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周年事業企業ブランディングのための社史・周年史の教科書(6)

発行目的にしたがい、ページ数やデザインを決める

  • 文=大塚 葉(日経BP社カスタム事業本部)
  • 2017年07月28日
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発行目的にしたがい、ページ数やデザインを決める

前回から、社史・周年史の完成までのプロセスを紹介しています。まずは外部の編集制作会社などにパートナーとして協力してもらい、編集体制を整えることをお話ししました。今回は「社史・周年史制作用チェックシート」を埋めながら、発行目的や読者対象を明確にする方法を解説します。編集、制作に関する専門用語は、太字にして文末で説明します。

社史・周年史制作用チェックシート
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社史・周年史制作用チェックシート

社史委員会のメンバーが「社史・周年史制作用チェックシート」に書き込みを始めると、「この内容を掲載するには、ページ数はどのくらいがちょうどいいか」「この読者にアピールするには、どんなデザインにしたらよいだろう」といった疑問が出てくると思います。

このようなときは、パートナー企業の編集チームと一緒に検討しましょう。読者対象は誰で、どんなメッセージを届けたいのか。社史委員会のニーズや発行目的を伝えることで、編集チームはそれにあわせた企画やデザインを提案します。

掲載内容とページ数を検討する

発行目的によって、掲載内容やページ数が決まります。編集チームは社史委員会と話し合いながら、総ページ数と章構成の提案をします。例えば「第1章は会社の沿革を20ページ、第2章は社長と社員の座談会を10ページ」というように、目次をつくっていくのです。

このとき編集チームは、台割を作成します。台割とは冊子や書籍をつくるときの設計図のようなもので、第1章が何ページから何ページまで、といったように総ページの目次を表の形にしたものです。ページ数はコストにも関わるので、社史委員会が最初から「100ページくらいの冊子にしたい」と考えていることもあります。この場合は、そのページ数に収まるように掲載内容を盛り込んだ台割をつくります。

なおページ数によっての幅が変わり、見た目が違ってきます。編集チームは何種類かの束見本をつくって、社史委員会とともにどれがいいかを検討します。

デザインを検討する

デザインによって、出来上がりイメージはまったく違ってきます。ここでも、発行目的や読者を振り返りながら決めていきます。例えば、インナーブランディングが目的で若手社員にアピールするならポップで斬新なデザイン、年配の方の多い取引先へ配布するなら落ち着いたデザインなどを検討します。編集チームのこれまでの制作実績を参考にしながら、決めましょう。

編集チームは様々なニーズにこたえられるよう、多くのデザイナーのネットワークを持っているので、企画内容にあったデザイナーを選んでアサインします。

印刷部数を決め、取材準備を始める

印刷部数も、発行目的や読者ターゲットによって異なります。社員や関係者に配布するなら、社員数や取引社数などから印刷部数を割り出します。アウターブランディングが目的で、多くの読者に訴求する場合は、部数を増やすことも考えます。書籍や絵本の形にして市販する方法もあります。編集チームは、こうした提案もあわせて行います。印刷部数もコストに関わるので、よく話し合いながら決めていきます。

チェックシートへの記入が終わると、社史・周年史の形が見えてきます。次に企画に沿った取材対象者を選定し、取材準備に入ります。編集チームは、専門家や社外の有識者などの外部ネットワークを多く持っていますので、今回の企画に沿った取材対象者を絞っていきます。

Point

① 社史・周年史のチェックシートに記入してイメージをつかむ

② 発行目的を編集チームに伝え、企画内容を一緒に検討する

③ 外部の取材先は編集チームのネットワークを活用する

覚えておきたい編集・制作用語集

台割(だいわり)
書籍や雑誌で、どのページにどの企画を入れるかを示した一覧表のこと。印刷機械1台が一度に印刷するページ数で区切った書式でつくる。印刷機械(台)の割り振りを決めることから「台割」といわれる。総ページにおけるそれぞれの記事の分量が一目で分かり、制作の進行管理にも役立つので、印刷物の制作の際には台割を作成するのが望ましい。

束 (つか)
書籍や冊子の背の幅のこと。デザインや印刷に入る前に、実際に使う用紙で「束見本(つかみほん)」をつくることが多い。同じページ数でも、厚い用紙を使えば束が広くなる。特に書籍や冊子の背に文字をデザインしたり、カバーをかけたりする場合は、束見本をつくることが望まれる。

プロフィール

大塚 葉

日経BP社 カスタム企画部 担当部長
雙葉高校、早稲田大学法学部卒。技術評論社でPC入門誌「パソコン倶楽部」、日本初の女性向けPC誌「パソコンスタイルブックforWomen」を編集長として創刊。日経BP社では「日経PCビギナーズ」編集長、発行人を務める。「日経ビジネス」「日経WOMAN」「日経ビジネスアソシエ」のWebサイトのプロデューサーとして、深澤真紀氏、白河桃子氏などのヒット連載を企画。初心者向けIT、働く女性、仕事術についての執筆・講演多数。著書に『やりたい仕事で豊かに暮らす法』(WAVE出版)、『ミリオネーゼのコミュニケーション術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

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  • 2017年07月28日
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