【生成AI活用調査】ビジネスの現場のリアルと本音(1)
生成AIが変えるビジネス情報収集の未来――約半数が生成AIを活用も「賢く疑う」
本記事では、その調査結果の全体像をレビューし、ビジネスの現場における生成AI活用の現在地、情報収集の変化と課題、そして未来への展望について解説します。
<調査概要>
2025年11月14日~11月19日に実施。日本国内の企業に勤務するビジネスパーソン20歳代~60歳代の5世代(各200人)計1000人から回答を得た。
調査=日経BPコンサルティング 文=太田 美保
生成AI活用調査(2025年11月)で判明した生成AI浸透度
- ビジネスパーソンの約半数が既に生成AIを仕事で活用している
- 情報収集の主流はまだ従来型の検索エンジン
- 生成AIは着実にその利用を広げ、2年後には利用率の倍増が予測されている
- 信頼性や検証コストが向き合うべき重要な課題
ビジネスの現場での生成AI活用の現在地と未来への兆し
仕事における情報収集において、生成AIはどの程度使われているのでしょうか。本調査によると、「生成AI全般」を全く利用していないと回答したビジネスパーソンは全体の34.7%でした。その一方で、何らかの形で生成AIを利用している層は47.1%に上り、既に多くのビジネスパーソンが業務に生成AIを取り入れている状況が見て取れます。
情報収集で「よく使う手段」を尋ねたところ、最も回答が多かったのは従来検索(生成AI以外の検索エンジン)で45.5%でした。これに対し、生成AIツール(ChatGPTなど)は11.6%、検索エンジンの生成AI機能は6.9%と、2025年11月時点では従来型検索が主流です。しかし、過去を振り返ると、3年前の生成AI利用率はわずか3.0%でした。現在はその利用が着実に増加し、情報収集の新たな選択肢として急速に存在感を高めていることが見て取れます。
さらに興味深いのは、生成AIの将来的な利用意向です。現在の平均利用率が19.0%であるのに対し、2年後の利用意向の予測平均は36.5%で、倍増に近い伸びが見込まれています。2年後には生成AIの利用率が50%以上になると回答した層も、現在の12.8%から22.2%へと増加しました。
仕事において情報収集をする際に、生成AI全般(※)を利用する機会
~情報収集行動全体を100%とした場合(現在と2年後)
※ChatGPTなどの対話型生成AIツール、Googleの生成AI機能など
ビジネスパーソンが生成AIの潜在能力を高く評価しており、将来的に情報収集の主役が生成AIへ交代する可能性を示唆する結果と言えるでしょう。
「まずAIに聞く」が情報探索の新たな習慣へ
生成AIを業務に取り入れているビジネスパーソンにとって、生成AIは情報探索の第一想起ツールとして位置付けられ、「分からないことが出て来たら、まずAIに聞く」という行動が定着しつつあります。彼らは生成AIを情報収集の「効率化」と「時短」に欠かせない強力なパートナーとして活用しています。
特に生成AIが情報収集を完結できると感じる場面としては、「手早く概要を把握したい」(27.7%)、「何を調べれば良いか分からない」(19.4%)、「新しい言葉・事柄の意味・概要を知りたい」(17.9%)といった“入り口”のニーズで高く評価されています。検索キーワードが固まっていない状態でも対話で前提を補い、短時間で概要を把握できる点が、生成AIの強みとして認識されています。
生成AIの現利用者に限って分析すると、何らかの情報収集を生成AIで完結できると答えた回答者が75.2%に上り、概要把握や新しい言葉・事柄の把握では、情報収集を生成AIで完結している利用者の姿が浮かび上がってきました。今後、生成AIの活用度が上がるほど、情報収集を生成AIで完結する割合も高くなる可能性があります。
何らかの情報収集を生成AIで完結できると思う割合
※「仕事における生成AIでの情報収集者(情報収集率が10%未満(0%を除く)~100%とした回答者)」
「賢く疑う」 生成AIの信頼性と検証コストの壁
生成AIが確かに便利である一方で、その回答をうのみにすることはできません。生成AIを仕事で活用するビジネスパーソンは、その限界を心得ており、周到な「探索+裏取り」の仕組みを確立している様子が本調査で明らかになりました。
8割超の利用者が実践する「裏取り行動」
生成AIが提示する情報の信頼性には課題が残ります。生成AIから得た情報の信頼度は、「信頼している」(非常に信頼している2.2%+ある程度信頼している30.0%)が32.2%にとどまり、「どちらとも言えない」が41.7%で最多でした。ただし、生成AIの利用者に限ると、「信頼している」は53.3%に上昇します。
しかし、この信頼は「裏取り」を前提としています。生成AI利用者の実に84.3%が、何らかの形で生成AIが提示した情報の正確性を確認しているという事実があります。これは、生成AIの利便性を享受しながらも、その情報を盲信せず、常に検証する姿勢が強く根付いていることを示しています。
