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サバイバル分析続く企業の“ブランディング” (5)

捉えどころのないブランドを可視化する「ブランド・ジャパン」

  • 文=吉田健一/構成=松崎祥悟
  • 2017年11月06日
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続く企業が実践する“ブランディング”について紹介するこの連載。
第4回では、ブランド担当者に身につけていただきたい5つの心得について解説しました。
第5回は、ブランドを可視化することを目的に、日経BPコンサルティングで実施している、企業のブランド評価調査プロジェクト「ブランド・ジャパン」について詳しくお教えします。

日本最大規模のブランド評価調査プロジェクト

「ブランド・ジャパン」とは、国内で使用されている延べ1500ブランドを、年1回、消費者とビジネスパーソン、合わせて5万人以上の人々に評価してもらう、日本最大規模の客観的ブランド評価調査プロジェクトです。ブランド理論やマーケティング、統計学の第一人者による研究者チーム(ブランド・ジャパン企画委員会)と、日経BPコンサルティングが独自に開発した評価手法を用い、中立的な立場で調査を実施しています。

調査は、消費者としての立場から回答を求める「コンシューマー市場(BtoC)編」(調査対象ブランド1000件)と、ビジネスパーソンとしての立場から回答を求める「ビジネス市場(BtoB)編」(同500件)からなり、調査対象としてノミネートされた1500に及ぶ企業、商品、サービス、それぞれのブランド力を、客観的な数値データから多角的に分析しています。企業と商品を同時にノミネートしている点が大きな特徴です。企業ブランドだけではなくて、そこで発生する、販売している、開発している商品ブランドも同時に評価することで、この二者の関係を測ります。これまでの結果を見ると、商品ブランドも上位にきている企業ブランドは強いブランド力を示すことが少なくありません。

企画がスタートしたのは2001年で、まずは実験的にトライしました。そして、改良を加え、2002年からは毎年同じ調査フレームで調査を行っています。「ブランド・ジャパン」は、その名の通り、ブランド理論にのっとったブランド評価調査なので、調査結果を用いて、競合ブランドと比較したり、ブランドイメージの経年変化を追うことで、ブランド戦略に必要不可欠なブランドの現状把握と、今後の予測を行うことが可能です。

「ブランド・ジャパン」では、正確な集計、分析を行うために、独自のブランド・ジャパン企画委員会を編成しています。公正で高度な調査、プロジェクトを目指し、随時委員会を招集、協議を重ね、「ブランド・ジャパン」を運営しています。

委員会の構成メンバーには、ブランド・ジャパン特別顧問としてプロフェット社副会長のデービッド・A・アーカー氏、前ブランド・ジャパン企画委員会委員長に丸の内ブランドフォーラム代表の片平秀貴氏、現ブランド・ジャパン企画委員会委員長に一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授の阿久津聡氏に参画いただいているほか、企画委員に早稲田大学 文学学術院教授の豊田秀樹氏、慶應義塾大学 総合政策学部教授の桑原武夫氏、法政大学 経営学部教授の西川英彦氏といった多くの先生方に協力を仰いでいます。

ノミネート選定の調査でふるいにかける

日本に流通するブランドの評価測定を目的とする「ブランド・ジャパン」では、多くの消費者に記憶されているブランドを調査対象とするために、毎年「ブランド想起調査」を行います。この調査は、「電機・IT(家電、AV、インターネット等)」「金融・不動産(銀行、証券、不動産等)」など計12分野について、「評価している」または「好感を持っている」という肯定的なイメージのあるブランドを、各分野五つまで自由に記入してもらう、純粋想起型、記憶探索型の調査です。

毎年9月に実施されるこの調査により、“ブランドの再生率”を算出し、上位にランキングされたブランドを本調査の「ブランド・ジャパン」にノミネートします。言い換えれば、力の弱いブランドは調査対象になりませんし、一時的なブームであったブランドは残りません。

つまり、世の中にごまんとあるブランドを一度ふるいにかけて、強いブランドだけを選出して調査対象としているのです。

さて、「ブランド・ジャパン」は、名前の通り、ブランドの評価調査なので、本書で言及している「企業ブランド」だけではなく、事業ブランドや商品ブランドも合わせて評価の対象としてノミネートしています。そのため、例えば、日清食品とカップヌードルであるとか、アップルとiPadなど、企業体と代表商品のブランド力の関係性を比較できます。つまり、どの商品ブランドが企業ブランド力に寄与しているかが分かるというものです。

また、ブランド力を算出するにあたって、売上高や広告宣伝費といった財務諸表上のデータは一切加味しません。識者の方の意見も加算ポイントにはなりません。あくまでも消費者の頭の中、マインドの中の占有率を測定する調査です。もう一つ、毎年、調査フレームを変えていないので、経年でブランド力の変化を追えることも特徴です。そのため、その年の際立った世相を反映する結果が出てきます。

ブランド調査というと、何か小難しいことをやっているように思われがちですが、我々は結果を関係者に説明しやすいように、シンプルであることを心がけています。調査では、1ブランドに対し、観測項目(ブランドイメージに関する16または26の選択肢項目)を用意し、この項目について、そうだと思えばチェックを付け、そうだと思わなければチェックをしないということを、インターネット上で延々繰り返していただきます。よって、ブランド対してイエスか、ノーか、白黒はっきりさせる調査ということになります。

この結果、1ブランドに対して16個(BtoC編の場合)、または26個(BtoB編の場合)のイエスと答えた方のパーセンテージ(チェック率)が出ます。これが基礎データです。このデータしかブランド力算出には使用しません。そしてこの基礎データを使い共分散構造分析(SEM)にかけます。毎年その結果については、検討、評価されますが、これまでは潜在因子として四つ(BtoC編)、または五つ(BtoB編)の変数が出現しています。BtoC編では、フレンドリー(親しみ)、コンビニエント(便利さ)、アウトスタンディング(卓越性)、そしてイノベーティブ(革新性)という四つの因子です。

BtoB編では、先見力、人材力、親和力、信用力、活力の五つです。それぞれの因子ごとに偏差値で点数化されます。この因子から、我々がブランド力と呼んでいる「ブランド総合力」という最終指標を算出するというプロセスを踏むことになります。

次回からは、注目企業のブランド戦略や施策の狙いについて、紹介していきます。

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  • 2017年11月06日
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