コンテンツマーケティングの壁~アメリカ編~

2016.08.31

コンテンツマーケティング

  • コンテンツコミュニケーションラボ コンサルタント 前島 寛子

コンテンツマーケティングの壁~アメリカ編~
コンテンツマーケティングを調査結果から読み解く当コラムシリーズ、5回目をお送りします。
前編では弊社の自主調査と共に、コンテンツマーケティングを実施していく中で、多くの人がつまづきがちなポイントをご紹介しました。今回は、米国のマーケター達の実情を見ていきましょう。
マーケティング活動を支援するMAツールも米国企業発とされ、一般的に米国のマーケティング業界は、日本より3~5年進んでいると言われています。しかし、米国での調査から米国マーケターも国内マーケター同様にコンテンツマーケティングの実践には苦しんでいる様子が明らかになってきました。

自己採点では「熟練したコンテンツマーケティング」を実践できている。だが、実態は?

米国の調査会社Forrester Research, Inc.が2016年4月29日に公開した調査結果において、自己採点で熟練したコンテンツマーケティングを実践できていると回答した人は全体の51%という結果でした。

ビジネスマーケターはコンテンツマーケティングの
熟練度をコンテンツの質より量で判断している
ビジネスマーケターはコンテンツマーケティングの熟練度をコンテンツの質より量で判断している

やはり米国、過半数は既に実践レベルと、コンテンツマーケティングが進んでいるのだなと思いきや、一方でForrester Researchが第三者視点で評価した結果、4段階中最高である、熟練度の高いマーケター(卓越したコンテンツマスター)としての評価を得たのは全体のうちたった4%にすぎませんでした。熟練したコンテンツマーケティングの実践にまで至るのは日本でも米国でも一筋縄ではいかないようです。

多くのB2Bマーケターは、コンテンツマーケティングの実践途上
多くのB2Bマーケターは、コンテンツマーケティングの実践途上

とくに、自己評価では熟練していると思っていた約半数のマーケターがForrester Researchから熟練していないと指摘された大きな理由は、施策の基となる論理的な戦略が不十分であるという点でした。
弊社が実施した日本国内の調査でも、ターゲットの設定や、EFOなど個々の施策の最適化は「できている」と認識していても、本来必要な「マーケティングシナリオの定義」や、社内での「リード(潜在顧客)の定義」などを実践できていないという事例をご紹介しました。
このような結果から、コンテンツマーケティングの実践者であるマーケターと、コンテンツマーケティングの(戦略策定)ノウハウを持った第三者の評価では評価ポイントが異なるという構図が浮かび上がってきます。たとえば、マーケター自身は多数のコンテンツを提供し、コンテンツマーケティングを実践しているつもりでも、そのコンテンツの質が不十分であったり、売り上げに結びつかないコンテンツであった場合、その活動は「熟練したコンテンツマーケティング」とは言えません。熟練レベルに到達するためには、自身の活動を客観的な目で評価することも重要になってきます。

米国マーケターも苦戦するコンテンツの「質」

それでは、熟練していないと判断されたその他96%の米国マーケター達は、どのような状況なのでしょうか。先ほどの4段階評価中最高の評価を受けられなかった人の割合を見てみましょう。コンテンツマーケティング全体で一貫した戦略を持ち、それを実践出来ているレベルが38%、戦略を実践に落とし込もうとしているレベルが全体の約半数(52%)、と、全体の90%を占めています。一貫した戦略に基づいたコンテンツマーケティングができていない「初心者」レベルはわずか全体の5%ですので、熟練レベルにまで至っている人は少ないものの、まったくの初心者という人も少ない、ということが見て取れます。米国においても、マーケター達は今まさにコンテンツマーケティングの道の途上で試行錯誤しているようです。
そのほか、とくに、読者とのエンゲージメントが出来る、つまりはコンテンツを通じてオーディエンスの心を掴んだり、寄り添ったり、提案したり、教育したりできるような質の高いコンテンツの制作が出来ているかどうかについては、全体の87%が苦戦している状況だという事が分かりました。

ビジネスマーケターはコンテンツマーケティングの
熟練度をコンテンツの質より量で判断している
ビジネスマーケターはコンテンツマーケティングの熟練度をコンテンツの質より量で判断している

見えてきた「壁」をどのように壊していくか

コンテンツマーケティングの道を順風満帆に進んでいくためには、戦略策定を担うマーケティング理論と、読者との心の交流を育む質の高いコンテンツ制作の、両者の専門家としての側面を兼ね備える必要があります。とはいえ、一担当者がサイト上の構成や記事リンクなどの回遊施策、デザインからコンテンツ制作、加えて近年注目の高まるリード情報の整備やCRM施策などすべてを網羅することは至難の業です。また、社内にこれらすべての専門家を用意することも、現実的ではないでしょう。だからこそ、コンテンツマーケティングの取り組みの中で「壁」に当たったと感じるタイミングで、的確に取り組みを評価し、サポートする専門家、協力者を見つけることが、壁を壊す第一歩となるのではないでしょうか。

  • 参考:「Benchmark Your B2B Content Marketing Strategy
    And Maturity ~Auditing Practices Better Connects Marketing Content To Business Results~」 by Laura Ramos
    April 29, 2016
    Source: Forrester/BMA/OMI May 2014 Global Content Marketing Benchmark Online Survey

(コンテンツコミュニケーション・ラボ 前島寛子/堀内祐希)

日経BPコンサルティング デジタル本部 コンテンツコミュニケーションラボ・コンサルタント
前島 寛子(まえじま・ひろこ)

大学で社会心理学、メディア論などを学んだのち、2001年、大手外資系ITベンダー入社。マーケティング業務に従事したのち、企業のオウンドメディア活用のための調査、コンサルティング、戦略企画などを担当。特にWebサイトを中心としたデジタルメディア活用、リアル施策との連携を得意分野とする。

日経BPコンサルティング通信

配信リストへの登録(無料)

日経BPコンサルティングが編集・発行している月2回刊(毎月第2週、第4週)の無料メールマガジンです。企業・団体のコミュニケーション戦略に関わる方々へ向け、新規オープンしたCCL. とも連動して、当社独自の取材記事や調査データをいち早くお届けします。

メルマガ配信お申し込みフォーム

まずはご相談ください

日経BPグループの知見を備えたスペシャリストが
企業広報とマーケティングの課題を解決します。

お問い合わせはこちら