NEC × 日経BPコンサルティング特別対談

デザインを経営に組み込み 社会価値を持続的に創造する

  • 吉田健一

    ブランド本部 本部長 兼 ブランドコミュニケーション部長 兼 大学ブランド・デザインセンター長 兼 周年事業・デザインセンター長 吉田 健一

日本電気株式会社(NEC)で初のチーフデザインオフィサーを務める勝沼潤氏は、経営の中枢にブランディング&メッセージング機能を組み込んだ立役者です。「Purposeに掲げる持続可能な社会の実現に向けて、デザインが果たす役割は大きい」と話す勝沼氏に、NECの企業サイト調査を支援した日経BPコンサルティングの吉田健一が、経営や企業におけるブランドコミュニケーションやデザインの役割などについて話を伺いました。

経営戦略とブランド戦略が
一体となり、効果的に発信

吉田 NECは経営の中枢に「ブランディング」の機能を持たれていますね。

NEC コーポレートエグゼクティブ チーフデザインオフィサー 勝沼 潤氏

勝沼 ブランディング&メッセージング機能を経営企画部門の中に設置しました。私自身は、大手メーカー勤務や自身のクリエーティブスタジオを経営しながら、プロダクトデザインを中心にコミュニケーションやブランディングなど幅広い領域のデザイン活動を行ってきました。企業や組織によってブランディングの考え方は異なりますが、120年以上の歴史を持ち、社会価値創造企業として、一般生活者には見えにくい多彩な事業を展開するNECでは、製品・サービスを通じたブランディングだけでなく、全てのタッチポイントをブランディングの機会と捉え、一貫したブランディング戦略を実行していく必要があると考えたのです。

吉田 NECには2020年に入社され、23年4月に貴社初のチーフデザインオフィサーに就任されました。

勝沼 入社後、まず社内におけるデザインの価値を定義しました。22年にはコーポレートブランディング部を立ち上げ、コーポレートコミュニケーション部、コーポレートデザイン部の3部門を経営企画部門に設置し、経営戦略と一体となったブランディング&メッセージングを実行できる体制を構築しました。23年4月から、NEC初のチーフデザインオフィサーとして、これらの活動を統括しています。

タッチポイントに応じて
ステークホルダーへの発信をデザイン

吉田 デザインを経営企画機能の一つに位置付けて、どう変化しましたか。

勝沼 幅広い企業活動を、経営戦略とアラインして行えるようになりました。例えば我が社の森田隆之CEOが発信する内容は非常に重要で、ムービーなどのビジュアル展開をはじめとしたコミュニケーションデザインも我々が行っています。メッセージをどう捉えるかはターゲットによって異なるので、一貫性だけでなく、ステークホルダーごとにユニークネスが必要で、そのバランスにも気を付けています。ほかにも投資家に向けたIR活動や企業サイト、SNS(交流サイト)、さらには採用活動におけるブランディングも行っています。

また、社内の文化を醸成するインナーブランディングも積極的に推進し、NECグループ共通の価値観で、かつ行動の原点である「NEC Way」を浸透させて強じんな組織をつくっていくことにも貢献しています。

生活者目線でのVISION策定も
デザインが果たす大きな役割

日経BPコンサルティング ブランド本部副本部長 吉田 健一

吉田 「2025中期経営計画」で策定した2030年のビジョンには、どのように関わりましたか。

勝沼 2025中計では「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指します」というPurposeを起点に、デジタル技術によって「環境」「社会」「暮らし」の3つのレイヤーで目指すべき未来の社会像を「NEC 2030VISION」として描きました。生活者を中心に考えることは、デザインのアプローチそのものです。

現在は「NEC 2030VISION」で示した社会像の実現に向けて、世界の多様な機関や団体、オピニオンリーダーと共同で実効性の高い提言を行う、ソートリーダーシップ活動を強化しています。企業として、信頼を築くためのコミュニケーションの一環として、大切な使命の一つと考えています。

NEC 2030VISION

NEC 2030VISION

生活者を取りまく場を「環境」「社会」「暮らし」の3つのレイヤーで捉え、デジタル技術を通じて目指すべき未来の社会像を提示した NEC 2030VISIONについてはこちら

吉田 コミュニケーションをデザインし、全体戦略を描くうえでは、情報発信基盤である企業サイトの「現在地」を把握することも欠かせません。複数のステークホルダーを対象とした御社の企業サイトのユーザビリティー評価を、日経BPコンサルティングが実施しました。

勝沼 我々が発信した情報をユーザーがどのように受け止めたかは、ブランディングにおいて根幹をなす要素です。現在の市場やお客様、社員だけでなく、将来そうした立場になるステークホルダーも含めて、どう見られているか、その現在地を知るうえで、御社による企業サイトの調査・分析はとても有用でした。

デジタルを活用し、止まらない社会を創り続けることがNECの果たすべき役割です。そのためにデザインのチカラを活用し、人とテクノロジーをつなぎ、世の中になくてはならない企業であり続けたいと思います。

 ウェブサイトの効果検証と改善の調査を支援 

日経BPコンサルティングは「COMMUNICATION&_」のスローガンのもと、「コミュニケーションのデザインで企業価値を正しく伝える」事業を展開しています。ウェブサイトは情報発信のメディアであると同時に、様々なステークホルダーとのコミュニケーション手段です。効果的なメッセージが発信できているか、情報の受け手はどう認識したかなど、調査を通じてウェブコミュニケーションの現況を明らかにし、改善施策の実行まで伴走します。

Webサイト戦略策定

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※役職は対談時点のものです。

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ブランド本部 本部長 兼 ブランドコミュニケーション部長
兼 大学ブランド・デザインセンター長
兼 周年事業・デザインセンター長
吉田 健一

IT企業を経て、日経BP社に入社。日経BPコンサルティングに出向後、2001年より始まった日本最大のブランド価値評価調査「ブランド・ジャパン」ではプロジェクト初期から携わり、2004年からプロジェクト・マネージャー。2020年から現職。企業や大学のブランディングに関わるコンサルティング業務に従事する傍ら、各種メディアへの記事執筆、セミナー講師などを務める。著書に「リアル企業ブランド論」「リアル大学ブランドデザイン論」(共に弊社刊)がある。

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