも特徴です。

 レンタルのニッケンは、周年事業の一環としてこの会社図鑑を企画、『建設機械レンタル会社図鑑』を制作し、日経BPコンサルティングから発行しました。幼少期からその業界に興味を持ってもらうというキャリア教育に活用するだけでなく、その企業に勤務する社員が家族に見せるという意味で、インナーブランディングにも役立っています。

常識をくつがえす!(9) 紙だけが周年史ではない

 もはや社史・周年史の記事を公開する方法は、「紙の媒体」だけではありません。例えば成城学園では創立100周年を迎えるにあたり、学園の公式サイトに「100周年特設サイト」を開設しました。動画をはじめ様々なコンテンツを順次アップしています。

 また、社史・周年史を印刷して発行するだけではなく、デジタル化するケースも増えています。例えば制作した社史・周年史のPDFデータを企業のWebサイトにアップしたり、電子書籍にしたりすることもあります。最近では、社史・周年史の中の年表部分だけを切り出してWebサイトに掲載する提案をしています。特に年表のデータは社史・周年史発行後も更新していくので、次に制作するまでの間、Webサイトで情報を追加していけるというメリットがあります。

 ある企業では、社史・周年史に掲載した写真や記事を再利用してDVDを制作したり、ビデオを記念式典などで流したりしました。このため、社史・周年史の制作段階で、静止画のほかに動画を撮影することも増えてきています。

 社史・周年史制作にあたって集めた資料を、「デジタルアーカイブ」にする方法もあります。デジタル化することで検索も容易になり、外部への公開も可能になります。最近では、社史・周年史の制作とともにデジタルアーカイブ制作も提案しています。

常識をくつがえす!(10) 社史・周年史は「つくって終わり」ではない

 ここまでお読みになって、社史・周年史のイメージがずいぶん変わってきたのではないでしょうか。「社史・周年史といっても、つまりは何でもアリなのではないか」と思われたかもしれません。そうなのです。これまでのやり方にとらわれる必要はありません。

 ただ一つお話ししたいのは、「社史・周年史の制作は、企業にとってのゴールではない」ということです。もちろん周年という「区切り」に向かって事業を進めることは大事ですが、さらに重要なのは企業の事業継続です。

 ある企業の会長がしみじみと語っていました。「社員を巻き込みながら社史をつくり、一丸となって制作を終えましたが、企業理念をしっかり定着させるにはさらに2年かかりました」。何事も継続が大事です。社史・周年史を制作しただけで終わりにせずに、企業としてのメッセージを出し続けることが重要です。

 あるB to C企業は、創業者の生誕100周年の際に、同社の創業者と中興の祖である5人の人物伝を4冊の書籍にまとめました。さらに、この4冊をもとに経営理念をまとめた「副読本」を制作。同社はこの副読本を、社員研修用のテキストとして活用しています。また、ある企業では、社史を発行したあとコンテンツの一部をWebサイトに定期的にアップする「Web社内報」を始めました。

 経営者の語録集をビジネス書として発行したあと、掲載されているフレーズをツイッターで自動的に投稿するシステム(いわゆる「名言BOT」)を使い、理念の浸透をはかっている企業もあります。社史・周年史で目指した企業ブランディングは、継続して行うことに価値があるのです。

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大塚 葉
大塚 葉

日経BP社 カスタム企画部 担当部長

雙葉高校、早稲田大学法学部卒。技術評論社でPC入門誌「パソコン倶楽部」、日本初の女性向けPC誌「パソコンスタイルブックforWomen」を編集長として創刊。日経BP社では「日経PCビギナーズ」編集長、発行人を務める。「日経ビジネス」「日経WOMAN」「日経ビジネスアソシエ」のWebサイトのプロデューサーとして、深澤真紀氏、白河桃子氏などのヒット連載を企画。初心者向けIT、働く女性、仕事術についての執筆・講演多数。著書に『やりたい仕事で豊かに暮らす法』(WAVE出版)、『ミリオネーゼのコミュニケーション術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

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