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周年事業周年社内報レポート「OLYMPUS FORUM」

100年の秘訣「変化をつくり出す企業であれ」

  • 文=周年事業ラボ
  • 2020年03月17日
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100年の秘訣「変化をつくり出す企業であれ」

1919年創業のオリンパス株式会社は、国産の顕微鏡製造からはじめ、今や医療用内視鏡では世界首位を走る100年企業です。2019年秋の100周年を記念して、オリンパスの社内報「OLYMPUS FORUM 2019年 Autumn」では、様々な100周年企画を掲載。その中の特集「100年の秘訣」において、周年事業ラボ所長の雨宮健人がインタビューを受けました。変化をつくり出し続けるポイントを雨宮が語ったインタビュー記事を掲載します。

オリンパス社内報「OLYMPUS FORUM 2019年 Autumn」の表紙(左)は贈答品をイメージ。右は特集誌面
オリンパス社内報「OLYMPUS FORUM 2019年 Autumn」の表紙(左)は贈答品をイメージ。
右は特集誌面

特集誌面のダウンロードはこちらから

(以下、転載)

変化をつくり出す企業であれ

100年以上存続する企業の生命力とは何か? そこに共通項はあるのか? 長寿企業に着目した企業研究を発信する、日経BPコンサルティング運営の情報サイト「周年事業ラボ」。特集テーマ「100年の秘訣」を探るべく、所長・雨宮健人さんにお話を伺いました。

― 100年企業は変化を恐れない

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周年事業ラボの調査結果。変化への対応力が重要

私たちが運営している情報サイト「周年事業ラボ」では100年企業に関するさまざまな調査データを掲載しています。その一つが「あなたの企業にとって組織の生命力維持に大事なものは何か」という調査。「課題解決ができる」「価値を創造できる」など8つの項目を設けてさまざまな企業に回答してもらいました(図1)。ご覧のとおり、「変化に対応できる」の項目が最も高く、自組織の強さよりも、周りにどう柔軟に対応するかが重視されているのかがわかります。

さらにこの結果を創業年数で分析すると、「変化に対応できる」という項目を選んだ割合は、100年以上の企業が最も多かったのです。「変化への対応力」が長生きの秘訣だと考えられる一つの結果です。

一方で、「あなたの企業の強みと考えられるものは何か」というアンケート(図2)では、100年企業は「人材力」の選択率があまり高くありません。そのほかには、創業年数が長い企業ほど社内恋愛も多いというユニークなデータもあります。社内結婚は職場環境を如実に反映しますからね。殺伐とした環境だと、そういう雰囲気にはなりませんよね(笑)。

― ズバリ、オリンパスの強みとは?!

オリンパスは変化に対応してきただけではなく、変化そのものをつくり出してきた印象があります。技術力を根底にしたイノベーションによって、市場を創出してきた会社ですよね。例えば内視鏡。この製品によって、それまではみえなかった体のなかがみえるようになりました。医療に早期発見・早期治療というイノベーションを起こしました。さらには、「治療は外科が行う」という定説をも変えました。そのほかにも産業自体の構造を変化させる製品を世に送り出し、幾度もマーケットをつくり出してきた会社だといえます。

2011年の不祥事によってレピュテーションリスク(評判リスク)に脅かされた記憶はありますが、「オリンパスは社会にとって必要」と認められたから存続しているのだと思います。

― 自分の会社を誇りに思うこと

「これから先も長く繁栄していくと思う企業名」ですか? 難しい質問ですね(笑)。漠然としたいい方になりますが、「いい企業」でしょうね。それも、そこで働く従業員が「いい企業」だと感じている会社です。

私たちは「ES( 従業員満足)が上がればCS(顧客満足)が上がる」と考えています。従業員のモチベーションが上がっている会社は、プロ意識も高く、顧客満足度も上昇します。顧客満足度が上がると外部からの評価も上がり、また従業員のモチベーションにつながる。ですから、「会社を誇りに思うこと」は非常に大切なのです。そのためには「誇りに思える会社」にする企業努力も不可欠です。

ちなみに、冊子で社内報を発行している企業は、社員のロイヤルティー(愛社精神)が高く、両者には相関関係が見られます。例えば社内報を家に持ち帰ると回覧されます。社内報を読んだ家族から「いい会社に勤めているね」と声をかけてもらうことはありませんか? 第三者から「いい会社」と認められるのは、モチベーションアップに効果てきめん。学生の指標である就職ランキングが上がってうれしいのは、実はその会社に勤めている社員だったりします。

そうやってモチベーションを上げる施策に対して、予算やリソースをきちんと割いている会社は、内からも外からも「いい会社だ」という評価をきちんと得ていくでしょう。

― 経営のビジョンには夢を盛り込む

「周年事業ラボ」が配信する記事のなかに、「これからは欧米のように経営者がビジョンを示すことが必要になる」という内容のものがあります。長生き企業の秘訣とはまた別の話になりますが、少しだけ。ビジョンというと、お金のことしかいわない日本の経営者はたくさんいます。しかし欧米の企業では「ホラ吹き⁉️」と思われるぐらい、大きな夢を経営者が語ります。

人間というのは、細かいお金や数字による成長率よりも、「夢」を語られたほうが、モチベーションが上がるんです。コストカットのことばかりいわれても、モチベーションは上がりません(笑)。ビジョンに必要なのは「自分たちのやっている仕事が、社会貢献につながっている」「社会の役に立っている」と実感できるような内容です。トップからはそういうビジョンが示されると良いと思います。

オリンパスは社会貢献を体現してきたからこそ、社会から必要とされ、長生きを求められているのだと思います。これからも、変化に対応するだけにとどまらない“変化をつくり出す”企業でいてください。

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  • 2020年03月17日
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