具体的な「裏取り術」としては、「生成AI以外のサイトで確認」(39.1%)、「公式サイトを再検索」(32.1%)、「リンク元を確認」(27.0%)、「プロンプトを変えて再確認」(23.6%)などが上位を占めます。これは、生成AIを情報の「ショートカットUI(情報の入り口)」として活用し、最終的に信頼性の高い一次情報源へと回帰する、賢明な情報収集プロセスが確立されている状況を示しています。
生成AIから得た情報の正確性の確認方法
自由回答でも「正確な情報源から収集して伝えてほしい」「真偽が分かりにくい」「専門領域では引用元の裏取りが必須」「偽情報がないか心配」といった声が多く、ハルシネーションへの不安や、情報リテラシーの必要性が強く意識されています。公共機関などからは「秘密保持が大事で簡単に調べられない」といった声もあり、セキュリティーとガイドライン整備の重要性も示唆されます。
「時短」への期待と「検証コスト」のジレンマ
生成AIは要約・整理で効率化が期待される一方、「情報が多すぎて精査が必要」「精査に時間がかかる」「期待通りの回答が出ず質問を繰り返す」といった負担も生んでいます。徹底した「裏取り」は、時として新たな負担となり、生成AI本来の魅力である「時短」と矛盾するジレンマを生んでいます。自由回答からは「生成AIを100%信用できず、検証や確認作業が必要な場合があるのが面倒」といった声も聞かれ、検証コストがボトルネックとなっている現状を示唆しています。
生成AIの回答内容のばらつき、精度・専門性の不足、情報の鮮度不足といった課題も、信頼性を確保するために「裏取り」が不可欠となる主要な要因です。生成AIは有効な「たたき台」を提供する一方で、その生成物の「最終確認」は人間の責任であるという認識が広がっています。
生成AI利用時に直面する4つの課題と、リアルな声の例
- 回答の再現性
「同じ質問をしても、日によって回答内容が変わる」 - 精度の限界
「数値計算や単位の換算に誤りが生じることがある」 - 専門性の限界
「専門分野の回答が不正確」「高度に専門的な内容の検索が困難」 - 情報の鮮度
「古い情報が提示されることがある」「最新情報への対応が不十分」
生成AI時代に求められるWebサイトの役割
生成AI利用者の情報検証先として「公式サイトで再検索」が32.1%に上ることから、企業・製品Webサイトが「最終的に当たる場所」として機能していることが分かります。
仕事で情報収集する上で、企業や製品等のWebサイトに求めることは「正確な情報」「分かりやすい説明」「知りたい情報がすぐ見つかる」「情報の信頼性向上」「スマートフォンでも見やすく、使いやすくしてほしい」「情報は多すぎずシンプルに」「常に最新情報に更新されている状態に」が上位です。
仕事で情報収集する上で、企業や製品等のWebサイトに求めること
生成AI時代においてWebサイトは、単に正しい情報を載せるだけでなく、「検証の動線」として短時間で一次情報にたどり着ける設計、根拠(出所)と更新性の明示によって、“裏取りコスト”を下げる役割がより強まると考えられます。
一方で、仕事の情報を収集する上でのWebサイトの現状評価は、「ポイントの簡潔・明快な記載」「文章表現の分かりやすさ」「情報の信頼性」「情報の出所の記載」「必要な情報の見つけやすさ」のいずれの項目でも「どちらとも言えない」が最大で、中でも一番大きい値が「ポイントの簡潔・明快な記載」で60.2%でした。情報の検証先としての信頼性は相対的に評価が高いものの、“信頼できるはずの場所”が、体験としては決め手に欠けている可能性が示唆されます。
また、生成AIの利用が0%の回答者と50%の利用者を比べると、10ポイント以上の差があったのは以下のコンテンツニーズでした。生成AIの活用がビジネスで浸透していくほど、Webサイトに対するこういったニーズが高まる可能性があります。
- 情報の信頼性を高めてほしい
- 情報の出所を示してほしい
- 常に最新情報に更新されている状態にしてほしい
- スマートフォンでも見やすく、使いやすくしてほしい
- イラストや図解を増やしてほしい
- 導入事例を増やしてほしい
第2回は、生成AI活用の未来を占う20代の回答結果を解説します。
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コンテンツ本部 ソリューション1部
太田 美保
編集者、広報・情報学修士。これまで広告会社やマーケティング・コンサルティング会社にて、主にBtoB企業のマーケティングやブランディング、インターナル・コミュニケーション支援のためのプランニングや編集・制作ディレクションを担当。
※肩書きは記事公開時点のものです。
