データ連携ツールの導入率は21.3%に続伸、 IoTの進展を背景にニーズ高まる
日経BPコンサルティング調べ 「データ連携に関するアンケート調査」

2016年05月16日

株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、「データ連携に関するアンケート調査」の結果をまとめた。本調査は、一昨年と昨年に続き3回目。今回、データ連携ツールの導入率は21.3%で、前回比0.9ポイント増となり、着実に伸張していることが明らかになった。

ビッグデータやIoT(Internet of things)の利活用が進展するに伴い、企業内に分散しているデータやプロセスを相互に連携させて分析・活用したいというニーズが徐々に高まってきており、EAI(Enterprise Application Integration)をはじめとしたデータ連携ツールに注目が集まっている。

今回も前回と同様に企業内の複数のシステムを連携させて、データやプロセスを統合させる製品の利用実態や導入計画とその選定のポイント、および期待度、満足度等について、企業・団体の情報システム部門の構築・運用に携わる方々を対象にして尋ねた。

導入済み/導入検討中は36.6%で、前年比0.3ポイント増

EAIとは、企業内の複数のシステムを連携させ、データやプロセスを統合させること、あるいはそのためのミドルウエアの総称である。データベースや個別の業務アプリケーションがそれぞれ採用しているデータ形式を変換して、相互に受け渡しが行えるようにする役割を持つ。

特にIoTの進展に伴い、ネットワーク経由で収集した様々な形式の異なるデータを連携させて処理する際に、データ連携ツールを活用した方が連携ソフトをゼロから開発するのに比べて時間とコストを圧縮できるため、データ連携ツールに対するニーズが高まっている。

今回の調査では、こうしたデータ連携ツールの導入率は21.3%で、導入検討中は15.3%だった(図1)。導入検討中のうち、「1年以内の導入を検討中」が1.3%、「3年以内の導入を検討中」が1.9%で、導入時期を決めて検討している企業は多くはなかった。その一方で、「時期は未定だが導入を検討中」と回答した企業が12.1%だった。導入済みと導入検討中を合わせた「導入済み/導入検討中」は合計で36.6%となり、前回比で0.3ポイント増となった。

過去2回実施した調査と比較すると、「導入済み」は16.5%(前々回)、20.4%(前回)、21.3%(今回)と続伸しており、この1年間で0.9ポイント増、過去2年間では4.8ポイント増となった。データ連携ツールの導入率は着実に高まっていると言える。

図1 EAIをはじめとしたデータ連携ツールの導入状況
図1 EAIをはじめとしたデータ連携ツールの導入状況 クリックで拡大

グラフの構成比(%)の合計が、四捨五入により100.0%とならない場合があります(以下同様)

大企業ほど導入が進み、企業規模に関係なく導入率が上昇

企業規模別で見ると、企業規模が大きいほどデータ連携ツールの導入が進んでいる(図2)。この傾向は過去2回の調査と同様である。

従業員数1000人以上の大企業では導入済みが31.6%(前回30.0%)で、導入検討中までを含めると48.4%(前回45.7%)となり、前回以上に導入機運が高まっている。大企業ほどデータが分散し、かつ、データ形式の種類が多いと推測されるため、データ連携が必要とされていると見てよいだろう。

一方、300人以上1000人未満の中堅企業の導入済みは20.2%(前回19.7%)で前回比0.5ポイント増、300人未満の中小企業の導入済みは8.4%(前回8.0%)で前回比0.4ポイント増となった。企業規模に関係なく、導入率が高まっている。

導入検討中に着目すると、1000人以上では16.8%、300人以上1000人未満では15.5%、300人未満では13.6%が導入を検討しており、企業規模が大きいほど導入検討中の比率も高かった。

図2 企業規模別のデータ連携ツール導入状況
図2 企業規模別のデータ連携ツール導入状況 クリックで拡大

前回同様、公共系での導入に遅れ

業種別に見ると、製造業とサービス・その他、金融・保険での導入が進んでいる(図3)。導入済みは、製造業のうちの原材料系が32.0%(前回34.8%)で最も高く、電気・機械系26.8%(前回21.5%)、サービス・その他19.2%(前回18.9%)、金融・保険17.4%(前回25.4%)の順となっている。導入済み/導入検討中で見た場合でも、製造業のうちの原材料系が48.0%で最も高い。

一方、導入率が低いのは、公共系(官公庁・自治体・教育機関・病院等)で、導入済みが9.2%(前回10.4%)に留まる。この傾向は前回と同じである。導入検討中も他の業界に比べて低く12.3%にとどまっている。

データの統合やシステム間連携は、今後さらに企業の利活用が進展すると見られるオープンデータとも密接な関係にある。官公庁や自治体の内部に分散している様々な形式のデータを統合してオープンデータとして公開する際にもデータ連携ツールが有効であると考えられるが、独自開発が多いためか導入意欲は高くない。ちなみに、公共系の「わからない」の比率は38.5%で他の業種よりも高く、データ連携ツールの有用性を判断できていない人の比率が高いとも言えそうだ。

図3 業種別のデータ連携ツール導入状況
図3 業種別のデータ連携ツール導入状況 クリックで拡大

「接続先が多様」の重視度が高まる

導入済み、または導入検討中の企業が重視する選定のポイントについても尋ねた。選択肢として、「総合的な満足度」のほか、10の具体的な項目を提示して複数選択してもらった。その結果、具体的な項目では「接続先が多様(アダプタの種類の多さ)」が37.8%(前回33.3%)で最も重視される選定のポイントだった(図4)。前回は2位の導入が容易(開発スキルや労力のハードルが低い、Webブラウザでも開発できるなど)と0.4ポイント差の僅差だったが、今回は9.6ポイント差で大きな開きが出た。

これは、クラウドコンピューティングやビッグデータ、IoTの活用が進展するに伴い、社内で取り扱うデータの形式 (業界標準あるいはメーカー固有の形式)が多様化しているため、アダプタの種類が多い製品が求められていることの表れである。

なお3番目はソフトウェアの品質(不具合が少ない、安定稼働するなど)で、1位から3位までの順位は前回と同じだった。

図4 EAIをはじめとしたデータ連携ツール選定のポイント(複数選択式)
図4 EAIをはじめとしたデータ連携ツール選定のポイント(複数選択式) クリックで拡大

総合満足度1位は3年連続で「DataSpider Servista」

今回、主要なデータ連携ツール(製品)の導入状況と、導入前の期待度、導入後の満足度についても尋ねた。期待度と満足度については、各ツールの「導入済み」企業を対象にして、5段階で評価してもらい、100点満点でスコア化した。

その結果、総合満足度は、一昨年、昨年に続いて3年連続でアプレッソの「DataSpider Servista」が最も高かった。最重視された選定ポイント「接続先が多様」の個別項目でも「DataSpider Servista」の満足度が最も高かった。

調査概要

調査名 「データ連携に関するアンケート調査」
調査対象 大企業、中堅・中小企業、および公共系組織(官公庁・自治体・教育機関・病院等)で、社内(または所属組織)向けの情報システムの構築・運用に携わる方々(IT関連製品の選定・導入に関わる方々が中心)
有効回答数 980件
調査期間 2016年3月9日~3月16日
調査方法 インターネット調査

関連リンク

前回の結果 (2015年5月29日 ニュースリリース)

このリリースに関するお問い合わせ

株式会社 日経BPコンサルティング 調査部 担当:藤澤 一郎

Tel.03-6811-8301 Fax.03-5421-9176

〒108-8646 東京都港区白金1-17-3 NBFプラチナタワー

お問い合わせ