メディアに“刺さる”ニュースリリースの書き方

リリースは「タイトルとリード」で8割決まる

2014.03.10

コンテンツマーケティング

  • カスタム出版本部 第一部 プロデューサー 遠山 敏之

リリースは「タイトルとリード」で8割決まる
ニュースリリースは、企業の広報活動にとって重要なツールです。一般に広く伝えると同時に、発表した新製品や新しいサービスがメディアに広く取り上げられれば、売れ行きも変わってくるからです。どんなニュースリリースが、メディアの心に響くのか。数多くのリリースを受け取っていた経験から“刺さる”ニュースリリースの書き方を紹介します。

ニュースリリースは誰のために書くのか?

手元に、ある食品商社のニュースリリースがあります。そのタイトルとリード(冒頭にある要約文)を抜き出したのが下記です。社名やブランド名、リリースの内容は、特定できないように変更していますが、皆さんこのリリースを読んでどう感じますか?

ニュースリリース【A】

ニュースリリース【A】

「ミューズ」なる英国のシリアルブランドが日本に上陸すること、英国では「グルメシリアル」として人気があること、の2点はなんとなく分かりますが、思わず「それで?」とツッコミを入れたくなります。そもそも「グルメシリアル」という言葉も、よく分かりません。

このリリースを受け取ったメディアの人間もおそらく同じ感想を持つことでしょう。最低限の情報は入っているのですが、ニュース価値があるかどうか、リリースを読んだだけでは分からないため、取り上げてよいものか迷ってしまいます。これではメディアには刺さりません。

では、こんな形であればいかがでしょう。

ニュースリリース【B】

ニュースリリース【B】

【B】のリリースはやや誇張しているところはあるのですが、【A】のリリースに比べると、だいぶ雰囲気が変わりますね。実際、トップシェアであることやダイエットと関連があるGI値が低いこと、食物繊維が豊富であることは、もともとのリリースには書いてあるのですが、2枚目の下の方に、ほんの少し書いてあるだけでした。忙しいメディアの人たちは、とてもそこまでは見てくれません。結局「何を言いたいか分からないリリース」として、デスクに積み上げられてしまうのがオチです。

メディアに“刺さる”書き方のキモは、リリースの冒頭を読んでそこで紹介している製品やサービスの特徴をすぐに把握できることです。プレゼンでよく言われるような「結論を先にもってくる」というスタイルですね。そのためには、まず目に入る「タイトル(見出し)」で特徴を端的に表現すること、そしてその後に来るリード(冒頭にある要約文)で、それを分かりやすく説明することです。この2つで、リリースの価値が8割決まると言っても言い過ぎではありません。

リリース原稿に“ニュース価値”を書き添えるコツ

実際に、2つのリリースを詳細に比べてみましょう。

まずタイトル(見出し)ですが、【A】に比べて【B】には情報が多く詰め込まれています。中でもポイントは、「トップブランド」「低GI値」「豊富な食物繊維」の3点です。これらが「ミューズ」の最大の特徴なのですが、【A】では、それがまったく抜け落ちています。【B】は、この3点の要素を見出しに取り込むことで「ミューズ」をストレートにアピールしています。

リード(冒頭にある要約文)も同様です。【A】のリリースでは創業の経緯などに触れていますが、【B】は見出しのポイントであった3点について、さらにかみ砕いて説明しています。特に食物繊維の豊富さについては、他の食品や他社製品と比較したデータで表現することで、説得力を高めていることが分かります。重要な要素ほど、先に書いているわけです。

実は「結論を先にもってきて、重要な事柄から書く」というスタイルは、新聞記事の書き方の基本でもあります。限られた紙面で効率よく情報を詰め込むための知恵がこうしたスタイルを生んだと思うのですが、メディアに刺さるリリースは、この基本を外していません。つまり、メディアに刺さるリリースとは、製品やサービスのPR文ではなく、それを読めばすぐに記事が書ける「解説書」なのです。

ですから、近年、リリース作成に手慣れた大企業の広報が作成したリリースには、「参考」として背景解説を補足しているケースが見られます。政治や芸能、スポーツなど、テレビや新聞で連日報道され、誰もが理解できるようなネタはともかく、企業がリリースで発表する新製品や新サービスなどは、特定の分野や市場での「ニュース」であることがほとんどです。よほどその分野に詳しい人でなければ、ニュース価値があるかどうか判断することは難しいのですが、背景説明があれば解決できます。記事を書きやすくなり、取り上げられる確率がグッと高くなるわけです。

“刺さる”ニュースリリース3カ条

  1. 見出しとリードが勝負のポイント
  2. 重要なことほど先に書け
  3. 記者のための解説書と意識せよ

遠山 敏之

カスタム出版本部 第一部 プロデューサー

1964年新潟県生まれ。飲食店経営専門誌「日経レストラン」の編集経験が長く、編集長を経て、現職。食は好きですが、グルメではなく。お酒も好きですが、鯨飲するのみ。司馬遼太郎、藤沢周平、池波正太郎のファン。実はマンガ好きでもあります。(※著者の肩書きは記事公開時のものです)

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