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コロナ対応が変化。100年企業はブランディング強化へ

  • 文=池田梨子
  • 2020年11月19日
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コロナ対応が変化。100年企業はブランディング強化へ

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、企業活動は大きく変化している。日経BPコンサルティングでは、2020年4月から7月にかけて、ビジネスパーソンを対象に、業務への影響と課題、対応を尋ねる調査を実施した(※)。3回の調査結果から、コロナ禍の企業の取り組みが変化していること、また、70年以上の企業ではその傾向が顕著であることが明らかになった。

※「新型コロナウイルスによる業務への影響と、その対応に関する調査(全3回)」
対象:国内の企業・組織に所属するビジネスパーソン

  • 第1回調査
    実施日:2020年4月21日~27日
    母数:有効回答数1556件
  • 第2回調査
    実施日:2020年6月3日~7日
    母数:有効回答数1443件
  • 第3回調査
    実施日:2020年7月1日~5日
    母数:有効回答数2051件

創業年数70年以上の企業で「業務フローや内容の見直し」が一層進展

新型コロナウイルス感染拡大の収束後に向けた対応策として、勤務先が実施していることを尋ねたところ、3回の調査全てで「業務内容やフローの見直し」の実施率が最も高かった(図1)。実施率は回を追うごとに上昇し、7月に実施した第3回では全体の33.8%を占めた。また、「新規事業の開発」「新規ソリューションの開発」「コロナ禍の社会課題への対応によるブランディング」の実施率が徐々に上昇しており、いずれも第3回の調査では1割を超えた。

図1 新型コロナ調査「コロナが収束した後の対応に向けて、現在行っている施策」

図1 新型コロナ調査「コロナ対策として勤務先が現在実施していること」

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「業務内容やフローの見直し」の実施状況を勤務先の創業年数別に見ると、70年以上の企業は、70年未満の企業よりも実施率が高く、第1回から第3回にかけての伸び率も高い(図2)。20年未満の企業の実施率はほぼ横ばいで推移したのに対して、100年以上の企業では、第1回から第3回で10ポイント以上上昇した。

図2 新型コロナ調査「業務内容やフローの見直し 実施率」

図2 新型コロナ調査「テレワーク制度実施における課題」

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100年企業は新サービス提供、サービス拡充の実施率が上昇

対応策の中で実施率が上昇した「新規事業の開発」「新規ソリューションの開発」に関連して、「新商品・サービスの提供や、既存商品・サービスの拡充・増産」を実施、または計画しているかについて、関連業務を行う担当者に尋ねたところ、こちらも回を追うごとに実施率の割合が上昇している(図3)。創業年数にかかわらず取り組みが進んでいるのが伺える。特に100年以上の企業では「既に実施」「計画あり」の割合が全体の4割を占めた。

図3 新型コロナ調査
「社会情勢の変化をきっかけに、新商品・サービスの提供や、既存商品・サービスの拡充・増産を実施、または計画」

図3 新型コロナ調査「コロナ対応として実施したこと」

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また、3回の調査を比較して、「業務内容やフローの見直し」に次いで実施率の上昇幅が大きかったのが「コロナ禍の社会課題への対応によるブランディング」だった。第1回の実施率は5.8%だったが、第3回では11.1%と1割を超えた(図4)。創業年数別に見ると70年以上の実施率が高い傾向が見られ、100年以上の企業では第1回(6.2%)から第3回(16.3%)で10ポイント以上伸びた。

図4 新型コロナ調査「コロナ禍の社会課題への対応によるブランディング実施率」

図4 新型コロナ調査「コロナが収束した後の対応に向けて、現在行っている施策」

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調査の結果、新型コロナウイルス感染拡大収束後の対応について、創業年数の長い企業の取り組みには、いくつかの特徴が見られた。

●「業務内容やフローの見直し」の取り組みが進んでおり、特に70年以上の企業では実施率が上昇。

●創業年数にかかわらず、「新たな商品・サービスの提供や既存商品・サービスの拡充を実施または計画」の割合が上昇。100年以上の企業の4割が何らかの取り組みの実施、計画を行っている。

●70年以上の企業では、新規事業、ソリューション開発とともに、「社会課題の対応によるブランディング」への取り組みが徐々に始まっている。

企業の取り組みは、社内の業務体制整備だけでなく、新規事業・ソリューションの開発や、対外的なブランディングという次のステップに進みつつある。とはいえ、全体で見ると取り組み始めている企業はまだ少なく、一歩先の対応によって企業の存在感を示すチャンスでもある。これまで多くの危機をくぐり抜けてきた70年以上の企業の取り組みが、先行きの不透明な時代を乗り越えるヒントになりそうだ。

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  • 2020年11月19日
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