ですが、今まで文字や画像で提供していたものをそのまま動画化するだけでは、効果的なコンテンツとはならない可能性があります。では、どのような点に気を付けたらよいのでしょう?海外の記事や調査レポートからその解をいくつかご紹介します。
なぜ動画を作るのか?を定義する
そもそも、なぜ動画でコンテンツを作る必要があるのでしょうか。
上司が「これからの時代は動画だよね」と言っている、競合他社が利用し始めた、自分がビジネス動画を目にする機会が増えてきたから、など考え始める理由は様々だと思います。ただ「なんとなく始める」のではなく、動画の特性やメリットを活かせる使い方を理解した上で、動画コンテンツを制作する理由を定義することが、効果的な動画利用には必要です。
こちらの記事では、動画コンテンツのメリットとして以下のような項目を挙げています。
- さまざまなバリエーションを持たせられる
(例:20分のWebinar動画から5分のサマリー動画、30秒のティザー動画を作成する) - 共有、拡散しやすい
- セミナーなどリアルマーケティングのコンテンツを再利用しやすい
つまり、このようなメリットを必要としないコンテンツであれば、あえて動画化する必要はないとも言い換えられます。上記の記事でも「いつでも動画が最適な選択とは限らない」「ビジュアルや音がなくても伝えたいことが伝わるか?をまず考えよう」と指摘しています。
目的に合った動画を考えよう
次に、いざ動画を作るとなったときに考慮しておくべきことは何でしょうか。それはブランディングやマーケティングの中で動画にどのような役割を持たせるか、何を目的とした動画かを明確にしておくことです。まずはターゲットとしたいオーディエンスを定義し、そのオーディエンスに見てもらうために最も有力なチャネルの選定、そしてそのチャネルに合わせた動画の製作へと進めていきます。目的によってふさわしい動画は変わります。このターゲットや目的の明確化をきちんと行わないと、せっかく作った動画が見当はずれの結果に終わってしまうかもしれません。
先にご紹介したCMIの記事では、目的別に次のような動画の作り方を提案しています。
- 1.製品やブランドの認知を高める目的なら
- エンターテイメント性を持ったポジティブなイメージを与える動画、独創的で覚えてもらいやすい動画や閲覧者の視点での動画
(例:Virtual Realityを使用し、あたかも閲覧者が操作しているかのような動画) - 2.自社のリーダーシップを印象付けるなら
- 有識者同志の対談や事例の紹介といった知見、ノウハウの提供に重きを置いた動画
- 3.顧客への具体的なメリットを提示したいなら
- デモンストレーションやHow To Useなど、閲覧者がメリットを自分事化しやすい動画
ターゲットに届ける仕組み作りでも目的が大切
目的に合った満足のいく良い動画ができた!まずは第一関門突破です。けれども、それがきちんとターゲットとした顧客に届いていなければ、残念ながらマーケティングやブランディングに効果的な動画とはなりません。
ターゲットに届けるためのひとつの手法は、幅広く拡散させることです。
ForresterResearchが発表した調査レポート「Branded Video Marketing Success Starts With Customer-Centric Distribution」(2015/10/16 発行)では、動画をどうやって拡散させるかを考えることは、目的に合致した動画を作ることと同じくらい重要であり、予算をかけるべきポイントであると説いています。
このレポートに含まれている米国在住の18歳以上4000人以上を対象とした調査では、ある企業と継続した関係を保つ場合に使用する媒体として37%が企業Webサイトと回答したのに対し、YouTubeのチャネルを訪れるとした人は5%、YouTubeのチャネルを登録すると回答した人はわずか3%に留まります。ただ、動画を公開しただけでは、それほど多くの人に見てもらえないというのが現状なのです。
ただただ面白おかしく動画を作っても、ターゲットと無関係な層に拡散してしまうおそれがあります。ここでも、動画の目的が重要になります。目的ごとにふさわしい拡散のための施策を考える必要があるからです。上記のForrester Researchの調査レポートでは、以下の3つの目的を達成するための、動画の拡散施策のヒントを提示しています。
- 1.新規顧客の獲得
- ターゲットの属する業界で権威ある人に動画出演してもらうといった手法により、自社ではリーチできない層への拡散を促す
- 2.購買促進
- 購買に結びつくコンテンツは何か?を研究する有名な動画キュレーションサイトとパートナー契約を結び、継続したコンテンツの提供と露出を行う
- 3.長期的な関係の構築
- 顧客とダイレクトなチャネル(場)を持つコンテンツの共同制作を行う
動画は今後、「ないよりはあったほうが良いコンテンツ」から「なくてはならないコンテンツ」へと成長する可能性を秘めています。
その場しのぎに動画を用いるのではなく、一連のマーケティング戦略の中で何を目的とした動画を作るのかを明確にし、失敗しない動画作りをしたいですね。
(コンテンツコミュニケーション・ラボ)