周年事業周年コンサルタントが自社の周年をコンサルしてみた(2)
現状を把握する従業員調査。内外のギャップに注目
- 文=菅野和利
- 2021年06月01日
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日経BPコンサルティングが行った自社の周年事業を紹介する本連載。第2回のテーマは現状把握です。第1回で説明した「経営層ヒアリング」で目指すべき未来像を把握した私たち10周年記念プロジェクトメンバーは、次に現状の定量的な把握に進みました。
周年事業ではいかに従業員を巻き込み、意識を変えてもらうかが重要になります。そのためには、従業員が会社や仕事に対してどう感じているかの把握が欠かせません。従業員に喜んでもらうための周年事業施策なのに、的外れの施策を打つと、かえって白けてしまうケースがあります。
定量データから周年事業の目的を見いだす
従業員の意識の把握には調査が有効です。従業員にアンケートを行い、会社に対する愛着心(会社が好き、長く勤めたいなど)や、仕事に対する意識(やりがいがある、誇りを持っているなど)、自社のイメージ(先進的、保守的など)を聞きます。エンゲージメント調査やブランド調査とも呼ばれます。
定量的に従業員の意識を把握すれば、手当てをしなければいけない箇所が明確になります。例えば、やりがいがあるという項目の数値が低ければ、周年事業の目的の1つをモチベーション向上に活用するといったやり方です。どうすれば従業員がやりがいを持てるのかを考え、具体的な施策を実施します。施策を全社的な周年事業に絡めれば、従業員が参加しやすくなります。
ブランドをアップデートさせるのにもこの方法は有効です。従業員に自社のイメージを聞き、併せて未来にどんな会社になっていたいかも聞きます。周年ロゴやスローガンの作成にその未来イメージを反映させれば、周年を機に自社のイメージを刷新できます。
外からのイメージと比較して気付きを得る
当社10周年記念プロジェクトでは、日経BPコンサルティングの強みを探る調査を行いました。従業員に当社のイメージと強みを聞き、私たちの核となるDNAを見いだしたいと考えたのです。
ただ、周年事業のスケジュールの関係から、調査実施が2019年12月になってしまいました。当社の繁忙期は12月と3月。アンケートどころじゃないよ! と従業員の心の声がまざまざと聞こえるような時期です。
調査は当社Webアンケートシステムで行い、告知は全社メールで行いました。回答率は低いと予測していたのですが、リマインドメールを送ったり各部署の前で「アンケートは本日締め切りです。ご協力お願いします」と声を出したりして回答を促した結果、従業員の約6割から回答を得られました。この手の調査の回答率としては高くないのですが、超繁忙期だったのを考えると、協力してもらえたほうだと感じました。
併せて、スタッフ(業務委託など)、顧客にも意識調査への回答をお願いしました。従業員向けのアンケート項目と、スタッフ向け、顧客向けのアンケート項目を同じにし、比較してみたのです。この比較結果はとても示唆に富んだものでした。
Q. 日経BPコンサルティングの強みはなんだと思いますか。(いくつでも)
Q. 今後、日経BPコンサルティングのどのような機能や特徴に期待していますか。(いくつでも)
社内の自社に対するイメージと、社外からのイメージのギャップは、当社が進むべき方向性の1つを示していました。「客観性」「豊富な情報」が当社の大きな強みであると見えてきました。
冒頭に、調査で手当てすべき箇所が分かるとお伝えしました。当社従業員調査のアンケート項目の中には、エンゲージメントに関連する項目も入れておきました。当社の従業員は「仕事が楽しい」「会社に貢献したい」の数値は高かったものの、「会社が好きだ」「会社に愛着がある」の数値が低いという結果が出ました。周年事業の裏テーマとして、エンゲージメントの向上があぶり出されてきました。
次回は、従業員が自社の未来を考える未来ワークショップについて紹介します。
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- 2021年06月01日
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連載「周年コンサルタントが自社の周年をコンサルしてみた」
- (1)トップを巻き込むための経営層ヒアリング
- (2)現状を把握する従業員調査。内外のギャップに注目
- (3)未来を自分事化。未来ワークショップの効果
- (4)テキストマイニングからスローガンを作成
- (5)経営理念への従業員共感度を測る
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