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サバイバル分析イベントレポート〈NBPCカンファレンス2018キックオフ〉

デジタル時代の経営とブランド戦略

  • 文=平野優介
  • 2018年01月09日
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デジタル時代の経営とブランド戦略

2017年12月6日(水)、日経BPコンサルティング主催「NBPCカンファレンス2018キックオフ デジタル時代の経営とブランド戦略」が、都内で開催された。当日は約300人が来場。カルビー代表取締役会長兼CEOの松本晃氏や伊藤忠商事執行役員広報部長の髙田知幸氏が講演し、来場者は熱心に耳を傾けていた。その様子をダイジェストで紹介する。

トップの率先垂範と覚悟が変革を促す

松本晃

はじめにカルビーの松本晃氏が基調講演で登壇し、「カルビーの経営戦略、そして私とマーケティング」をテーマに、氏が実践する経営戦略やマーケティングを語った。

現在、カルビーは、フリーアドレス制を取り入れたオフィス改革や人事評価の見える化、ダイバーシティの推進を同時並行的に実施する。その中で増収増益を実現し、業界内外から注目を集めている。

講演では、まず経営戦略について「経営とは、全てのステークホルダーを喜ばせること」と定義。その上で、うまくいく経営に欠かせない3要素は、土台となるビジョン、具体的なプラン、そしてリーダーシップにあると指摘した。そして、実際に成功させるには、トップマネジメントのコミットメントと具体的なゴール設定がポイントだと説いた。

NBPCカンファレンス2018キックオフ 会場の様子

事実、松本氏は就任後、社内の分権化を進め、社長室、社用車、接待費を捨てた。組織の簡素化、透明化、ガバナンスの変革。給与制度も人材育成の仕組みも変える。時代に即して悪しき文化を壊し、女性が活躍できる環境や制度を整える。「そうしないと成果は出ない」と松本氏は強調する。

「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし、故に、夢なき者に成功なし」という幕末の学者・吉田松陰の言葉を引用して今後への意気込みを語り、締めくくった。

創業理念「三方よし」実現へのプライド

髙田知幸

続いて伊藤忠商事執行役員広報部長の髙田知幸氏が「伊藤忠商事のブランド・コミュニケーション」と題して講演を行った。

同社では、資生堂CM「一瞬も一生も美しく」のキャッチコピーで有名な国井美果氏を起用し、2014年に「ひとりの商人、無数の使命」というコーポレートメッセージを定めた。このメッセージを軸に、新聞・広告をはじめ、TV番組、CMなどメディアミックスで情報発信している(これらは日経広告賞「大賞」や広告電通賞「最優秀賞」受賞を受賞)。「広報戦略の強みはトップの強いリーダーシップ、そしてトップクリエーターたちとの密な連携。同時に伊藤忠商事最大の経営資源は、人材」と髙田氏は分析。

髙田知幸氏登壇の様子

働き方改革についても言及し、朝型勤務シフトへのインセンティブ付与や育児・介護など個別時間への対応、社員の健康改善を配慮した軽食無料配布、がんに罹患しても治療しながら働ける職場環境の整備、社員一人ひとりがヘルスマネジメントを行えるためのIoTツールの配布、脱スーツデーの実践といった取り組みを紹介。その結果、総合商社初の日本政策投資銀行のDBJ健康経営格付で最高ランクを受賞するなど、改革が着実に実を結びつつあると述べた。

講演最後のミニセッションでは、「改革の実現には、反発もある。どう対処したか」という質問に対し、「トップのコミットメントと覚悟が重要」と回答。伊藤忠商事の理念である創業者初代忠兵衛の「三方よし」に即してより良い商いを目指し、社会に対して“無数の使命”を果たしていくと語った。

総合的な情報戦略が企業価値を最大化する

望月洋介氏 登壇の様子

さらにカンファレンスでは、上述の講演だけでなく「今求められる総合情報戦略~企業価値を最大化させる情報戦とは~」と題し、日経BP総合研究所所長・望月洋介が講演。多様化する企業の情報戦略には、一気通貫のソリューションが求められると提言した。

