ブランド・ジャパンの使い方

ブランドプロジェクト・マネージャー吉田健一が語る「ブランド・ジャパンのデータ活用の実際」

2016.11.07

ブランディング

  • 吉田 健一

    コンサルティング本部 ブランドコミュニケーション部長 吉田 健一

毎年3月に発行している「ブランド・ジャパン」。多くの企業・団体様に導入をいただいていますが、ご担当者様が調査データを実際に活用いただくなかで、よくお受けする質問があります。それは「競合との比較の仕方」「業界内のポジション把握の仕方」です。ブランド・ジャパンを統括するブランドプロジェクト・マネージャー 吉田健一が具体的にご回答します。

スコアが高くても「ブランドの効力」が無い場合も

ブランド戦略に携わるお客様との会話の中で、「ウチのブランドの○○のスコアが高いことは分かった。でも、他だってみんなそうじゃない?」という質問をお受けすることがよくあります。そのご質問の背景には、例えば業種内データを俯瞰したときに、実は自ブランドのイメージが相対的に埋没しているのではないか、ポジショニングが曖昧なのではないか、それを確認したいということがあるかと思います。データ活用としては、一度は必ず通る道ではないでしょうか。

ブランド・ジャパンの納品物の1つである分析用CD-ROMでは、「競合分析シート」という機能(Advanced、Standard各バージョンに付属)があり、最大6ブランドまでデータの同時比較が簡単に行えます。ブランド名を選択するだけで、収録されている様々なデータを横並びで、また、視覚的に確認ができます。

また、自ブランドが属する業種全体の平均との乖離を確認したい場合もあるでしょう。その際も同じ分析シートから、ベンチマークにする平均値の種類を自由に選択して表示させ、その平均値と見比べることができます。

その結果、絶対値としては大きかったスコアが、相対的に見ると実は、それほど大きい値ではなかったことに気づくことがあります。「なんとなく、他とだいたい同じ位のスコア」を保有していても、それほど得をすることはありません。むしろその状況は、「ブランドの効力」が一番無い状況です。「業種の性」に捕らわれて、下駄を履かされたデータだけを見ても、真の姿を誤解してしまいます。

スコアが高くても「ブランドの効力」が無い場合も

業界の持つ性(さが)を確認することが重要

もう少し具体的にスコアを見ていきます。ブランド・ジャパンのBtoC編では、ブランド力スコアをフレンドリー(親しみ度)、コンビニエント(便利さ)、アウトスタンディング(卓越性)、イノベーティブ(革新性)という4つの要素のスコアから算出します。ノミネートしたすべてのブランドについて、この4つの要素のスコアが算出されるので、ここから各スコアの業種・業界別の平均値を割り出せます。例えば、酒類業界、自動車業界、通信販売業界でそれぞれ 図1 のような平均値となり、業界それぞれでどのスコアが高いのか、つまり、その業界の性格を確認することができます。

もう少し具体的にデータを見ていきましょう。食品業界で毎年常に上位にランクインする日清食品と、業界全体の平均データ(75ブランド平均データ)を例にとります(図2)。先ほどの相対的な意味での日清食品のポジショニングの確認と共に、日清食品の持つ「強み」がなにかを確認できます。「強み」とは2つあり、1つは「他が高いところがさらに高いこと」、もう1つは「他が低いところでより高いこと」があります。

高いスコアはさらに高く、低いスコアはより高く

4つの要素のスコア平均値は、50です。よって、食品業界ではフレンドリーとコンビニエントが高く、アウトスタンディングとイノベーティブが低いことが分かります。これが、食品業界の特性というわけです。さて、その中での日清食品のスコアはどうなっているのでしょうか。

フレンドリーとコンビニエントでさらなる圧倒感を持ってスコアが高いことが分かります。世界80カ国、40年以上の歴史を持つロングセラー商品のカップヌードルを始め、日本人の食生活に大きな影響を与えている商品ラインナップの存在や、加工食品業界の雄として長年君臨し続けているその歴史を考えれば、この結果を容易に理解できます。

その一方で、業界では弱みになる2つの要素、アウトスタンディングとイノベーティブにおいてもスコアが高いことに驚きます。これはブランドの個性が強く、他との差別化に成功していることを表しています。カレーメシなどの新製品や、様々な味付けの追求など、常に新しいニュースで世間を魅了し、ファンも多い(本調査において「大ファンである」で第9位)ことが、結果的に高い得点に結びついているのではないでしょうか。

図1 各スコアの業種・業界別の平均値
【図1】各スコアの業種・業界別の平均値
図2 日清食品と食品業界全体の平均データ
【図2】日清食品と食品業界全体の平均データ

「なんとなく一緒」からの距離感を見極める

このようにして、「なんとなく、だいたい一緒」から、どの程度距離があるのかを明確な数値で見極めることが、データ活用の基本となります。言い換えれば、ブランドには「他にはない魅力」が求められますが、それがどこなのかを明らかにし、経年でその数値を追っていくことが必要になるということです。「私は、英語や国語は得意だが、数字は苦手」「数学や物理は得意だが、暗記ものの社会は苦手」という得意不得意、高い低いのメリハリ感、凸凹感がどの程度あるのか、そもそもこれまでそのようなくびれを生み出すような健全なブランドづくりができているのか、ブランド・ジャパンのデータを使って、ぜひ確認していただきたいと思います。

日経BPコンサルティング コンサルティング本部 ブランドコミュニケーション部長
吉田 健一

慶應義塾大学経済学部卒業後、IT企業を経て、日経BP社に入社。日経BPコンサルティングに出向し、2001年より始まった日本最大のブランド価値評価調査「ブランド・ジャパン」ではプロジェクト初期から携わり、2004年からプロジェクト・マネージャー。2014年から現職。

企業や大学のブランディングに関わる調査、コンサルティング業務に従事する傍ら、各種メディアへの記事執筆、セミナー講師などを務める。著書に「リアル企業ブランド論」(弊社刊)がある。

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