コンテンツマーケティングの壁~日本編~

2016.07.25

コンテンツマーケティング

  • コンテンツコミュニケーションラボ コンサルタント 前島 寛子

コンテンツマーケティングの壁~日本編~
これまで3度に渡ってお送りしてきましたマーケティング活動の実態についてのコラムですが、4回目となる今回は2本立てでお送りします。
前半は、実際の取組内容とつまずきポイントに焦点をあて、コンテンツマーケティングに失敗しないためのエッセンスは何なのか、いくつかのポイントに絞って調査結果を見ていきましょう。

ターゲット設定とEFOは「マーケティングシナリオ」と紐付けよう

これまでの記事でご紹介してきたとおり、国内では、コンテンツマーケティングに取り組んでいる人は少なくありません。

おさらいすると、弊社の調査(2015年9月28日~30日)ではコンテンツマーケティングに「既に取り組んでいる」と回答した人は全体の15.3%、取り組みを「予定」、もしくは「検討中」という人は50.0%でした。「予定」「検討中」を含めると、昨年9月の時点で6~7割の人がコンテンツマーケティングを意識した活動を既に始めていたことになります。

個々の施策単位で見てみましょう。同じように大多数の人が取り組んでいると答えた項目が2つあります。

1つ目が、ターゲット設定の有無、そして2つ目がEFOとも呼ばれる「問い合わせフォーマットの最適化」の実施です(図1,2)。いずれも7割程度の人が「できている」もしくは「ややできている」と答えました。

図1 ターゲットの明確化
図2 問い合わせや資料請求フォームの最適化

ですが、一方でその前段階にあるべき「マーケティングシナリオの定義」についてはどうかというと、実は取り組んでいる人はあまり多くないことが分かりました。あまりできていない、若しくはまったくできていないと答えた人が4分の3以上(76.0%)にのぼっています(図3)。

図3 「マーケティングシナリオ」の定義の実施状況

マーケティングシナリオとは、マーケティング戦略の全体像です。このシナリオが定まっていない状態で、ターゲット設定やEFOを行ったとしても、それが全体として適切なものとなっているか、疑問が残ります。つまり、個別最適化できているように見えても、全体最適化の視点が抜けていては、正しく実施されていない可能性が高いのです。逆を言えば、マーケティングシナリオの定義から手を付けることによって、他社よりもコンテンツマーケティングの取り組みを一歩先に進めることができるとも言えます。

「リード整備」の前に全社でやりたい「リード定義」

コンテンツマーケティングの目的は、文章や動画、画像といったコンテンツをただ「作る」「見せる」ことではありません。そのコンテンツを通じてどのくらい売上に結びつく情報を提供できたかが重要です。これがコンテンツマーケティングの施策上の評価基準になります。

営業の求める顧客、すなわち購入意欲の高い顧客の情報である「リード情報」をどのくらい獲得できたかが問われるため、マーケティング部門がいかにうまく「営業への橋渡し」を行っているかが問われることになります。

あるリード情報が営業部門に引き渡すにふさわしい情報なのか、を判断するためには、当然、情報の整備が必要です。このリード情報の整備について聞いてみると、「出来ている」と答えた人は57.7%でした。「すべてできている」人に限ると、1割程度ではありますが、マーケティング部門単体で見ると、情報はそれなりに整備されていると言えます。(図4)。

図4 リード情報のデータベース化の実施状況

しかし、コンテンツマーケティングで取得したリード情報は、マーケティング部門だけで完結するものではありません。営業部門に渡してこそ意味のある情報になっていくのです。そこで、自分の部署のみでなく、他部署とのリード情報の統合が出来ているかについて聞いてみたところ、「とても出来ている」と答えた人は1割程度で、「不完全」、「できていない」と回答した人は実に9割にのぼりました(図5)。これではせっかく集めた情報も営業部門から見ると使いにくい、宝の持ち腐れになってしまいます。

図5 社内DBの統合状況

せっかく取得したリード情報を宝の持ち腐れにしない、きちんと営業部門に使ってもらえる情報にするためには、まずリードとして有効な顧客情報の条件や定義をすり合わせておく必要があります。ですが、営業部門とマーケティング部門でこれが連携出来ているのかと尋ねたところ「とてもできている」と答えたのはなんと、たった5%でした(図6)。

図6 マーケティングと営業間の「リード」定義のすりあわせ状況

このコラムの初回、営業担当者のマーケティング施策に対する不満が、マーケティング担当者の不満よりも高いことを挙げましたが、こうした顧客情報の統合やリードの定義そのものなど、マーケティング部門と営業部門の連携が不十分であるために、このような結果になっているとも考えられます。

では、コンテンツマーケティングに取り組んできた歴史が長いと言われる米国では状況はガラッと違うのでしょうか?実は、米国で行われた調査から、米国のマーケターも同じように苦戦しているという実態が見えてきました。後編では、この調査結果とコンテンツマーケティングの壁を乗り越えるために必要なポイントを見ていきます。

  • このアンケート調査は、企業等におけるデジタル・マーケティングやコンテンツマーケティングへの取組状況を明らかにする目的で、マーケティング職のほか非マーケティング職で経営や営業、その他部門の勤務者を含む企業等におけるマーケティング活動の関与者を対象に、日経BPコンサルティングが企画し、実施したものです。2015年9月28日~30日に、700人から回答を得ました。

(コンテンツコミュニケーション・ラボ 前島寛子/堀内祐希)

日経BPコンサルティング デジタル本部 コンテンツコミュニケーションラボ・コンサルタント
前島 寛子(まえじま・ひろこ)

大学で社会心理学、メディア論などを学んだのち、2001年、大手外資系ITベンダー入社。マーケティング業務に従事したのち、企業のオウンドメディア活用のための調査、コンサルティング、戦略企画などを担当。特にWebサイトを中心としたデジタルメディア活用、リアル施策との連携を得意分野とする。

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