周年事業セミナーレポート「周年事業セミナー」(2)
神戸市で神戸新聞事業社主催「周年事業セミナー」が開催
- 文=脇山誠司
- 2019年05月14日
- Tweet
2019年4月17日(水)、神戸新聞事業社主催「周年事業セミナー」が、神戸市ハーバーランド神戸情報文化ビルにて開催され、関西圏を地場とした今年周年を迎える企業の担当者が集まりました。セミナーでは、周年事業ラボ所長の雨宮健人が講演。周年事業の進め方やノウハウが事例とともに紹介されました。
2019年は変わる・進化する好機
冒頭、神戸新聞事業社・皆川広一社長は挨拶で、「周年事業はこれまでの活動の見直しを図り、さらなる飛躍となる機会だ。長年培ってきた事業の再評価や信用の獲得に効果的。企業ロイヤリティーの向上につなげることも期待できる」と口火を切りました。
さらに今年は皇位継承、新元号・令和スタートという大きな節目を迎え、今年周年事業を行う企業にとってその有効性が一段と高まる、とも語りました。
周年事業が難しいワケ
続く講演では、周年事業ラボ所長の雨宮が「周年事業で考えるべき4つのフロー」と題し、周年事業をよりスマートに推進するための考え方や実践的なスキルを紹介しました。まず説明したのは、そもそも周年事業を推進する難しさについてでした。「理由は3つ。1つ目は周年事業を任される多くの担当者が初体験であり、ノウハウが蓄積しにくいこと、2つ目はなぜ周年を祝うのか、担当者が認識していないこと、3つ目は社内で協力を得づらく、“上下”に調整が生じること」だと述べました。
また、「多くの周年事業担当者は、“つくる”を目的にしがちだ。だが、これこそが完成間近に社長にひっくり返されたり、とりあえずこなして終了というように大した効果を得られなかったりする結果につながる」と警笛をならします。
周年事業に伴う制作物は、周年史や特設サイト、記念動画、ノベルティグッズなど、企業によってさまざまです。このような各種アウトプットは、あくまで目的達成の1工程として認識すべきです。例えば、多くの企業が取り組む周年史制作については「周年史は後世に残すための資料としての役割から、読みやすさが求められようになった。直近ではプレゼンス訴求ツール、事業承継の拠り所といった、“使うもの”としての役割が課せられるように変化してきた」と言います。その実現のためには、「つくる」の前と後ろに工程を入れた4つのフローで考えるとよいと述べました。
4つのフローで考える
その4つのフローとは「しらべる」「きめる」「つくる」「つたえる」です。「しらべる」とはいわゆる“棚卸し”であり、現時点の社員の意識や自社が目指すべき姿を認識する作業となります。手段としては定量調査やヒアリング調査が該当します。
2つ目の「きめる」は、しらべた結果を収斂していく作業です。集まったテキスト情報をマイニングしてコンセプトを決めたり、訴求対象となるターゲットや発行形態、実施に向けた社内外の体制づくりを設計したりします。
3つ目の「つくる」では、きめたことに沿ってアウトプットをつくります。周年だから周年史と決めつけず、どのような訴求手段なら伝わりやすいか、目的を達成しやすいかを意識します。
最後の「つたえる」は、つくったものをターゲットに届ける作業です。式典などのイベントや各種マスメディアへの広告、あるいは営業先に配布するなど、ターゲットとの接点を創出します。
この4つのフローで考えると、アウトプットに関して準拠すべき価値観が社内で共有されるはずです。つまり、迷ったり土壇場で方向転換せざるを得なくなったり、という事態を回避できるわけです。
情報収集を怠らない
講演の最後には、他社事例は特に参考になるとし、周年事業に関連するセミナーに参加したり、調査報告書や記事に触れたりするのを推奨しました。そのうえで当サイトの「情報を受け取る」に登録するのも手だ、情報収集への注力は周年事業の成功への近道になると改めて伝えました。
周年の迎え方は企業によってさまざまです。1つだけの正解が存在するわけではありません。せっかく迎える周年をチャンスと捉え、より有意義なものとするための新しい視点や気づきを得られるイベントとなりました。
- 2019年05月14日
- Tweet
あわせて読みたい
連載「セミナーレポート」
- (1)「周年事業が会社を変える! 先駆者に学ぶ100年企業への道」を開催
- (2)神戸市で神戸新聞事業社主催「周年事業セミナー」が開催
- (3)日経BP総研主催「周年事業で会社を変える」(2019)が開催
- (4)神奈川県立川崎図書館「社史ができるまで講演会 34回」が開催
- (5)100年の秘訣「変化をつくり出す企業であれ」
- (6)JTBコミュニケーションデザイン主催「ニューノーマル時代の周年事業」が開催
- (7)日本経済新聞社・日経BPコンサルティング共催「NIKKEI周年事業オンラインセミナー」
情報を受け取る
- 本サイトのコラム更新情報や調査データや分析結果を受け取ることができます。登録は無料です。
-
- ・関連セミナー情報
- ・企業研究・サバイバル分析報告
- ・調査データ
- ・周年事業関連情報
- など、豊富な関連情報をメールでお届けします。