講演では、まず日経BP総研に寄せられる声を紹介。「世界に通用する良い製品・技術を持っているのに、誰もうちのことを知らない」「リリースを出したのに記者が取材に来ない」「Webサイトを強化したのに誰も見に来ない」「将来の顧客がどこにいるか分からない」。望月は、「こうした状況を打ち破るには、情報の戦略的かつ総合的な発信が必要」と話す。要点は、①情報は伝わらない、②情報発信をもっとうまく、③情報戦をベースに事業を展開する、という3つだ。

まず、「情報は伝わらない」では、情報の伝達にはいくつもの壁が存在し、思い通りには伝わらないことを認識すべきと解説する。例えば、ある業界でだけ通じる専門用語をそのまま用いてニュースリリースを発信しても、その専門性が阻害要因となってしまう。別組織や異業種との対話が始まらず、イノベーションは生まれにくい。

「情報発信をもっとうまく」では、企業を取り巻くステークホルダーのITリテラシーの深化により、情報を発信する側の企業にも高いメディアスキルが求められると指摘。伝える相手に応じて、本質を損わずに表現を変え、異業種にも的確に情報を伝えるスキルがこれからの情報戦略には肝要だとした。

さらに一歩踏み込む形で、「情報戦をベースに事業を展開」に言及。いまや企業のステークホルダー(顧客、パートナー企業、投資家)のみならず、社員のインナーブランディング、リクルーティングなど、およそ企業活動はすべて情報によって結びついていると分析した上で、企業サイト、プレス対応・メディア対応、Web、SNS、ニュースリリース、展示会、メディア活用をトータルで考え、戦略を練り実行していくことが、これからの企業価値の向上に直結すると語った。

日本最大のブランド価値評価調査「ブランド・ジャパン」、
新サービスを発表

吉田健一氏 登壇の様子

この他、「経営企画部門に関する調査結果発表、ブランド・ジャパン新サービス発表」と題し、日経BPコンサルティング ブランドコミュニケーション部長の吉田健一から、同社が実施した経営企画部門に関するブランドへの関心度合いについてのアンケート分析や、ブランド・ジャパン新サービスの告知がなされた(2018年以降始動)。

実施したのは、「企業の経営企画部門の意義と実態の把握」を目的に行ったアンケート調査。調査対象は、年商200億円超で従業員数200超の法人5750社(一部に団体を含む)の「経営企画機能を持つ担当部署」(有効回収数は677件、回収率は11.8%)。

この調査結果から分かったのは次の通り。「コーポレートブランディング」への取り組みを、「今後実施したい」と考える企業が調査ランキング22項目中5位と上位であったこと、また、外部委託している業務の中で「コーポレートブランディング」が4位と、これも上位であったことだ。さらに、経営企画部門の社員がより充実させたいと考える項目には、「コーポレートブランディング」の他に「経営戦略立案の参考情報の収集」や「組織風土・文化の改革」「ステークホルダーに対する調査」が挙がった。

こうした状況を踏まえ、2018年から始動を予定している新サービス「ブランド・ジャパンダッシュボード」の紹介が行われた。新サービスでは、これまでCDで配布していたブランド・ジャパンの報告書を、スマートフォンといったモバイル機器に対応させる。さらに株価やツイート数などの外部データと連携した情報を加え、ブランド価値指標としてさらなるサービスの向上に取り組む。

カンファレンスでは、多くの来場者が真摯な眼差しで講演に耳を傾け、懇親会においても積極的に情報を集めようする姿が目立った。カルビー株式会社の松本晃会長は、「Just Do IT!(やるっきゃない!)」を合言葉の一つに改革を進めてきた。時代は常に多様化し、待ってはくれない。新たな企業コミュニケーションの地平に踏み出す時がすぐそこに来ている。これまでの殻を破ろうとする来場者の姿に、確かな未来の胎動を感じた――。

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  • 2018年01月09日
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