データ連携ツールの導入率は22.7%に上昇、
導入検討中まで含めると4割超に
~日経BPコンサルティング調べ 「データ連携に関するアンケート調査」~
2018年7月18日
株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、「データ連携に関するアンケート調査」の結果をまとめた。本調査は、2014年から毎年実施しており第5回目。今回、データ連携ツールの導入率は22.7%となり、昨年の19.8%から2.9ポイント上昇した。
ビッグデータやIoT(Internet of Things)、人工知能(AI)の利活用が進展するに伴い、企業内に分散しているデータやプロセスを相互に連携させて分析・活用したいというニーズが徐々に高まってきており、EAI(Enterprise Application Integration)をはじめとしたデータ連携ツールに注目が集まっている。
最近では、働き方改革を推進する有効なツールとしてRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)というソフトウエア・ロボットを導入してオフィス業務の自動化を推進する企業が急増している。こうしたRPA導入企業は、社内に分散したデータの形式を変換したり統合したりする際の裏方のツールとしてEAIを活用し始めている。
導入済み/導入検討中は40.9%で、前年比3.3ポイント増
今回も従来と同様に、企業内の複数のデータやプロセスを統合させる製品の利用実態や導入計画とその選定のポイント、および期待度、満足度などについて、企業・団体の情報システム部門の構築・運用に携わる方々を対象にして調査した。
EAIとは、企業内の複数のシステムを連携させ、データやプロセスを統合させること、あるいは、そのためのミドルウエアの総称である。データベースや個別の業務アプリケーションがそれぞれ採用しているデータ形式を変換して、相互に受け渡しが行えるようにする役割を持つ。
特に、様々な形式の異なるデータを連携させて処理する際に、連携ソフトをゼロから開発するのに比べてデータ連携ツールを活用した方が時間とコストを圧縮できるため、データ連携ツールに対するニーズが高まっている。
今回の調査では、こうしたデータ連携ツールの導入率は22.7%(前回19.8%)で、前回比で2.9ポイント増となった(図1)。過去4回実施した調査と比較すると、「導入済み」は16.5%(2014年)、20.4%(2015年)、21.3%(2016年)と3年連続で増加し、前回の2017年は19.8%で1.5ポイント減となったが、今回はわずかながら上昇した格好だ。
導入検討中は18.2%で、前回の17.8%から0.4ポイント増となった。導入検討中のうち、「1年以内の導入を検討中」が2.5%(前回1.8%)、「3年以内の導入を検討中」が2.2%(前回1.9%)で、具体的に導入時期を決めて検討している企業が前回よりも合計で1.0ポイント増えた。導入済みと導入検討中を合わせた「導入済み/導入検討中」は合計で40.9%(前回37.6%)で前回比3.3ポイント増となり、4割を超えた。データ連携ツールを導入する企業は確実に増加傾向にある。
※グラフの構成比(%)の合計が、四捨五入により100.0%とならない場合があります(以下同様)
大企業ほど導入が加速し、1000人以上では導入済みが約35%に
企業規模別で見ると、企業規模が大きいほどデータ連携ツールの導入が進んでいる(図2)。この傾向は過去4回の調査と同様である。
従業員数1000人以上の大企業では、導入済みが34.9%(前回30.0%)で4.9ポイント増となった。導入検討中までを含めると51.7% (前回47.8%)となり前回比3.9ポイント増で過半数となった。大企業ほどデータが分散し、かつ、ビッグデータ、IoT、AIの進展に伴いデータ形式の種類とデータ量が増えていると推測されるため、データ連携ツールが従来以上に求められていると見てよいだろう。
一方、300人以上1000人未満の中堅企業の導入済みは19.7%(前回16.2%)で前回比3.5ポイント増、300人未満の中小企業の導入済みは10.9%(前回9.8%)で前回比1.1ポイント増となり、大企業だけでなく中堅・中小規模の企業でも導入率が高まっている。
導入検討中に着目すると、1000人以上では16.8%(前回17.8%)、300人以上1000人未満では19.7%(前回21.5%)、300人未満では18.8%(前回14.5%)が導入を検討しており、300人以上1000人未満の中堅企業で導入検討中の比率が最も高く、300人未満の中小企業で導入検討中の比率が前回調査よりも高かった。
公共系で導入に遅れ
業種別に見ると、製造業と、金融・保険・不動産で導入済みが25%以上で導入が進んでいる(図3)。導入済みは、製造業のうちの原材料系が30.3%(前回28.9%)で最も高く、電気・機械系29.3%(前回25.3%)、金融・保険・不動産25.0%(前回21.1%)、建設・土木20.0%(前回9.4%)、サービス業・その他19.5%(前回18.2%)、流通業17.8%(前回13.3%)の順となっている。導入済み/導入検討中で見た場合でも、製造業のうちの原材料系が53.8%(前回52.9%)で最も高い。
導入率が最も低いのは公共系(官公庁・自治体・教育機関・病院等)で、導入済みが10.9%(前回12.3%)に留まる。導入検討中で見ても18.2%と全業種で最も低い比率となっており、導入しないとの回答が47.3%と半数近いのが実態だ。
「安定的に稼働すること」を重視
導入済み企業、導入検討中企業に対して、製品を選定する際の重視項目についても尋ねた。選択肢として、「総合的な満足度」のほか、12の具体的な項目を提示して複数選択してもらった。その結果、導入済み企業、導入検討中企業のいずれも「安定的に稼働すること」が重視項目として最も高い比率だった(図4)。導入済み企業は41.0%が「重視した」と回答し、導入検討中企業は実に54.9%が「重視する」との回答だった。
次いで、導入済み企業は「接続先が多様(アダプタの種類の多さ)」が39.8%、「データ加工が容易」が31.3%と高かった。一方、導入検討中企業の場合は「GUIが分かり易い、使用感が良い」が47.4%、「データ加工が容易」「導入が容易(開発スキルや労力のハードルが低い、Webブラウザでも開発できるなど)」が同率で46.6%と続いた。
導入済み企業は「接続先が多様(アダプタの種類の多さ)」であることを重視項目の上位に挙げ、導入検討中企業は加工や導入が容易であることを上位に挙げる傾向が見られた。
「DataSpider Servista」が5年連続で総合満足度1位に
今回も、主要なデータ連携ツール(製品)の導入状況と、導入前の期待度、導入後の満足度についても尋ねた。期待度と満足度については、各ツールの「導入済み」企業を対象にして、5段階で評価してもらい、100点満点でスコア化した。
その結果、総合満足度は5年連続でアプレッソ/セゾン情報システムズの「DataSpider Servista」が最も高かった。また、データ連携ツールを導入済み企業のうち同製品を導入していると回答したのは27.1%で全体の4分の1を占め、その比率が前回(26.8%)に続き最も高かった。
調査概要
調査名 | データ連携に関するアンケート調査 |
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調査対象 | 大企業、中堅・中小企業、および公共系組織(官公庁・自治体・教育機関・病院等)で、社内(または所属組織)向けの情報システムの構築・運用に携わる方々(IT関連製品の選定・導入に関わる方々が中心) |
有効回答数 | 731件 |
調査期間 | 2018年6月5日~6月19日 |
調査方法 | インターネット調査 |