【生成AI活用調査】ビジネスの現場のリアルと本音(2)

20代の生成AI活用最前線、デジタルネイティブ世代が求める「時短」と「正確性」

2026.02.12

マーケティングリサーチ

  • コンテンツ本部 ソリューション1部 太田 美保

急速に進化する生成AIは、ビジネスシーンの情報収集の在り方を根本から変えつつあります。本シリーズでは、日経BPコンサルティングが実施した大規模調査を基に、ビジネスパーソンの生成AI活用実態を深掘りします。第1回では生成AIの浸透度と信頼性の課題、利用者の「裏取り」の実態を解説しました。

本記事では、新技術への感度が特に高い「デジタルネイティブ世代」である20代のビジネスパーソンに焦点を当て、彼らが仕事での情報収集において生成AIをどのように捉え、活用し、どのような課題に直面しているのかをレビューします。

<調査概要>
2025年11月14日~11月19日に実施。日本国内の企業に勤務するビジネスパーソン20歳代~60歳代の5世代(各200人)計1000人から回答を得た。
調査=日経BPコンサルティング 文=太田 美保

生成AI活用調査(2025年11月)で判明した20代回答者の傾向

  • 20代は上の世代よりも生成AIを情報収集に積極的に活用している
  • 20代は生成AIに対して「時短」「要約」「作成」といったメリットを感じている
  • 「信頼性」「正確性」「検索体験における押しつけがましさ」に対しては不満を抱いている

デジタルネイティブ世代の生成AI活用状況

調査結果では、20代は上の世代よりも生成AIを情報収集に積極的に活用していることが分かりました。

仕事において情報収集をする際の生成AI全般(※)の利用度
(情報収集行動全体を100%とした場合)

※ChatGPTなどの対話型生成AIツール、Googleの生成AI機能など

一方で、非活用層あるいは活用に課題を感じている人もおり、導入や利用の壁となっています。「検索エンジンの検索結果の上部に生成AIによる回答が表示されるようになったのが迷惑」(20代の自由回答)といった声に代表されるように、自身の情報収集スタイルとのミスマッチや、生成AIが提供する情報の質の不安定さから、積極活用に至っていない状況がうかがえます。

この背景には、個人のデジタルリテラシーに加え、職場の環境や業務内容、生成AIの信頼性に対する価値観が大きく影響していると考えられます。デジタルネイティブ世代といえども、全員が同じように生成AIを活用しているわけではないという点は、企業における生成AI導入推進の重要なヒントとなるでしょう。

20代が生成AIに求める「時短」「要約」「作成」

多くの20代のビジネスパーソンは、生成AIが持つ潜在的なメリットに強い期待を寄せ、公式サイトで内容を確認したり、プロンプトを何回か変えて確認したり、複数の生成AI機能を併用して情報の正確性を確かめるなどの工夫をしながら、その利便性を実感しています。

20代が生成AIから得た情報の正確性を確認する方法

特に「新しい言葉・事柄の意味・概要を知りたい」(19.9%)「製品・サービスの評価・良し悪しを確認したい」(11.5%)「業界、製品・サービスの動向」(10.3%)「企業の正式な開示情報」(8.3%)については、「生成AIからの情報だけで完結できる」と感じる割合が高い特徴があります。

20代の仕事における情報収集で「生成AIの情報だけで完結できる」と思うもの

20代にとって、生成AIは情報収集の手軽さとスピードに大きな魅力を持っています。20代の自由回答から生成AI活用の実態を見てみましょう。

「手軽」(20代の自由回答)に利用でき、「時短で情報処理したい」(同)という強いニーズは、生成AIの高速処理能力への期待とともに、情報収集の効率化を求める彼らの願望の表れです。「膨大な量の情報でも短時間で入手したい」(同)という回答は、この傾向を鮮明に示しています。

複雑な情報を要約、コンテンツ作成も

現代のビジネス環境で日々飛び交う膨大な情報に対し、20代は生成AIを理解補助ツールとして活用しています。「専門用語がどんどん出てくる職場なので生成AIに要約してもらえるのが助かっています」(20代の自由回答)という回答は、難解な内容を短時間で消化する上で、生成AIの要約機能が非常に有効だという点を示しています。

生成AIは、単なる情報検索や要約に留まらず、より創造的なタスクにおいても20代の業務をアシストしています。「ChatGPTで、イラストなどを作成」(同)や「言葉だけで画像が生成できる」(同)といった回答は、デザインスキルを持たない利用者が手軽にコンテンツ作成を行う場面でも活用できる可能性を示唆しています。また、「メール作成」(同)のような定型業務の効率化にも貢献し、その多岐にわたる応用力への期待がうかがえます。

20代の裏取りは「公式サイト」、リアル回帰の意見も

生成AIのメリットは大きいものの、入手した情報の「信頼性」と「正確性」への疑問が残ります。生成AIから得た情報の正確性をどのように確認しているかという質問に対し、20代ビジネスパーソンは「記載の企業・団体・製品などの公式サイトを再検索」という回答が40%、「生成AIではない情報提供サイトなどで確認」が33.6%でした。20代ビジネスパーソンにとってWebサイトでの確認行動は不可欠なプロセスです。

Webサイトでの確認に加えて、リアルなコミュニケーションを重視している様子もうかがえました。「分からないことはまず人に聞く」(20代の自由回答)、「手っ取り早く上司に尋ねる」(同)、「先輩の意見を大事にしている」(同)、「業種独特の単語や言い回しなどはやはり人間に直接聞かないと伝わらない」(同)といった回答は、生成AIが現時点では捉えきれない、より深いレベルのコミュニケーションを求めている表れと言えるでしょう。

20代がぶつかる質問力の壁

  • 「ニュアンスが伝わらない時がある」
  • 「調べ方が難しい」
  • 「まず分からないことが分からない時がある」
  • 「検索する能力に、収集できる情報の質が左右される」
  • 「なかなかいい回答が得られない」

20代のビジネスパーソンは、生成AIの利便性を享受しながらも、情報の信頼性などの課題に鋭敏に向き合っています。AIが苦手とする部分や、より確実性を求める場面では、人間同士のコミュニケーションや経験値の重要性が再認識されている様子もうかがえました。

生成AIが真の情報収集の主役となる未来へ向けて、利用側のスキル・リテラシー向上、そして人間との最適な協働の在り方が今後ますます重要となるでしょう。

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連載:【生成AI活用調査】ビジネスの現場のリアルと本音

コンテンツ本部 ソリューション1部
太田(おおた) 美保(みほ)

編集者、広報・情報学修士。これまで広告会社やマーケティング・コンサルティング会社にて、主にBtoB企業のマーケティングやブランディング、インターナル・コミュニケーション支援のためのプランニングや編集・制作ディレクションを担当。

※肩書きは記事公開時点のものです。