採用時に伝えるべきは “働く人の姿”だ――そう考えて、新卒・キャリア・女性向けの採用パンフレットを3冊同時に制作したSky株式会社。目指したのは、会社案内では伝えきれない社員の人柄やキャリアの実像を可視化し、入社後の未来を具体的に描ける採用ツールだ。有識者対談からデスクツアー、持ち物紹介まで、多様な企画を盛り込みながら、求職者が「ここで働く自分」を想像できる採用パンフレットを作り上げた。Sky株式会社の潟岡雅士氏、多田仁美氏、岩井卓也氏に、このプロジェクトへの思いや制作時の工夫、活用状況を聞いた。
求職者が知りたいのは「事業」だけではない
Sky株式会社はこれまで、転職フェアや採用活動の場で会社案内を活用してきた。しかし、会社案内は事業内容や実績が中心で、求職者が知りたい「働く人」や「入社後のキャリア」まで十分に伝えきれていなかった。
特にキャリア採用においては、入社後に自分がどんな仕事に携わり、どのような成長を遂げられるかが重要な判断材料だ。同社では、社員に焦点を当てた採用ツールの必要性を感じていたという。
「会社案内は事業を紹介するパンフレットです。会社が何をしているかは伝わるのですが、求職者が本当に知りたいのは、『どんな人が働いているのか』『転職して何が変わるのか』『どんなキャリアを描けるのか』です。これを伝えるツールが必要だと感じていました」(潟岡氏)
こうした課題を解決すべく、「新卒版」、「キャリア版」、「キャリアコンパス(女性)版」という3種類の採用パンフレットを制作するプロジェクトがスタートした。
管理本部 人財部 リクルーティング課 専任課長代理
潟岡 雅士 氏
「温度のある情報」をどう届けるか
制作にあたり、同社が重視したのは「AI」「人柄」「キャリア」の3つだった。
新卒版では、AI領域への取り組みを伝えるため、有識者との対談企画を実施。また、現役社員インタビューやキャリア紹介を通じて、技術力だけでなく社員の人柄や企業文化も伝える構成とした。
キャリアコンパス(女性)版では、女性管理職やエンジニア、営業職として活躍する社員を紹介。キャリア形成や働き方を具体的に示し、将来の姿をイメージしやすい内容を目指した。
「新卒版では、当社のAIへの取り組みをしっかり紹介したいと考えていました。一方で、技術だけではなく、働く社員の人柄や雰囲気も伝えたいという思いがありました。学生だけでなく、保護者や学校関係者も読むことを想定し、『安心して入社を勧められる会社かどうか』という視点も意識しています」(岩井氏)
AIや技術力だけではなく、社員の魅力や働く環境まで含めて伝え、企業理解を深めてもらった。
管理本部 人財部 リクルーティング課 リーダー
岩井 卓也 氏
社員の“リアル”を可視化する新企画への挑戦
社員のキャリア履歴書やデスクツアー、持ち物紹介といった新しい企画にも挑戦した。
これらは、社員一人ひとりの個性や働く環境を伝えるのが目的だ。特に持ち物紹介は、日経WOMANで人気の「バッグの中身」や「仕事道具」の企画を参考にしながら構成。仕事へのこだわりや価値観、人柄が自然に伝わるコンテンツとなった。
「デスクツアーや持ち物紹介は、自分たちだけでは思いつかなかった企画です。エンジニアがどんな環境で働いているのか、どんなものを使っているのかが見えるので、私たちから見ても新鮮でした」(多田氏)
社員のリアルな姿を見せて、求職者が入社後の働くイメージを思い描きやすい採用パンフレットとなった。
管理本部 人財部 リクルーティング課 チーフ
多田 仁美 氏
キャリアが見えることで、未来を想像できる
入社後の成長プロセスを可視化したキャリア紹介ページも好評だ。
実際にキャリア入社した社員のキャリアストーリーや、若手から管理職まで成長するステップを紹介すると、入社後の自身の未来を具体的にイメージできる。
社員の価値観や仕事への向き合い方を紹介するコンテンツも盛り込み、社風や働き方についても理解を深められる構成だ。
「面接でも『入社して3年後、5年後にはどんな仕事に就けるのか?』という質問をよくいただきます。この企画は、入社後の成長イメージが一目で分かる内容になっていて、とても良かったと思います」(岩井氏)
「配って終わり」ではない、現場で生きるパンフレット
制作した採用パンフレットは、現在も転職フェアや面接の現場で活用されている。
来場者に会社案内とセットで配布するほか、採用担当者が説明する際のツールとして、採用パンフレットを利用するシーンも多いという。
社員紹介やキャリア事例、資格取得支援、モデル年収など、必要な情報がわかりやすくまとめられており、求職者とのコミュニケーションも円滑になるそうだ。
「転職フェアでは、採用担当者だけでなく現場社員も参加します。その際、『説明に使いやすい』『会社案内だけでは伝わりにくい情報まで載っている』との声をもらいました。説明する側・説明される側ともに利用しやすいツールになっていると感じています」(多田氏)
会社案内と採用パンフレットを組み合わせることで、事業内容に加え、社員の働き方やキャリア、社風まで伝えられるようになった。採用担当者だけでなく、現場社員も活用できるツールとして、採用現場に定着しつつある。
採用広報は「人を伝える」時代へ
今回の取り組みは、採用パンフレットに新たな付加価値をもたらした。社員一人ひとりのキャリアや働き方、人柄を丁寧にすくい上げ、これまで会社案内では伝えきれなかった魅力をコンテンツ化し、求職者の入社意欲を後押ししてくれるツールに深化させた。
社員のキャリアや価値観を丁寧に可視化することで、より求職者の理解を深めてもらうことができる。採用パンフレットは、事業紹介だけでなく「人を伝える」広報へと進化しつつある。
会社案内だけでは伝えきれない「働く姿」をどう届けるか。その挑戦は、これからの採用広報を考える企業にとって、多くの示唆を与えてくれるはずだ。
滝澤 嘉一(日経BPコンサルティング)
脇山 誠司(日経BPコンサルティング)
Sky株式会社
https://www.skygroup.jp/自社商品開発/販売をはじめ、業務系システム開発、組込み・制御システム開発、ソフトウェア評価/検証、システムインテグレーション事業などを幅広く展開する独立系IT企業。1985年の設立以来、「好働力!」を掲げ、社員一人ひとりがいきいきと働ける組織づくりを推進している。2026年6月現在の従業員数は4,675名。AIや教育、情報セキュリティなど成長分野にも積極的に取り組み、メーカー機能とSI機能を併せ持つ総合IT企業として事業を拡大している。
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