名古屋大学が、北陸・東海の主要大学65校の中で「大学ブランド偏差値」第1位。教育関連従事者がみる大学:「資格取得に積極的な」日本福祉大学、「地域文化に貢献する」静岡大学
―「大学ブランド・イメージ調査 2011-2012」【北陸・東海編】(2011年8月実施)より―
2011年11月09日
日経BPコンサルティング(東京都港区)は、2011年8月に実施した「大学ブランド・イメージ調査 2011-2012」*の結果をまとめ、本日(2011年11月9日)調査結果報告書を、発行・発売する。
「首都圏」「近畿」のほか、「北関東・甲信越」「北陸・東海」「中国・四国」「九州・沖縄・山口」の6地域403大学を対象に、同地域在住のビジネス・パーソンや、中学生以上の子供のいる父母、また教育関連従事者の目線から調査したものである。大学の「認知度/認知経路」「採用意向度」「入学推薦度」や「子供の進学に対する意識」などのほか、大学や学生などに対する49項目に及ぶブランド・イメージを尋ねた。
北陸・東海編の「大学ブランド偏差値」(大学ブランドの総合力を示す指数)ランキング第1位は、95.2ポイントを獲得した名古屋大学で前回調査に続く首位(表1)。名古屋大学は、49のブランド・イメージ項目の内、26項目でトップとなり、圧倒的な大学ブランド力の強さを見せた。第2位は南山大学(70.7ポイント)、第3位には金沢大学(65.4ポイント)が続いた。なお、6地域全体(403校)を対象にした大学ブランドランキングでは、京都大学が第1位となった。
65校の大学ブランド偏差値の分布をみると、名古屋大学が突出したポイントを獲得。第7位の三重大学から、第22位の富山大学、名古屋外国語大学までが50ポイント台となり、それ以降の半数以上の大学は平均以下の40ポイント台となった。よって、下位の大学は、さまざまなステークホルダーに対して、自校の魅力がまだ十分に伝わっていない可能性がある。 また、トップ10に国立大学が5校(名古屋大学、金沢大学、名古屋工業大学、静岡大学、三重大学)、公立大学が1校(名古屋市立大学)、私立大学が4校(南山大学、中京大学、名城大学、金沢工業大学)ランクインした。
教育関連従事者による評価:「資格取得に積極的な」日本福祉大学、「広報活動に力を入れている」中京大学、「地域社会・文化に貢献」の静岡大学など、大学の特徴が明らかに
本調査では、大学の教職員など教育関連従事者にもブランド評価を依頼した。その結果から、各イメージ項目第1位になった大学をみると、その大学の特徴や「らしさ」が、より身内に近い関係者に、どの程度浸透しているかがうかがえる(表2)。例えば、「資格取得に積極的」では日本福祉大学が前回に続いて第1位となった。社会福祉士や介護福祉士の資格取得に熱心であることが評価されている。また、「広報活動に力を入れている」では、他に「スポーツ活動に熱心」、「面白味がある」などでもトップとなった中京大学が首位となった。「地域社会・文化に貢献している」では国立の静岡大学が、また「創造力がある」では管理栄養学部のほか、ヒューマンケア学部やメディア造形学部を有する名古屋学芸大学が、それぞれ第1位を獲得した。
大学ブランド偏差値の高い大学は、そもそも大学が知られているかどうかを示す「大学認知率」も高い傾向にある。しかし、学生数や学部・学科が少ないといった規模の小ささの影響で、認知率がそれほど高くない大学の中に、ブランド偏差値が平均の50を超えている大学もあり、「山椒は小粒でもピリリと辛い」を地で行く大学が存在する。まさに様々なステークホルダーに魅力ある大学として印象付けられている大学である。今回の調査では、豊橋技術科学大学や名古屋外国語大学、名古屋市立大学などがそれに該当する。それらとは対照的に、認知率、ブランド偏差値ともに低い大学も少なくない。ブランドを大学経営の中で体系立って管理せず、解決すべき課題すら認識されていない大学である。少子化・全入時代のいま、自校のブランド育成の進捗を数値化して客観的にレビューすることが、まずは必要ではないだろうか。
(吉田健一=日経BPコンサルティング ブランドコンサルティング部 次長/ブランドプロジェクト・マネージャー)
*「大学ブランド・イメージ調査2011-2012」【首都圏編】【近畿編】【北関東・甲信越編】【北陸・東海編】【中国・四国編】【九州・沖縄・山口編】
6地域の主要大学計403校の「ブランド偏差値」算出を目的としたインターネット調査(医科大学や体育大学、短期大学などは除外)。「地域産業への貢献度」や「研究施設の充実度」、また学生の「語学力」や、「コミュニケーション能力の高さ」など大学や在学生へのブランド・イメージ49項目を測定し、それらをまとめた総合ブランド指数(=大学ブランド偏差値)を算出してランキング化した。調査にあたって、日経BP/日経BPコンサルティング調査モニターを中心に、同地域のお仕事をお持ちの方(有職者)や、中学生以上の子供がいる父母、教育関連従事者に回答を依頼。なお、調査設計や分析にあたり、企業ブランドおよび製品/サービスブランドの調査で実績のある「ブランド・ジャパン」で培ったノウハウを活用し、調査するイメージ項目を洗い出した。北陸・東海編は2011年8月3日~21日に実施し、8,160件(同地域在住の有職者、学生の父母)の有効回答を得た。2011年11月9日に調査結果報告書を発行。
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