広報メディア制作のお悩み解決!~制作進行編~
スケジュールづくりのカギは、関係者とのコミュ力
企画の段階で承認を取る! その順番も大事
U(年10回発行の会員誌の制作デスクを担当) 定期媒体のスケジュールは、印刷会社、広告代理店、外部スタッフなどとの調整や交渉が欠かせません。発行日から逆算して、締め切りに間に合うように! もちろんそれは最優先ですが、定期媒体の進行管理に重要なのは、「関係者の相関図と確認ルートを把握すること」にカギがあると思いませんか?
Y(年2回発行の会員誌を担当) そうですね。取材した各部署の確認は取れているのに、広報部長の判断で大きくひっくり返ったり、情報伝達の経由先が多く、媒体を発行する企業(クライアント)の真の要望を取りこぼしたりすることは、ままありますね。
S(年12回発行の会員誌を担当) 会員誌の企画コントロールからスケジュール管理まで携わっています。媒体の担当者が変わったとき、確認ルートの把握が間に合わず、混乱したことがありました。
「初校」や「再校」は、どのタイミングの原稿なのかを関係者全員で認識し、誰にどの段階で確認を取るのか関係者全員で共有しておくと、やり直しの回数を減らせますね。
Y 私は企画が決定した段階で、発行媒体の責任者(広報部長や取締役など)にも企画概要を承認していただくことをクライアント側の現場担当者におすすめしています。原稿確認など次のステップの承認の時点で、責任者も概要を理解していますし、現場の担当者も再度上席に説明をすることで、企画の理解が深まります。
また、原稿を確認する人数や、原稿確認者が複数いる場合は、確認に要する時間が変わるので、どの順番で確認するのかも事前に相談します。広告代理店経由のプロジェクトであれば、連絡系統の確認も重要です。緊急時は、クライアントと制作スタッフが直接やり取りをして良いかの事前確認もしておくと、いざというときにスムーズです。
U 事前にステップを確認しておくと、気持ちにゆとりが生まれますね。
理想のスケジュールと、残念なスケジュール
U Sさんは担当の月刊媒体をどんなスケジュールで進行していますか。
S 毎月イチから決めるのではなく、1年間分のおおよその企画をつくるところからスタートします。媒体担当者が全体感を把握できるように1年間分の企画を提案し、その後、3カ月単位で時世に応じて企画の微調整をしながら進めます。この方法で進行すると、媒体のコンセプトや方針を守りながらトレンドを盛り込んだ企画がつくれます。
U 理想のスケジュールを引いていても、取材の調整に予想以上に時間がかかってしまった。現場と上層部で意見が違い、途中でやり直しということもありますよね。過去には自然災害の影響で納品遅延もありました。定期発行物を安定して続けていくには、媒体のBCP(事業継続計画)があると、復旧が早いですよね。
S 取材の調整にかかる時間、制作期間、原稿を確認する期間。そして、校了した後に印刷に何日かかり、納品は何カ所、そこから読者に届くまでの手配に何日間かかるかなど、これまでの経験から読者の手に届くまでの日数を、われわれ日経BPコンサルティングの編集者はおおよそ把握しています。何かあったときに、調整できる“バッファ”を知っているので、臨機応変に対応してきました。
U 過去に、制作過程で自然災害の影響を受けてしまったとき、一番の優先事項は状況の把握だと実感しました。印刷会社や配送業者にヒアリングし、発行元と共有をした上で、次号以降の対応を検討しました。大きな天災の後は、次号にお見舞いを入れたこともありますね。平時から、発行元と話し合っておくこともおすすめします。
Y 年に2回の発行で早くから進行をしていても、残念ながら厳しいスケジュールになってしまうこともあります。
U そういった場合でも、スケジュール管理のノウハウがあります。当社は制作を一気通貫で請け負っているため、工程のどこが短縮できるか、どこで挽回するかなどを把握しているので、スケジュールの調整がスムーズにできます。もう1つは、今まで多種多様な企業の広報メディア制作に携わってきた経験から、円滑な社内調整のツボを心得ています。この2つをお互いに調整しあうと、思わぬ“バッファ”を見つけられることがあります。
Y ありますね。スケジュールが押したとき、イレギュラーな対応に迫られたときこそ、連絡を密に取り合いたいものです。決定権者の確認ポイントなどノウハウも豊富に蓄積しています。スケジュールのつくり方にお悩みがあれば気軽にご相談ください。
連載:広報メディア制作のお悩み解決!
- 調査編1:[700社調査の結果から]紙の広報誌は“オワコン”か?
- 調査編2:「始めてはみたけれど…」。広報版“DX迷子”、 回避の勘所
- デジタルコンテンツ編:オウンドメディア活性化のヒントを探る
- 制作進行編:スケジュールづくりのカギは、関係者とのコミュ力
- リニューアル編:媒体リニューアルは、1号にして成らず